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【秘密保護法 言わねばならないこと】

(41)武力で平和守れない 落語家 古今亭菊千代氏

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 昔は憲法について考えたことはなかった。二〇〇〇年から国際交流のNGO「ピースボート」の船で世界各地に行くようになり、九条のすごさ、こんなに世界の人から認めてもらっている憲法を日本は持っている、空気みたいに守られていると知った。

 中でも前文と九条は、日本が戦争中にしてきた間違ったこと、嫌な目に遭わせた人へのおわびと、二度とそういうことはしませんという誓いだと思う。

 今では日本人がいろんな国に行っても、日本はちゃんとした国だと、みんな分かっていて守られている。

 にもかかわらず、集団的自衛権の行使を認めるといって、逆に海外の日本人をどんどん危なくしている。すべて安倍(晋三首相)さんのせいだけとは言わないけれど、政府がこの方針を決めた。

 なんでこんなに平気で変われるのか。絶対おかしい。海外の若い人たちは今の日本を見るわけだから、そういう国なんだと思うかもしれない。年を取った人たちは、また日本が元に戻ったと見るかもしれない。

 私は抑止力という言葉も嫌い。抑止力には、相手側はもうひとつ大きな抑止力をもってくる。そのまた大きな抑止力ということにつながり、結局、地球全部がだめになってしまう。武力で平和は守れないと思う。

 九条のおかげで平和に生きてこられた。そのありがたさをいま一度、みんなで考えましょうと言いたい。いつの間にか自分の息子が自衛隊で海外に行って戦争に加わったり、傷ついたり、そんな目に遭ったお母さんが、寄席に来て落語を聴いても笑えるわけがない。戦争になったら笑えない。笑える幸せは平和憲法九条のおかげだということを分かってもらいたい。

<ここんてい・きくちよ> 1956年生まれ。93年に先輩落語家とともに女性で初めて真打ち昇進。「『女の平和』ヒューマンチェーン(人間の鎖)」呼び掛け人の一人。

 

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