辺野古:沖縄知事の指示を効力停止へ 農相、30日に決定

毎日新聞 2015年03月28日 12時16分(最終更新 03月28日 12時47分)

辺野古移設問題を巡り想定される今後の流れ
辺野古移設問題を巡り想定される今後の流れ

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設を巡り、翁長雄志(おなが・たけし)知事が出した移設作業の停止指示は不当として沖縄防衛局が求めた指示取り消しの審査請求で、林芳正農相は、審査結果を出すまでの間、指示を「執行停止」として効力を止める方針を固めた。30日に結論を出し、県と防衛局に通知する方向だ。

 執行停止により、防衛局は移設作業の継続が可能になる。また農相は今後、防衛局の審査請求を受けて審理を進め、県と防衛局から意見を聴くなどしたうえで、知事の指示を取り消すかどうかの裁決を審査結果として出す。裁決までの期間は行政不服審査法に定めはないが、知事の指示が取り消された場合、県側は訴訟などに踏み切る可能性がある。

 辺野古への移設関連作業を巡っては、翁長知事が今月23日、防衛局が現場海域で許可なく岩礁破砕をしている可能性が高いとして、辺野古沖での移設関連作業を1週間以内に停止するよう指示した。防衛局が従わない場合は、移設作業の前提となる「岩礁破砕許可」を取り消す考えも表明した。

 県の行う岩礁破砕許可は、水産資源保護法に基づく県漁業調整規則を根拠とする事務。防衛局は、県が問題視している海底へのコンクリート製ブロック設置について、「許可手続きの対象外だと県から説明を受けていた」としたうえで、「停止指示は違法性が明白で無効だ」と主張。水産資源保護法を所管する農相に審査請求を行うとともに、裁決が出るまでの間、暫定的に知事の指示の効力を止める「執行停止」を申し立てた。

 県は、執行停止の申し立てに対して27日に農水省に提出した意見書で「申し立ては不適法で却下されるべきだ」と主張している。【江刺正嘉】

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