全国自治体議会アンケ:議員平均年齢若いほど条例可決盛ん
毎日新聞 2015年03月16日 06時45分(最終更新 03月16日 10時01分)
ちなみに、議員の条例提案自体がゼロだった議会は、全体の20%(316議会)に上った。最も多いのは、定数や報酬の削減など議会内のルールを決める議員提案条例のみが成立したケース(63%、1002議会)だった。【日下部聡、大隈慎吾】
◇全国自治体議会アンケートの概要
毎日新聞が昨年12月〜今年2月、全国1788の都道府県・市区町村議会の事務局を対象に実施し、89%の1592議会から回答を得た。議員の男女別人数や平均年齢などに加え、政策条例の可決数▽首長提案議案の否決・修正数−−など「政策力」を測るデータを集めた。理念や活動原則を定める「議会基本条例」など議会内の決まりに関する条例は政策条例から除外した。
◇地方自治に詳しい江藤俊昭・山梨学院大教授の話
今回の調査結果を見ると、議員が高齢の議会は政策条例の制定ゼロが圧倒的に多い。女性議員がいない議会の93%が政策条例ゼロというのも象徴的だ。
少子高齢化など難しい課題が山積する一方、自治体の財政は厳しく、支出の「選択と集中」が必要な時代だ。議会は多様な住民の声を吸収しながら首長と政策競争をすることが求められる。
首長の追認機関化している議会は、このような現実に対応できず、議員もやりがいを失う。立候補者は減り、議員は高齢の男性に偏る。その結果、さらに課題の解決が困難になり、住民の不信を招くという「負の連鎖」に陥っていく。
しかし一方で、議員提案の政策条例は徐々に増えている。自らの役割に目覚める議会も出てきているということだ。2000年の地方分権一括法施行で国の機関委任事務が廃止され、自治体独自の政策が求められるようになったことが大きい。
議会は本来、条例の制定だけでなく、予算案の修正、契約や財産取得の承認など、強い権限を持っている。縦割りに陥りやすい行政と違い、総合的な視点で政策を実現することができる。
そのためには議会報告会の開催など、開かれた議会への改革が同時に必要だ。議会が積極的に政策作りを進め、住民にきちんと説明する。住民もそれに応えて議会を監視し参加する。そういう「正の連鎖」につなげたい。