(2015年3月27日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
新世代の大型船舶が国際貿易を一変させることに賭け、1000億ドルの貿易借款と投資で中南米を口説いてきた中国は、中南米地域で競合する運河プロジェクトを通じて、新しく、従来よりも速いアジアへの貿易ルートを確保しようとしている。
100年の歴史を持つパナマ運河を8年間の歳月と53億ドルの費用をかけて延長する計画が完成に近づいており、積載能力が現在の船舶の2倍以上に上る21世紀の船舶の通行が容易になる。
だが、このプロジェクトが完了する前から、同運河の2番目の大口顧客である中国は、さらなる拡張工事を検討している。
パナマ運河の北では、中国企業の香港ニカラグア運河開発投資(HKND)がパナマ運河を通行できない大きさの大型船舶を扱うために、ニカラグアを通る総工費500億ドルの運河建設プロジェクトに着手した。同社では、2019年の開通を目指している。
構想を立てたのはフランスだが米国によって建設されたパナマ運河は、大西洋と太平洋を結ぶ全長81キロの運河だった。拡張後の運河は事実上新しい運河であり、2016年初めに開通する予定になっている。だが、パナマ運河庁は、もし需要が十分であることが分かれば、15年後には通行量に対応して再度の拡張を検討する可能性があると考えている。
中国国営企業がパナマ運河再拡張に興味
パナマ運河庁の運営・財務担当の副長官を務めるフランシスコ・ミゲス氏は「我々は拡張に向けて準備している」とし、国営建設会社の中国港湾工程(CHEC)が「我々が用意できた時には参加することに興味があると言って接触してきた」と言う。
中国政府は慎重に、中国が昨年12月に着工したニカラグア運河が建設されない事態に備えて賭けをヘッジしていると思われないようにしている。CHECで米州向け事業を統括するタン・ツォンドン氏は、同社は昨年パナマから接触され、「当社は関心を表明したが、まだ細かい計画はない」と話している。