2015年03月29日
ジャーナリストの堤堯(つつみ・ぎょう)さんが、月刊誌「WILL」で朝日新聞を叱っています。3月3日の朝日新聞夕刊の記事「中国の元慰安婦 訪ね支えて20年」というタイトルの、編集委員の大久保真紀さんという記者の署名記事です。在日の中国人ジャーナリストである班忠義さんという人が、戦時中に旧日本軍から性暴力を受けたという中国人女性たちのもとを毎年訪れ、支援し続けているのだそうですが、大久保記者はこの班さんからの聞き書きを紹介し、残虐非道な旧日本軍の実態を読者に示したい意図のようです。
約1か月前のこの記事を、私はうっかりスルーしていました。読み直してみて、朝日新聞のいい加減さをあらためて痛感しました。まず、大久保記者は、班忠義さんという人が元慰安婦たちから聞いたとされることを、班さんから聞いて、その内容を記事にしています。伝聞のそのまた伝聞という構図は、あの植村隆記者が朝鮮人慰安婦がしゃべったとされるテープを聞いただけで、本人に直接確認して取材することなく、センセーショナルな記事にしたのを思い起こさせます。
大久保記者が中国に行って、元慰安婦から直接取材し、同時に客観的な証拠とともに日本を糾弾するのならともかく、「日本軍に拉致され、洞穴に監禁され、毎日多くの日本人に強姦された」という彼女たちの証言を、単なる伝聞だけで報道していいものでしょうか。もし事実なら、「慰安婦報道のねつ造問題」に深く関わった朝日新聞は全力で解明に取り組むべき事がらです。旧日本軍を貶めるためなら、「取りあえず、気楽に」記事にしてしまうのが当たり前の感覚になっていませんか。
ついこの間、朝日新聞は朝鮮人慰安婦記事の誤りを認めました。詐話師・吉田清治のヨタ話しを、裏付けも取らず読者に広めた事、また、「慰安婦の証言」という植村隆記者の無責任な記事を掲載した事に関し、社長が世間に頭を下げたのが気に入らないのでしょうか。「班忠義さんがこう言っているから紹介しただけ。もし事実と違っていても、それは班忠義さんに聞いてくれ」の従来のやり方では済まない事を、まったく反省していないようです。社長が謝罪したにもかかわらず、あいも変わらず同じ過ちを繰り返しているではないですか。
朝日新聞は、朝日の安易な記事の作り方を叱った第三者検証委員会の答申を、「尊重する」と約束したではないですか。ところが実際には、社内には、「あんな答申は無視したらいいのだ」という勢力が依然強いのでしょうか。社の方針を無視する記者も、その記事を掲載してしまう体質も、なんら変わっていないことが読み取れます。答申が無視された第三者検証委員会は、たとえ報酬抜きでも、「反省した朝日新聞」を再度検証する必要があるのではないでしょうか。
(07:44)