大震災4年:県外避難者、被災時住居「戻らず」85%
毎日新聞 2015年03月29日 10時00分(最終更新 03月29日 11時10分)
東日本大震災後に福島、宮城、岩手3県を離れて全国各地に避難している「県外避難者」に毎日新聞がアンケートを実施したところ、被災時に住んでいた地区に「戻らないつもりだ」もしくは「戻れないと思う」と答えた人が計85%に上った。福島からの避難者の場合は「戻らない」「戻れない」人の7割以上が、残留放射線や東京電力福島第1原発の状態を理由に挙げており、原発事故の影響が最大のネックになっている。【坂根真理】
毎日新聞は2011年秋から半年ごとに県外避難者アンケートを行っている。
8回目となる今回は2月に実施し、144人(男女各72人)から回答を得た。被災時の居住地は福島120人、宮城18人、岩手6人。
帰還意思を尋ねたところ、「戻るつもりだ」が15%、「戻らないつもりだ」は46%、「戻りたいが戻れないと思う」は39%だった。
「戻らない」「戻れない」理由(複数回答)は、宮城、岩手からの避難者(計20人)の場合、「戻っても仕事がない」「自宅が災害危険区域にある」が共に40%で最多だった。
一方、福島からの避難者(102人)は「残留放射線による被ばくが怖い」(75%)、「福島第1原発の状態」(71%)が突出している。次いで「被災地域のコミュニティーや経済が崩壊している」(29%)、「自分や家族が今の居住地になじんだ」(28%)が多い。
◇自主避難者多い避難区域外「戻らない」5割超
福島県からの避難者については、被災時の居住地が避難区域かどうかで帰還の意思を分析した。現在も避難区域の人は51%が「戻れない」、39%が「戻らない」と答えた。
一方で、避難区域になったことがない地区の人では「戻らない」54%、「戻れない」32%と割合が逆転する。この地区からの避難者の多くが被ばくを懸念して自主避難した人たちだ。
福島県からの避難者に、仮に戻る場合に許容できる年間追加被ばく線量を尋ねたところ、「ゼロ」が60%と最も多く、次いで「1ミリシーベルト未満」15%、「5ミリシーベルト未満」2%だった。22%は無回答だった。国は「20ミリシーベルト以下」を避難指示解除の要件の一つとしており、避難者の意識と大きな隔たりがある。