タグマネージャーの重要性と用途で使い分けるYahoo!タグマネージャーとGoogleタグマネージャ

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Webを利用したビジネスで欠かせないのがWeb解析や広告の効果測定。これらは主にトラッキングタグ(以下、タグ)を読み混むことでデータを収集するするのですが、様々な広告メニューやASPツールの増加に伴い、1ページあたりに挿入するタグも多くなってきているのも現状です。また、管理するタグが増えたことで、管理が煩雑になったり、トラブル回避のためにタグ同士の相性や挿入の順番の考慮する必要があるケースが発生するなど、ひと昔に比べて単純ではなくなってきています。

これらの課題を解決するものとして、タグを一元管理する為のタグマネジメントツールが誕生、近年では急激に普及してきており注目度も高まってきています。

今回はタグマネジメントの重要性から、現在主流となっているYahoo!タグマネージャーとGoogle タグマネージャの簡単な概要と、これらタグマネジメントツールの機能の差からどのように使い分けをするべきかと言ったところまでお伝えいたします。

タグマネジメントの重要性

これだけ計測タグが増えてきた昨今、タグをどのように管理するかというタグマネジメントの重要性は高まってきています。タグマネジメントの中で特に良くある悩みとしてはタグが増えてきた事や担当者変更時の引き継ぎ不足によるものですが、特に

  • タグを見ただけではそれが何をする物なのか分からない
  • そのタグが今使用されているのかされていないのか判断しにくい
  • どのページにどのタグがあるか分からない
  • タグが増えすぎてページの読み込みが遅くなった
  • タグの挿入位置によっては正しく計測できない状況になってしまった

と言った部分が多いのではないでしょうか?

次の画像は極端ですが10個以上のタグを同時に使うようなことも珍しくはなくなってきました。

※ChoromeやFirefoxの拡張機能でGhosteryというプラグインにて、読み込まれたタグの一覧(一部のタグは未対応)を確認できます

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複数タグの同時使用によるトラブル

複数タグの同時使用の機会が増えたことにより、計測にトラブルを起こす機会も多くなってきました。

タグには動作方式の違いで分類される「同期型」と「非同期型」とあるのですが、同期型タグを複数同時に利用する場合、いずれか1つのタグがエラーを起こしたり読み込みが遅れたりすると、それ以降に読み込まれる予定だったタグが正常に動作しなくなるリスクが高まります。

特にリスティング広告をはじめとする広告の効果測定タグは「同期型」である物が多く、広告メニューや各種ASPツールの追加利用をすればするほど計測タグの挿入も必要となってくるため、必然と上記のリスクも高まります。

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対して、Google アナリティクスなど1部のタグは「非同期型」を採用していて、別のタグにエラーが発生しても自分のタグの読み込み動作には影響を与えない仕組みとなっています。また、「非同期型」ではタグの読み込みを並列で行えるため、タグの読み込み速度も速いです。

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このあとご紹介しますYahoo!タグマネージャーやGoogleタグマネージャのようなタグマネジメントツールは、すべてのタグを以下のように非同期に並列処理をしてくれます。これによって、特定のタグがエラーを起こしたとしても、他のタグの動作には影響を与えないので、エラー回避ができるだけではなく、処理の並列化による読み込み速度の改善ににもつなげる事が可能になります。

タグマネジメントツールの基本的な仕組み

タグマネジメントツールは1つの「共通タグ」をすべてのページに挿入し、URLで指定した「ページ」に対して、タグマネジメントルール上で管理する「タグ」を紐付け、その「ページ」が読み込まれたときにタグマネジメントツールで紐付けられた「タグ」が読み込まれるという仕組みです。

実際に配置するタグが1つになりますので、ページソースがシンプルになり、読み込み速度の向上にも繋がります。また、配信するタグはすべてタグマネジメントツール上で一元管理されることになるため、直接ソースをいじらずともタグの追加や削除、差し替えも管理画面の操作だけで完結でき、運用工数の削減にも繋がります。

配信するタグは、用意されたタグテンプレート(タグカタログ)に識別IDやラベルなど必要な事項を転記することで登録を行います。テンプレートが用意されていないタグについてはカスタムタグという形で任意のタグを登録することが可能です。

任意のイベントやスクリプトなどを利用することで、タグ配信のタイミングや特定の条件を満たしたときにタグを配信するなど細かな運用も可能になります。

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Yahoo!タグマネージャー公式サイトのサービス概要より

タグマネジメントツールを使う上での注意点やデメリット

タグマネジメントツールは一見として万能薬のように見えますが、そうではないデメリットも存在します。

  • タグマネジメントツールとWebサイトの相性が合わない場合がある(サイトの動作に悪影響を及ぼす可能性)
  • サイトの構造など仕組みを理解している必要がある
    • ページの設定ミスに繋がり、計測漏れやミスが発生する可能性
    • 売上データなど動的値の受け渡しのためのスクリプトの追記が必要になるケースが発生するなど
    • 同一URLでページが遷移する場合の対応をどうするかなど
  • 用意されたタグテンプレート(タグカタログ)以外のタグをどうするか
  • タグマネジメントツールを利用せず、直接ページに挿入した方が早いケースもある

など、これらを理解した上でタグマネジメントツールを利用しましょう!

いま主流なタグマネジメントツールと主な機能の違い

以前は、タグマネジメントツール=お金がかかるというのが当たり前、複数のタグを利用することもそこまでなかった事もあり、タグマネジメントツール自体あまり知られてはいませんでしたが、GoogleがGoogle タグマネージャを提供したことを皮切りに、Yahoo!もYahoo!プロモーション広告で広告を出向中の広告主向けにYahoo!タグマネージャーを提供し始めたことで一気に知名度も上がり、これら2つのタグマネジメントツールが2015年3月現在では定番となっています。

Yahoo!タグマネージャー

米国Signal社のSignal Tagというプロダクトがベースになっているタグマネジメントツールです。

タグカタログに登録されているタグ数が多く、Yahoo!提供のソリューションだけでなく、国内ベンダーが提供するサービスのタグも広く対応しており、カタログへのタグ追加頻度も高いことが特徴です。 ただし、Googleのユニバーサルアナリティクスなど最新のタグに対応できていない物もありますので、導入時には今できていることがYahoo!タグマネージャでも実現できるのか?といった確認をしないと痛い目を見る可能性もあります。

管理画面で、タグもしくは設定したページにエラーが発生した場合のエラー内容も確認できるので、トラブルシューティングを行いやすいです。

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ただし、ヘルプはあまり充実しておらず、それを補完できるほどの情報も国内では少ないため、イベントやスクリプトを用いてカスタマイズするような高度なことを行いたい場合、自力で解決するか有償のサポートを受ける必要があります。

Google タグマネージャ

Googleが提供するタグマネジメントツールです。

カスタマイズ性が高く、Googleが提供するソリューションとの相性はバッチリですが、提供されているタグテンプレートの数が少なく、国内ベンダーが提供するサービスのタグへの対応はあまりされていません。

タグやページ、配信ルールなどバージョン管理が可能なため、新しいタグや配信ルールに変更したときにトラブルが発生しても、すぐに以前のバージョンのセットに戻すことが可能です。ただし、Yahoo!タグマネージャーのようにエラー表示をする機能はないため、トラブルの原因究明には手間と時間がかかることが多いです。

グローバルで展開されているプロダクトでヘルプも充実しているので、参考書や文献も豊富ですがGoogleにはサポート窓口はないため、予めある程度の知識がなければ使いこなすことは難しいでしょう。

主要機能の比較

タグテンプレート(タグカタログ)数などの対応状況、デバッグやエラーチェックなどの運用に係わる機能、拡張性やサポートと言った大きな点で比較してみると以下のようになります。

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対応するタグの豊富さ

Yahoo!タグマネージャーとGoogle タグマネージャで大きく異なる点は、対応できるタグテンプレート(タグカタログ)の数が異なる点が特に上げられます。

Yahoo!タグマネージャーでもGoogleアナリティクスやコンバージョンタグ、リマーケティングタグを扱うことはできるのですが、前述したように、ユニバーサルアナリティクスに移行済みだったり、クロスドメイントラッキングの設定している場合はこれに対応できない為、タグの直貼りもしくはGoogle タグマネージャとの併用も検討する必要があります。逆にGoogle タグマネージャではYahoo!系プロダクトのタグテンプレートがまだ提供されていないため、やはりこれらを利用する場合もタグの直貼りかYahoo!タグマネージャーとの併用を検討する必要があります。

運用に係わる機能

プレビュー機能やデバッグ機能の面では、エラー表示機能を持つYahoo!タグマネージャーに分があります。

拡張性

イベントやJavaScriptによるカスタマイズなど拡張性に関する部分は、何を実現したいかなど要件で変わってくるので単純比較は難しいですが、Yahoo!タグマネージャではイベントやJavaScriptによる拡張に関するヘルプが乏しいため、Google タグマネージャよりは全体的に劣っていると感じます。

サポート

Google タグマネージャはヘルプが豊富ですが、Google系プロダクト特有のカスタマイズ性が高いが故の取っつきにくさは感じるかも知れません。グローバル展開もされていることもあって関連する記事は豊富です。

Yahoo!タグマネージャはヘルプにて提供されている以上の情報が乏しいことが特徴的です。タグを追加して単純に配信するだけであれば大きく迷わないのですが、ヘルプ以上のサポートが必要となる場合は有償であるケースが多く、自力で解決しようとしても関連記事も乏しい事から路頭に迷いやすくなりがちです。

タグマネジメントツールは用途で使い分ける

主な機能でYahoo!タグマネージャーとGoogle タグマネージャを比較してみました。それぞれのタグマネジメントツールは、タグの対応といった点で強み・弱みがはっきり分かれているため、基本的には相互に補完できるように併用することが理想的です。

  1. Google アナリティクス(ユニバーサルアナリティクス)、Google アドワーズをはじめとする、Google系プロダクトはプロダクトアップデートのサイクルが早いため、Google タグマネージャを積極的に利用する
  2. Yahoo!系プロダクトはYahoo!タグマネージャーを利用する
  3. それ以外の国内外ベンダーのタグはYahoo!タグマネージャーにタグカタログ場合は積極的に活用する
  4. タグテンプレート(タグカタログ)に登録のないその他のタグは、カスタムタグとして設定する(ただし動作保証対象外)か、タグを直貼りする

ただし、2つのタグマネジメントツールを同時に利用することで、意図せぬトラブルの発生や、それに対する原因の切り分けが難しくなるケースが発生することも予想されますので、導入には細心の注意を払いましょう。

まとめ

タグマネジメントツールは前述したように、万能薬のようにも見えますが、ちょっとでも設定や使い方を間違ってしまうと劇薬にもなりかねないツールです。 また、無料で提供できることから手軽に利用できる反面、トラブル発生時には自分で対応できるスキルも求められます。

タグマネジメントツールは初期の導入と設計がとても大切です。タグマネジメントツールをこれから導入してみたいとお考えの場合、アクセス数が少なくトラブルが起きても影響が少ない数ページに導入してみて、十分な動作検証を行った後、導入範囲を拡大していくなどしていくと良いでしょう。

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