やまもといちろうです。毛根の数が減少しないよう日々養育に腐心しています。
ところで、4月12日は統一地方選挙の投票日となり、26日告示されました。与野党の直接対決は下馬評どおり北海道と大分の両知事選で、事前の調査ではいずれも現職有利の微妙な状況のようであります。
今回の選挙で改めて特徴になっているのは、有権者にとっての主要な争点が全世代男女合わせての対象で初めて「経済問題・雇用」を「社会保障・年金」が抜いたようだという点であります。もともと中高年の投票性向が高い層は、介護や年金といった問題と、市民サービスの充実などの生活に密着した身近な話を争点にする傾向が強かったのですが、これを全有権者を対象とした場合に抜いたというのは非常に大変なことであります。
というのも、2013年12月に社会保障人口問題研究所が発表したデータでも分かるとおり、地方自治体における高齢者の割合が増えていきます。2010年の段階ですでに65歳以上が3割を超えている自治体が35%あり、統計的には2040年には4割以上が高齢者となる自治体が半分になってしまう計算になります。
社会保障人口問題研究所 日本の地域別将来推計人口 −平成22(2010)年〜52(2040)年− 平成25年3月推計
そうなると、もともと投票性向の高い高齢者が一定割合以上を占める自治体においては、民主主義の原則からすると文字通り老人天国となって、地元の経済力がほとんどなく、住民に担税力がないのに年金や医療、介護といった公共の負担をしなければならない自治体が続出することになります。これらはすべて勤労世代の税金から賄われることになるわけです。
高齢者だらけとなった地方自治体は、破綻させたくないけど自前で稼ぐ能力が無くなってしまう地域は今後続出します。ひとくちに「高齢化」や「人口減少」といっても、それが引き起こす症状はまったく見え方の違うものであり、悲惨な内容です。もはやこの状況を続けられないと分かっていても、高齢者をいまの水準で支え続けることが困難な自治体が出てきたときに、私たちはどういう態度をとるべきなのか、いまのうちから考えておくのも悪いことではないかもしれません。
著者プロフィール
ブロガー/個人投資家
やまもといちろう
慶應義塾大学卒業。会社経営の傍ら、作家、ブロガーとしても活躍。著書に『ネット右翼の矛盾 憂国が招く「亡国」』(宝島社新書)など多数
公式サイト/やまもといちろうBLOG(ブログ)