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 アラブ連盟首脳会議は29日、イエメンのハディ暫定大統領の支持を表明し、アラブ合同軍の創設に合意する声明を発表して閉幕した。合同軍創設は連盟の初の試みとなる。米国の中東での影響力低下、イランの脅威の拡大が背景にある。

 合同軍構想は従来もあったが、本格的に検討されてこなかった。これまでアラブ諸国で紛争が起きれば米軍が介入してきた。だが米オバマ政権はイラクから米軍を撤退させ中東から距離をおいている。イラク・シリアで勢力を伸ばした過激派組織「イスラム国」(IS)に対しても米軍は空爆に踏み切ったものの、地上部隊の派遣には消極的だ。

 合同軍創設を主唱したのはエジプトのシーシ大統領だ。同国は東部シナイ半島でISに忠誠を誓う武装組織と国軍の衝突が続く。2月にはリビアでエジプト人ら21人がISに殺害された。だが2013年にムルシ政権が軍主導で打倒された後、米国の軍事支援は縮小しており、過激派対策でアラブ諸国に結束を呼びかけている。