自衛隊:首相「わが軍」発言 菅長官「国際法上は軍隊」

毎日新聞 2015年03月25日 20時57分(最終更新 03月26日 00時37分)

菅義偉官房長官=首相官邸で2015年3月、小関勉撮影
菅義偉官房長官=首相官邸で2015年3月、小関勉撮影

 安倍晋三首相が20日の参院予算委員会で自衛隊を「わが軍」と答弁したことについて、菅義偉官房長官は25日の記者会見で「防衛を主たる任務とする組織を軍隊と呼ぶなら、自衛隊も軍隊の一つだ。自衛隊は国際法上は軍隊に当たる」と述べ、問題ないとの認識を強調した。だが、憲法との関係から歴代首相は自衛隊を「軍隊」と明言するのを避けてきただけに、野党は国会で追及する構えだ。

 憲法9条は「陸海空軍その他の戦力」の保有を禁じている。政府は自衛隊を日本防衛のための必要最小限度の「実力」組織と位置付け、「通常の観念で考えられる軍隊とは異なる」と説明してきた。菅氏はこの政府見解を踏襲しつつ、(1)軍隊の定義は明確でない(2)今回は外国軍との共同訓練を巡る答弁で、国際的には自衛隊は軍隊だ−−との論法で、「誤りではない」と首相を擁護した。

 ただ、首相自身も20日の参院予算委では、「わが軍」発言の直後に「自衛隊」と言い直している。菅氏も25日の衆院内閣委員会で、「私は自衛隊が軍隊とは断言していない。『軍隊と言うことができる』ということまでだ。自衛隊は憲法上は紛れもなく自衛隊だ」と釈明した。

 これに対し、民主党の榛葉賀津也参院国対委員長は25日の記者会見で「昔なら国会審議が止まり、下手をすると閣僚の首が飛ぶ話だ」と強く反発。維新の党の松野頼久幹事長は「国民が安全保障法制に不安を持つ中で、非常に軽率だ」と批判した。【木下訓明、福岡静哉】

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