デジタルサーカス株式会社副団長CTO 長谷川智希様 より献本頂きました。
TECHNICAL MASTER はじめてのiOSアプリ開発 Swift対応版 (TECHNICAL MASTER 83)
- 作者: 長谷川智希
- 出版社/メーカー: 秀和システム
- 発売日: 2015/03/28
- メディア: 単行本
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実はこの本、数日前に長谷川さんのブログエントリを拝読して、密かに気になっていた一冊でした。
TECHNICAL MASTERシリーズとは
最新の「テクニカル」なテーマにはじめて取り組む方が、基本からしっかり「マスター」できることを目指した教科書のシリーズです
と説明書きにありました。
この内容通り、これからiOSアプリ開発を始める方、もしくはiOSアプリの開発はすでにやっているが Swift はまだ勉強できてない、という方に是非オススメしたい内容でした。これ一冊あれば、開発環境の構築からApp Storeへの公開までひと通りマスターできると思います。
本書をおすすめしたい理由
おすすめしたいポイントはたくさんあるのですが、そのうち何点かを紹介させて頂きます。
1. 開発環境の構築から実に丁寧に解説されている
本書のタイトル通り「はじめて」開発する読者にもわかるように、XcodeをApp Storeからダウンロードするところから詳しく書かれています。
Xcodeの画面構成や基本的な使い方についても、キーボードショートカットキー付きで詳しく解説されています。このショートカットキー付き、というのがとても重要で、例えば cmd
+ r
で実行など、最初に知っておいたほうが良いショートカットキーについても触れられています。
また、iOSシミュレータについても詳しく解説されており、基本的な使い方はもちろんのこと、
- 言語設定(日本語、英語の切替方法)
- 表示サイズ
- 画面の回転
- 位置情報のシミュレーション
についても解説されています。
2. iOSの歴史についても触れられている
例えば、iOSはバージョン3.2.2までは iPhone OS と呼ばれていた話など、歴史的な内容についても説明があり、より理解を深めることができます。
毎年メジャーアップデートされるiOSですが、最初にbeta版を経てGM版が公開されるまでの流れについても解説されています。この知識を身につけておくことにより、毎年のメジャーアップデートにもスムーズに対応できることでしょう。
3. Swiftに対応している
本書のタイトルにも「Swift対応版」とあるように、ソースコードはすべてSwiftで書かれています。今後のiOSアプリ開発は、Swiftによる実装が主流になってくると思われますので、これからアプリ開発を始める方にはぴったりだと思います。
Section 1の「開発言語の違いを理解する」では、Swift と Objective-C の違いについても書かれており、両者のメリット・デメリットについても理解することができます。
4. リファレンス的な使い方もできる
Section 5では基本的なUI部品(ボタン、ラベル、画像など)の使い方が丁寧に解説されており、あとからいつでも参照することができます。
5. 実用的な内容もしっかり抑えている
Section 6からは実用的な内容になっており、外部APIからデータを取得し、テーブルビューに表示する方法など、iOSアプリ開発には欠かせない要素についてもしっかり学ぶことができます。
具体的には、Swiftの定番ライブラリである Alamofire を使い、Yahoo Local Search APIから店舗情報を取得するアプリを開発していきます。JSONのパースには SwiftyJSON、画像の取得には SDWebImage を用います。OSSを使う上でのライセンスについても説明があるので安心です。
続くSection 7, 8ではこのアプリをより実用的なものにしていきます。このSectionを読み終わる頃には次の内容がマスターできているはずです。
- 現在地を取得して地図表示する
- 写真を撮影して保存する
- 電話やSNSアプリと連携する
- アプリ公開のために必要な機能を実装する(ライセンス表示・起動画面・アイコン)
Twitter, Facebook, LINEなど流行りのSNSに対応した「今風の」アプリを開発できるので、とても良いなぁと思いました。
6. アプリ公開手順もしっかり解説
Section 8の最後では、App Storeにアプリを公開するための手順が丁寧に解説されています。新しいiTunes Connect*1でのアプリ公開手順について、ここまで詳しく解説されている本はなかなかないと思います。
7. コラムにも有用な情報が書かれている
ときどき現れるコラムには、さりげなく重要な情報が書かれていたりします。例えば、iOSシミュレータの「開発」メニューに含まれる便利なデバッグ機能など、意外と知られていない機能についても書かれているので要チェックです。
この本をおすすめしたい方
以下のような方におすすめです。
- これからiOSアプリ開発をしてみようと思っている方
- 現在Objective-CでiOSアプリ開発をしているが、そろそろSwiftも勉強したい
- Auto Layoutの知識をちゃんと身につけたい方
おわりに
簡単なアプリを実際に作りながら学習していく、というスタイルは他の書籍と変わりませんが、このエントリでも書いてきたように、本書ならではのおすすめポイントがたくさんありました。私自身も初心に戻って拝読しましたが、「最初に知っておきたかった」という内容も結構ありました。皆さまにもぜひ読んで頂きたい一冊です。
*1:2014年に大規模なリニューアルが実施された