[となりのテレ金ちゃん-テレビ金沢]2015年3月12日放送の「ひゃくまんのかがやき」のコーナーで新幹線開業に伴う県内の温泉の試みについて紹介していました。
北陸新幹線が開業も今のところ金沢止まり。加賀や能登の温泉地は金沢に降り立った乗客をいかに呼び寄せるか知恵を絞っています。
北陸名物「香箱ガニ」。画像はイメージです(macgleeさん撮影、Flickrより)
グルメの4番バッター・カニを使ったご当地グルメ山中、山代、片山津、粟津と4つの温泉地からなる北陸最大級の加賀温泉郷は石川県南部の地域です。
この地域に新幹線が来るのは早くても5年以上先のことで、それまで指をくわえてみているわけにはいきません。
加賀市内の7店舗が橋立港産のズワイガニの雌・コウバコガニを使って開発に乗り出したのが、豪華な「加賀カニごはん」です。
これまでこれといったご当地グルメがなかったため、北陸新幹線開業の向け首都圏の観光客にアピールできるメニュー作りを考えました。
使う器も九谷焼に山中漆器。それで統一価格の1800円は採算度外視ですが、その代わり数量限定です。
「カニは日本の中でも4番打者。カニ嫌いはあまりいない。加賀カニごはんはカニをテーマにしたご当地グルメなのでいい形でPRできると思う」。
こう語るのは、このメニュー作りのプロデューサーを務める北海道じゃらんの編集長などを歴任しご当地グルメを推進するヒロ中田さんです。
特産品をさらに磨き上げ、発信力を高める狙いですが、山代温泉観光協会の萬屋正幸会長は「金沢、富山、能登あたりが注目されていて、加賀はサブ的な状況」と話し、金沢方加賀への二次交通の整備の重要性を説いていました。
新高岡下車のお客を狙う和倉温泉のおもてなしのどから手が出るほど欲しい二次交通。一方能登はその点が大きく改善されつつあります。
今年2月、能越自動車道の一部となる七尾・氷見線が開通し、北陸新幹線の新高岡駅からのアクセスが良くなりました。
この大動脈に期待を高め、七尾市と富山県などが試験運行を始めた路線バス「わくライナー」が新幹線開業にあわせてルート運行を始めます。
その一方で、きめ細やかなおもてなしも忘れていません。
和倉温泉旅館協同組合では、去年からレンタサイクルを利用して街めぐりなどを楽しむ「サイクルツーリズム」に取り組んでいます。
そのPRにつなげようと北陸新幹線の新型車両などをイメージしたレンタサイクルを制作しました。
そのほか和倉温泉駅では、外国人観光客に対応するために翻訳機能付きのタブレットを導入しました。
ようやく吹き始めた春風を呼び込む努力が実を結ぶのか、関係者は目の肥えた首都圏の旅行客を満足させるに簡単ではないと感じています。
和倉温泉観光協会の小田孝信会長は、「新幹線で能登、石川県が注目されているので来てもらえる要素は十分にあるが、『なんどこれは・・・』というような印象を持たれるようだとリピーターに繋がらない」と肝に銘じていました。
首都圏から北陸に向かう春の商品の売れ行きが前の年の5倍に上がっているといいます。
首都圏からの誘客のため観光資源に磨きを掛ける加賀と、開業効果の最大化を目指す能登の取り組みはこれからが正念場なのかもしれませんね。(ライター:ファンキー金沢)