ドイツの国際的な立場が大きく変貌している。再び表面化したギリシャ債務問題は、ドイツが欧州の盟主であることをあらためて印象付ける結果となった。メルケル首相の来日に際しては、日本側は歴史認識問題で完全に振り回され、ドイツの政治力の大きさを見せつけられた。ドイツは国際社会において、米国に次ぐ政治的リーダーとなりつつある。
テクノロジーの面でもドイツは覇者になろうとしている。次世代の産業に極めて大きな影響を与えると言われる「IoT」(Internet of Things:モノのインターネット)の分野においてドイツ企業は先行している。
もはやドイツは単なる優等生国家ではなく、米国に次ぐ覇権国家と言ってもよい存在かもしれない。
これまで日米関係だけを考えていればよかった日本にとって、ドイツという新しい超大国の台頭は、非常に悩ましい問題となりそうだ。ドイツの国際的な発言力が高まるにつれて、日本と中国の関係もより複雑化する可能性がある。
ドイツの頑な姿勢にギリシャは完全敗北
ギリシャ債務問題におけるドイツの立場は圧倒的であった。ギリシャでは2015年1月、急進左派連合による新政権が誕生し、キューバの革命家チェ・ゲバラ氏を崇拝しているというチプラス氏が首相に就任した。急進左派連合はギリシャの債務削減やEU側がギリシャに要求してきた構造改革案の撤廃、解雇された公務員の復職など、EUが主導する緊縮策からの脱却という大胆な公約を掲げている。