ソウル市江東区と京畿道河南市一帯のスーパー経営者の間で「3人組『食パラッチ』詐欺団」のうわさが急速に広まった。「食パラッチ」とは、不良食品を製造・販売したとして業者を通報して行政機関から報奨金を詐取する人物のことだ。その結果、被害を訴えるスーパーが次々と現れた。旧正月連休前の先月15日から18日までにソウル市・京畿道だけで少なくとも40数カ所、こうしたことが行われたと分かった。その内訳は15日にソウル市松坡区(23カ所)、16日に江東区(7カ所)、17日に広津区(6カ所)、18日に京畿道河南市(5カ所)などだ。
そのうち、かなりの数の防犯カメラでその3人の姿がキャッチされていた。通報された商品は外国産オレンジジュースやマスタードソースなど、流通期間が比較的長い製品だった。通報された店は個人経営のスーパーのほか、大手企業系列のスーパーや企業型スーパーもあった。納品業者は「その流通期限日の製品は納品していない。おかしな話だ」と言う。流通期限の日からわずか数時間が経過したところを通報された店もあった。関係者らは「『食パラッチ』3人組が流通期限を過ぎた製品を外部から持ち込み、まるで店で購入したかのように装った」と推測している。
旧正月連休の前後にこうした食パラッチに通報され、課徴金を支払う羽目になったスーパー経営者らは、この詐欺団を「食パラッチのプロなのは明らか」と見ている。被害を受けたのはすべて売場面積が100坪の大型店ばかりだった。現行法上、違法販売と通報された経営者は通常7日分の売上高を課徴金として支払うことになり、通報者はその額の最大20%を報奨金として受け取ることになっている。
被害に遭った経営者らは「売上高が多い大型店だけを選び、最も忙しい旧正月連休にこうした行為を働いたようだ」と話す。通報された店は800万-1300万ウォン(約87万-140万円)の課徴金処分を受けることになった。
経営者らは先月28日、京畿道河南警察署に「同一犯と見られる3人組を捕まえてほしい」と陳情書を提出した。今後も関連資料を集め、警察に正式に捜査を依頼するとのことだ。ソウル市江南区内の警察署でもこの3人の情報を入手していることが分かっている。
不良食品を発見・通報した人に報奨金を支払う制度は2010年から施行されているが、一部に弊害が出ている。本紙は国民権益委員会に対し、防犯カメラに写っていた3人と接触したいと要請したが、同委員会側は「公益通報者保護法上、通報者の身元は教えられない」と回答した。