戦争体験、高齢者から聞き取り 京都・精華町と町教委が冊子に
終戦から70年を迎えるのを前に、京都府精華町と町教委は町内の高齢者から戦争体験を4年がかりで聞き取り調査した「町戦争体験談記録」の冊子をこのほど完成させた。町内の空襲による被災体験、戦地での体験など戦時中を物語る貴重な資料となっている。
平和祈念事業での活用や歴史資料保存のため企画した。2011年夏ごろから体験談の募集を始め、職員による聞き取り調査を進めていた。70~80代の町在住・出身者9人にインタビューして9冊の冊子にまとめた。町によるとうち2人が既に亡くなったという。
A4判で1冊6ページほど。太平洋戦争末期に町内の鉄道駅であった米軍機の機銃掃射について「搭乗員の姿が見えるほどに敵機が近づいてきた」「電車の中は血の海となり、4人が亡くなった」などの証言がある。
また、木津川河川敷に墜落した米爆撃機の残骸から見つかった米兵の遺体について「衣服が燃え、丸裸の状態で横たわっていた」と記す。このほか、中国大陸での戦地で敵襲に遭遇し、腕を撃たれた時の感覚を「急に棒でたたかれたような痛み」と表現するなど、生々しい戦場体験を詳細に語っている。
町の冊子編集担当者は「戦後70年の節目以降も証言を募り、保存していきたい」と話している。冊子は町立図書館で貸し出している。
【 2015年03月29日 14時40分 】