原発事故:福島の母子のストレス、他県と比べ依然高く
毎日新聞 2015年03月25日 17時31分(最終更新 03月25日 18時00分)
◇福島大・災害心理研「不安共有や助言必要」
原発事故が、子育て中の母親や子どもたちの精神面にどのような影響を与えるのかについて、福島大の災害心理研究所が調査を続けている。震災から3年間の統計がまとまり、乳幼児を持つ母親と幼児のストレスが時間がたつにつれて低下していることが分かってきた。ただ、今回の調査で初めて、他県と比べて福島県内の母子のストレスが依然として高い状態にあることが明らかになり、専門家は継続的な調査と対策を求めている。【小林洋子、横田香奈】
福島大は震災後、県内の乳幼児の母親などに定期的にアンケートを実施。乳幼児の保護者へのアンケートは2011年度から毎年、11月〜翌年3月に行い、13年度は県内(30市町村6293人が回答)に加えて、初めて他県(新潟、大阪、福岡の3府県1092人が回答)でも調査した。分析では、調査時に避難している人を除いている。
調査では、乳幼児(4カ月児、1歳半児、3歳児)の母親のストレス8項目と、幼児(1歳半児、3歳児)のストレス11〜16項目をそれぞれ母親に聞き、県北▽県中▽県南▽相双▽会津−−の地区ごとに0(全くない)〜3点(よくある)で数値化。県内の母親が抱えるストレスの全項目の平均値(上限3点)は1.15〜1.29で、12年度だけ調査していない会津を除き、いずれも2年連続で減少した。
一方、全ての地区で母親のストレスが他県(1.1)より高い状態だった。3歳児のストレスの全16項目の平均値(上限3点)は0.69〜0.76で減少傾向にあるものの、他県(0.63)より高かった。また、震災後に生まれた1歳半児のストレスは、相双地区で2年連続で増加するなど減少傾向は見られなかった。
母親のストレスの程度をチェックする項目別では、「イライラしたり、すぐに腹が立つ」「突然震災のことを思い出す」ことが「よくある」と答える人の割合は減少傾向にある。一方、「疲れやすく、身体がだるい」ことが「よくある」と回答した母親は13.1%で、他県(4.1%)の3倍以上に上った。