議員提案の政策条例9割ゼロ 九州の改選95市町村議会に本紙アンケート
統一地方選で議員選挙が実施される九州7県の計95市町村議会のうち9割近くが、前回選挙後の4年間、議員提案による政策条例を制定していないことが、西日本新聞の地方議会アンケートで分かった。全体のほぼ半数は一度も議案の修正や否決がなく、結果として首長が提案した議案の99・5%は原案通り可決。住民と意見交換する報告会を開いたことがない議会もほぼ半数に上った。政策立案や行政の監視機能など、地方議会の役割があらためて問われそうだ。
アンケートは今年2~3月に実施。前回選挙があった2011年4月から今年1月末までに、(1)議員が提案し、可決した政策条例(議会の役割やルールなどを定めた基本条例や定数、報酬など議員の身分に関するものは除外)(2)首長提案の議案数と賛否(3)住民向け議会報告会の開催状況-などを聞いた。42市、45町、8村の計95市町村議会すべての事務局から回答を得た。
結果、地方議員による自主的な“立法”手段である政策条例の制定は12市町議会(12・6%)にとどまった。村議会など自治体の規模が小さいほど条例化の動きは鈍く、議員の兼業や、政策面でサポートする行政職員が少ないことも影響しているとみられる。
政策条例が最も多かったのは福岡市議会と宮崎県日南市議会の各2本、残る10市町議会は各1本。防犯・防災や地元産品振興関連が目立つ。大分、鹿児島両県の市町村議会はゼロだった。
95市町村の首長が提案した計3万4934議案のうち否決または修正があったのは169議案(0・5%)。事前に執行部が議会に説明する「根回し」が定着しているとも言えそうだ。
議員が地域に出向き、市町村の事業や財政を説明し、住民と意見交換する「議会報告会」を開催した議会は50市町(52・6%)。政策条例を制定せず、首長提案にもすべて賛成し、議会報告会も開催していない議会は24市町村で、全体の4分の1だった。
=2015/03/25付 西日本新聞朝刊=