読者評をコンピューターが書く時代に
書き手はいるが読者がいない。これがアマチュア作家の現状で、なんとか読者の評がえられないか、あるいは作れないかというのは、現在と将来にわたる課題でである。すでにコミックや大衆小説の創作には、骨格をコンピューターがつくるシステムが出来ている。大塚英志「キャラクター小説の作り方」などは、その思想が色濃く反映されている。書き方は違っても作り方は同じということだ。文学フリマでも700超えるグループがあるが、そこの希望は、批評して欲しいというのが一番多いはずだ。
そこで、コンピューターで読者評ができないか、ということになる。
小説ネット公開システムひとつに「インターネット文芸誌『クランチマガジン』」(今村友紀氏運営)のケースがある。ここでは約二千五百人が作家登録し、投稿作品は四千超という。
ここでも、課題は文芸同人誌作品と同じで、読者の不足である。書き手が多いが読者がいない。その対応策について、東京新聞(三月一七日・朝刊・中村陽子記者)に「小説解析プログラム」で記事化されている。
――「結局、一番足りないのは読者なんです」と今村さん。今度は小説レビューを自動で作成する「読者マシン」の実用化を進めている。「投稿者は、誰かから評価されたり、話題として取り上げられるたりすることをすごく求めています。」
「読者マシン」は、解析プログラムで文章の特徴を捉え、投稿ページに具体的なコメントを残す仕組みだ。「分かりやすい言葉で書いているね」と指摘したり、たとえば「村上春樹の『○○○』と似てるね」などのコメントも付く。評価が高ければそれを参考に読む人も
出てくる。「人間の読者」との出会いの可能性も高まるという。―――
コンピューター知能による小説制作はすでに、大衆読み物のハレクイーン小説に導入されている。そこで次の段階として、コンピューター読者評としての機能を追求する時代に入っているのである。
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