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【辛坊持論】言われなくても分かっている自民からの要望書

2014年12月2日6時0分  スポーツ報知

 衆院選スタート!です。公職選挙法には「自由な報道を妨げない(148条)」ってわざわざ書いてあるんですが、昨今、政治家からの締め付けが厳しくなり、各メディアとも相当神経質に選挙報道を行います。特に放送法で「政治的公平」を義務付けられているテレビ局の神経の使い方はある種「異常」と思えるほどです。

 そんな中、自民党から「選挙報道の公正中立を求める要望書」なるものが届いたので、先々週、私が担当しているラジオ番組で、「こんな文書が局に来たけれど、逆効果じゃないの」ってコメントしたんです。これは今でもポッドキャストで聴取できます。

 その後、各新聞が一斉にこのニュースを取り上げ、朝日新聞などは「自民、TV局に要請文」と大見出しで伝えています。私が番組で取り上げてからほぼ一週間後です。「新聞記者の情報収集力は低い!」って笑おうとしたら、「もしかして私のラジオを誰も聞いていないってことか?」と気づきました。トホホ。

 このニュースを伝える新聞の解説に「ここまで細かい指示を受けた記憶はない」という局員の声が出ていましたが、これは間違いです。ずいぶん前から、選挙になると放送局には「政治的公平性を求める要望書」が当たり前のように届いていました。しかし、これを送りつけてくるのは今までは大抵「泡沫政党」だったんです。

 衆院選に比例制度が導入されて以降、「所属現職が1人」なんていう政党が生まれて、テレビ局は討論番組でこの政党を呼ぶかどうかで迷うんですよね。大多数の国民が知りたいのは、政権の枠組みに関係しそうな政党の主張であって、「政党ひとり」に大政党と同様にしゃべらせることが果たして公平かって思うんです。

 ところが弱小政党に限って、放送法を盾に「要望書」を送りつけてくるのが最近の選挙における恒例行事でした。

 そう考えると、絶対安定多数をはるかに超える改選前議席を持っていた大政党が、政治的公平性を求めて文書を送ってくることには強い違和感を感じます。多くの局員は、「そんなこと言われなくても分かってるよ!」と憤慨したはずです。

 「横綱相撲」って言葉がありますが、政治家も政党もあまりに小粒化してませんかねえ。((株)大阪綜合研究所代表・辛坊 治郎)

辛坊治郎コラム
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