沖縄知事:「防衛局申し立て却下を」農水省に意見書
毎日新聞 2015年03月27日 22時33分(最終更新 03月27日 22時42分)
沖縄県は27日、米軍普天間飛行場(同県宜野湾市)の名護市辺野古への移設作業を続けるために沖縄防衛局が農水省に行った申し立てについて、却下か棄却を求める意見書を同省に提出した。現場海域に投下されたコンクリート製ブロックがサンゴ礁を損傷した可能性が高いとして、30日までに作業を停止するよう翁長雄志(おなが・たけし)知事が防衛局に指示していた。農水省は同日にも、防衛局の申し立てを認めるかどうか判断する。【佐藤敬一】
翁長氏は23日、県の許可区域外での防衛局による岩礁破砕を問題視し、水産資源保護法に基づく県漁業調整規則を根拠に、1週間以内の移設作業停止を指示した。これを受けて防衛局は同法を所管する農水省に不服審査請求し、裁決が出るまでの間、知事の指示に効力が生じないよう執行停止をあわせて申し立てた。
県は意見書で、国が不服を申し立てることは制度上、予定されていないと主張。「防衛局による執行停止申し立ては不適法」と農水省に却下を求めた。
さらに、仮に申し立てが受理されるとしても、最大45トンものブロックの投下は船舶の投錨(とうびょう)のような軽微な行為ではなく、「(許可区域外での)岩礁破砕に該当し得ることは明白」であり、防衛局の申し立ては速やかに棄却されるべきだと訴えた。
農水省が防衛局の主張を受け入れて執行停止を決定すれば、知事の指示は一時、効力が止まる。同省が審査請求を審理し、裁決するまでには数カ月かかる見通しで、政府はその間も現場での作業を続ける方針だ。
翁長氏は27日、県庁で記者会見し、申立書で「事業の遅れは、日米両国の信頼関係に回復が困難なほど悪影響が及ぶ可能性がある」と主張した防衛局に対し、「日米関係が悪化するから国内法に基づく必要な許可を得ないまま作業を続行させていいなら、独立国家の行動ではない」と厳しく反論した。
一方、林芳正農相は同日の会見で「沖縄県の意見書の内容を十分検討したい」と述べた。