昨今、国内回帰論や設備投資の観点から、日本国内における製造業の生産能力増強がどういうタイミングで本格化するのか関心が高くなっているところかと思います。
そのため、「経済指標に見られる国内設備投資回復の兆し」という資料で、本年1月までの足下の動きについてご紹介しました。
内容をまとめると
•日本の製造業の生産能力指数は、3年のバブル崩壊という歴史的な転換期を経て、上昇一辺倒から離脱することとなった。バブル崩壊以降20年以上の期間 が経過しており、26年8月現在5回目の景気循環過程に入っているが、生産能力指数の上昇期は第14循環の景気拡大期の一時期のみであった。現在は、バブ ル崩壊後、2度目の生産能力低下サイクルに入っている状態である。
•この2度目の生産能力低下サイクルにおいては、資本ストックの低下というよりも、常用雇用の削減によって、生産能力は低下しており、逆に資本ストックそ のものは、維持・補修投資など能力増強とは別の目的での設備投資によって増加していた。海外設備投資比率が上昇していることもあり、国内の供給余力が低下 し、本年1~3月期のように特需的な状況となると、輸入が増加してしまうという状態になっている。
•過去の経験則からみた生産能力指数が増加に転じる稼働率指数の水準には、現在の稼働率は到達できておらず、生産能力指数の反転上昇に至る道筋は、未だ道半ばという状態となっている。
というレポートです。
今後の議論の前提として、過去の長期的動きについてご関心の向きは、是非ご活用いただければと存じます。
なお、先日25日に、調査統計グループ企業統計室から日系製造業の海外現地法人の活動状況についての2014年第4四半期分の統計が公表されました。
このデータを用いて同室が海外設備投資の状況について把握できますが、やはり「足下では、海外現地法人の設備投資の伸びは鈍化傾向」となっていることも併せてご紹介します。
http://www.meti.go.jp/statistics/tyo/genntihou/result-1/h26/pdf/h20150325d.pdf