安倍首相:4月29日に米上下両院合同会議で演説
毎日新聞 2015年03月27日 11時53分(最終更新 03月27日 12時48分)
◇米下院のベイナー議長が発表
【ワシントン西田進一郎】米下院のベイナー議長(共和党)は26日、来月下旬から公式訪米する安倍晋三首相が同29日に上下両院合同会議で演説すると発表した。日本の首相が上下両院合同会議で演説するのは初めて。ベイナー氏は声明で「首相の演説は、我々が経済や安全保障上の優先課題で協力をどう拡大させていくかについて、最も緊密な同盟国の一つから話を聞くことができる機会になる」と歓迎した。
さらに、ベイナー氏は「これには、市場を開放し、自由貿易を通したさらなる経済成長を促進するための協力が含まれている」と強調。環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の進展に注目していることをにじませた。
日本の首相による米議会演説は、1961年に下院で演説した池田勇人首相以来54年ぶりで、両院合同会議では初となる。安倍首相は2月に訪日した米下院議員団に演説への意欲を示し、日本政府が初の両院合同会議での演説実現に向けて米議会側と調整していた。
日本政府関係者によると、今月上旬には安倍首相のスピーチライターを務める谷口智彦内閣官房参与が訪米して情報収集するなど、草稿作りに向けた準備を始めているという。
一方、第二次世界大戦で旧日本軍の捕虜となった米軍人の遺族らの団体は、安倍首相が第二次大戦での日本の歴史的な責任を認める場合にのみ招待すべきだと訴える書簡を米議会に提出。韓国系団体なども従軍慰安婦問題への謝罪などを求め、演説を阻止しようと議会側へ働きかけていた。
日本の首相が米上下両院合同会議で演説する案は、2006年に小泉純一郎首相(当時)が米国を訪問する際にも浮上。しかし、下院外交委員長が「靖国神社を参拝しないことを前提にすべきだ」と求めたことなどから「日本側も真剣には追求せず」(日米外交筋)立ち消えになった。