通販チーム リーダー 授乳服アドバイザー
大久保綾子(おおくぼ・あやこ)さん
1988年生まれ。服飾系の大学を卒業後、若者向けのファッションブランドに就職して販売員を担当。半年で副店長に就任。2013年、モーハウスに転職し、通信販売業務の責任者として、通販システム管理やWebデザイン、発送伝票処理を担うほか、月に一度は実店舗に足を運び、接客のサポートをしている。最近は顧客の声を反映できるよう、商品開発にも活躍の範囲を広げている。
30代も、40代も、アパレル業界で働き続けたい
昔から洋服が大好きだった。服飾関係の大学で縫製を学び、長く働き続けるために就活中は女性の離職率もチェックしながらアパレル業界を目指した。「就職氷河期だった当時、アパレル業界の求人はさらに少なくて。選んでいる余裕がなかったこともあって、内定をもらった企業に就職しました」。入社した若者向けのファッションブランドでは販売員と副店長を経験。スタッフ管理や販売促進、店舗のディスプレイなど仕事の範囲は広かった。日によっては一人で店頭に立ち続けることもあり、「代えがきかない」というプレッシャーを抱えていた。
ある時、周囲を見渡すと、同じ職場に30代以上の女性社員が一人もいないことに気づいた。40代、50代の男性社員はいるのになぜ…。「先輩に聞くと、出産を機に辞めてしまう女性がほとんどで、子育てをしながら販売員を続けるのは難しいということでした」。ここで頑張っても、「長くアパレル業界で働き続けたい」というキャリアにはつながらないのではないか。悩んだ末に、転職を決めた。
今度こそ長く勤め続けられる会社を見つけよう。そう思いながら転職活動をした。モーハウスに出会ったのは、地元茨城県の「復職支援事業」として中途採用の求人を紹介されたのがきっかけだった。「『子連れ出勤』という聞き慣れない言葉が気になって、すぐに代表の本を読みました。冒頭の、赤ちゃんを抱いて接客する販売員の写真に衝撃を受け、『出産は女性にとって当たり前のこと』という代表のメッセージにも深く共感しました」。早速、面接を受けたいとモーハウスに直接電話をかけた。
すると、まずは岡山県倉敷市で研修を受けてみないかとオファーされた。倉敷市は光畑代表の実家がある場所。「まだ会ってもいないうちに研修に招待してくれるなんて、それだけでうれしくなりました。今考えると、求人を紹介されてすぐに会社に電話をした行動力や、熱意を評価してくれたのではないかと思っています」。研修中は代表の実家に泊まり、寝食をともにした。「代表の言葉を直接聞くことで企業理念が理解できました。結婚・出産後も働き続けたいという私の思いも聞いてもらって。そこで入社の意思は固まりましたね」。
ママたちから次々に届く感謝の言葉が、
自分へのエール
前職は、顧客層が10代、20代ということもあり、質より価格を重視する傾向にあったという。縫製の甘さをクレームとして指摘されることもあった。一方モーハウスの商品は、母親の心と体のストレスを減らすために、あらゆる工夫を凝らしており、品質にもこだわりを持つ。「この商品に出会って良かった」「授乳が楽になったので、赤ちゃんを連れて飛行機に乗ってみたい」。そんな女性たちの声がWebや手紙を通して日々届くことが新鮮だった。「お金をいただいているのだから、お礼を言うのはこちらのはず。お客さまの方からありがとうと言ってもらえるなんて思いもよりませんでした」。母親たちからの言葉の数々は自分へのエール。日々のモチベーションにつながっている。
そして何より、赤ちゃんがいる職場の雰囲気が好きだという。「赤ちゃんがいる空間って優しい空気に包まれるんです。私はまだ子どもはいませんが、社員の子どもたちを身近に感じることで、育児中のママたちを応援したいと心から思えるようになりました」。仕事とプライベートを分ける職場が多い中、モーハウスはプライベートにどんどん踏み込み、家族ぐるみのつき合いをしている。「育児中のママが近くにいることで、女性としても学ぶことが多いです。育児と仕事を楽しそうにこなす先輩たちを見ていると、私も結婚・出産後も仕事を続けていこうと、自信を持って将来設計ができますね」。
いつかは自分も子連れ出勤をするママに
現在のメインの役割は、通販業務とマーケティング。さらに最近は、授乳服の商品開発にも携わるようになった。授乳の実体験はないが、Webに書き込まれたママたちの声が"武器"だ。「膝が隠れるぐらいの長さの授乳服が欲しいという声をもとに、長く着られるオシャレなロング丈のワンピースを作りました。ママたちの生の声を活かして、商品開発できることが今のやりがいです」。授乳服を通して、授乳中の母親たちが感じている不安や不満を解決していきたいという意欲が、日ごとに増していく。
モーハウスの店舗では、子連れの販売員も活躍している。商品の良さや使い勝手を語る上で一番の適任者であり、実際に子連れで働く姿を対外的に見せることで、子連れ出勤自体への理解促進にもつながる。大久保さんも月に一度は店頭に立ち、授乳中の母親たちに接することでさらなる商品開発へのヒントを探っている。「より商品を進化させて、ママがいきいきと外に出られるようサポートしたいです」。
子連れ出勤には、スタッフ同士の理解や思いやりが不可欠だ。「いつかは私も子どもを産み、子連れ出勤を体現したいと思っています」。「お互いさま」の気持ちで今は、子連れ出勤をしている女性スタッフたちのサポートも心がける。「私自身が先輩ママたちの働く姿を見て勇気づけられたように、いつかは私がその姿を見せられるようになりたい」。子連れ出勤というスタイルを通して、働く女性の"好循環"が生まれている。