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【書評】
ケント・ギルバートが読む 『「正義」の嘘 戦後日本の真実はなぜ歪められたか』
ファクトを軽視する彼ら カリフォルニア州弁護士の肩書を名乗る人間として、私は様々(さまざま)な場面で、常に「ファクト(事実)」を重視する。 法律家の仕事はクライアントの依頼内容を聞いた後、必ずファクトの収集からスタートする。その思考法が脳内に染みついているのだ。 かつて報道番組のコメンテーターを務めたとき、法律家によく似た仕事だと感じた。世界中に無数に散らばるファクト(情報)を収集整理し、それを自分の知識や経験、価値観に当てはめて見解をコメントする仕事だったからだ。 見解をテレビで話せばコメンテーターと呼ばれ、新聞や書籍に書けばジャーナリストと呼ばれるのかもしれない。だから私はジャーナリストに強い親近感を覚える。 そんな私が昔から尊敬するジャーナリストの櫻井よしこ氏と、公平公正でありながら鋭い切り口に定評がある花田紀凱(かずよし)氏の共著なだけに、本書は常にファクトを意識させる作りになっている。