首相:米両院合同会議で初演説へ 歴史認識、集まる注目

毎日新聞 2015年03月27日 21時18分(最終更新 03月28日 00時44分)

 安倍晋三首相が4月29日(現地時間)に、米上下両院合同会議で演説することが固まった。今夏の「戦後70年談話」公表を控え、首相の歴史認識を巡る考え方や表現に注目が集まるのは確実だ。4月下旬にインドネシアで開かれるアジア・アフリカ会議(バンドン会議)60周年記念会議での演説とあわせ、日本の戦後の歩みに対して国際社会の理解を得るための試金石となりそうだ。

 米下院のベイナー議長(共和党)が26日、発表した。日本の首相の米議会演説は池田勇人首相(当時)が上下両院でそれぞれ実施して以来、54年ぶり。上下両院合同会議で演説するのは初めてとなる。首相は27日の参院予算委員会で「日本の首相として、初めて上下両院の議員の前で演説を行う。私にとっても大変光栄なことだ」と述べた。

 上下両院合同会議での演説は、米国との蜜月関係を築いた小泉純一郎首相(当時)の2006年の公式訪問の際にも浮上した。だが、前年の小泉氏の靖国神社参拝が問題視され、議会演説自体が立ち消えとなった。合同会議では、第二次世界大戦での敗戦国のドイツ、イタリア両国首脳も演説したが、ルーズベルト米大統領が1941年12月、旧日本軍による真珠湾攻撃を受けた演説を行った経緯もあり、日本にとってはハードルは高かった。

 今回実現したのは、米側が日米防衛協力の指針(ガイドライン)の改定作業など、日米同盟強化への日本の取り組みを考慮したためとみられ、外務省幹部は「日本の重要性を米議会が正しく理解したからこその招待だ」と強調した。今月上旬に、スピーチライターの谷口智彦内閣官房参与が訪米し、準備を進めている。

 ただ、米国内の一部には、首相の歴史認識への疑念も残る。第二次世界大戦で旧日本軍の捕虜となった米軍人の遺族らは米議会に対し、安倍首相が大戦での「歴史的な責任」を認めた場合のみ演説を認めるよう要求した。

 菅義偉官房長官は記者会見で「今後も同盟関係を発展させ国際社会の平和と繁栄に貢献していくメッセージと、戦後70年のわが国の歩みを世界に発信する絶好の機会だ」と述べた。【鈴木美穂、ワシントン西田進一郎】

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