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shi3zの長文日記 RSSフィード

2015-03-30

0を1にするマーケティング

 ビジネスの世界で良く言われるのは、「0を1にする」のと、「1を10」にするのと、「10を100」にする能力は違う、ということです。


 一番汎用性が高いのは、1を10にするという能力ですが、この能力だけがあったとしても、なかなか発揮することはできません。難しいのは、10に成り得る1を発見

することだからです。


 では0を1にするというのはどういうことでしょうか。


 実は「0を1にする」スキルの重要さは見過ごされがちです。

 なぜならそれは、あまりに荒唐無稽だからです。


 ニーズのないところにニーズを創り出す。

 いわば真空から現金を引き出すようなものだからです。

 火の無いところに火を起こす。


 良く知られるマーケティング手法の大半は「1を10」、「10を100」にするための方法論です。

 しかし肝心の商品、すなわち「0から1」になった商品が無ければ、いくら1を10にできると言っても限界が低いのです。


 ところが実際に「0から1」を創り出すマーケティング手法については実際的な経験者が少ないため、研究されて来なかった分野でした。


 なぜなら「0から1」を語るためには、当事者が実際にそれを行った実績が伴わなければ机上の空論になってしまうからです。しかも何度も繰り返さなくてはなりません。


 そうした「繰り返しヒット」を作った経験を持つ人はたまにいます。

 ビジネスの世界では一般的に「ヒット」は一生に一度か二度しか出せないと言われています。

 いわゆる「一発屋」ですが、実際には一発屋であることが普通です。だから中々、「絶対に当たる企画」というのはわからないものなのです。


 ある企画で成功するとその成功体験が邪魔をして二回目以降は中々ヒットを出せなくなります。

 何故成功したのか、ということが本人にもわからなくなってしまい、迷走するのです。

 

 しかしごくたまに例外があります。

 それは幸運に恵まれることです。


 幸運にも、その都度、1を10に、10を100にする才能と巡り会い、彼らと仕事をすることで、0を1にするスキルを活かして、ヒット企画を幾度も立ち上げることができる人も居ます。


 僕が一つだけ人に誇れることがあるとすれば、それはなにより自分が幸運な人間だということです。

 偶然にも、僕の回りにはとても優秀なマーケッターや、エンジニアがいて、彼らが次々と色々な事業を成功させる瞬間に居合わせることができました。社会人になって20年、ここまで連続してそうした人たちに関わりを持てて来たというのは幸運としか表現のしようがありません。


 僕はこれまで、幸運にも幾度もヒットしたマーケティングの「0から1」になる場面に居合わせることができました。


 もはやゲーム業界では誰もが知る、CEDECというイベントの立ち上げ、後にXbox開発の中枢となるとなるMicrosoftの開発部隊、iモード市場の立ち上がり、ニコニコ動画の最初の企画の立ち上がり、iPhoneの立ち上がり・・・等々。最前線のアリーナ席で、こうした数々の成功劇を目撃したり、時にはプレイヤーとして関わったりしてきました。


 こうした経験を分析し、活用し、クライアントに進言することが、コンサルタントとしての僕の仕事です。

 

 そして僕自身はこうした知識をどう活用するかというと、より大きな目標のために活用することにしています。

 

 0から1になる瞬間の快感を知ってしまうと、それ以外の仕事が全て色褪せて見えてしまいます。


 ただ、そうしたことについて語る機会は非常に少ないのは事実です。

 今回、MMD研究所さんの企画で、こうした「0から1」のマーケティングについてのセミナーを開催することになりました。

MMD研究所主催セミナー「ゼロから市場を創る実践型マーケティング」(2015年4月16日)

https://mmdlabo.jp/seminar/detail_1418.html


 いつもの「プログラミングの話」とは別のお話をすることになると思います。

 僕らが普段ゲンロンカフェでやってるセミナーよりは圧倒的に安い(1/10くらい)ので、平日の昼間ですがもしご興味があればどうぞ。