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【書評】
ケント・ギルバートが読む 『「正義」の嘘 戦後日本の真実はなぜ歪められたか』
私は長年、いわゆる従軍慰安婦問題に関心がなく、「なんとなく」信じていた。現在は、ファクトを積極的に収集・検証しなかった当時の自分の態度を反省している。
だから明確なファクトを数多く提示し、様々な角度から朝日新聞の嘘と、欺瞞(ぎまん)に満ちた歴史を簡潔に教えてくれる本書は、資料として貴重なだけでなく、読んでいて安心感と心地良さを覚えた。
日米両国とも、リベラルと呼ばれる人々は、イデオロギーを優先するあまり、ファクトを軽視する傾向がある。
正義を気取るリベラル紙の文章は、臆測と揚げ足取りをベースに、被害妄想と陰謀論を掛け算し、隙間を罵詈(ばり)雑言で埋めたものが目立つ。
ファクトを基礎に据えない彼らの主張は、ジャーナリズムとは別世界の代物である。
法曹界にも時々、結論ありきでストーリーを組み立て、勢い余ってファクトの捏造(ねつぞう)に走る人がいる。そういえば慰安婦問題に深く関与した日本人弁護士は有名議員なのに、釈明をまだ聞いていない。
正真正銘のジャーナリストである櫻井氏と花田氏の、更(さら)なる活躍に期待したい。
(櫻井よしこ、花田紀凱著 産経新聞出版・880円+税)
評・ケント・ギルバート(カリフォルニア州弁護士)