函館沖転覆:1人救助 音がした船首にライト合図送り…

毎日新聞 2015年03月28日 11時39分(最終更新 03月28日 15時20分)

作業船が転覆した場所付近で、行方不明者捜索のため海に飛び込む海上保安庁・特殊救難隊のダイバーら=北海道函館市で2015年3月28日午前5時25分、手塚耕一郎撮影
作業船が転覆した場所付近で、行方不明者捜索のため海に飛び込む海上保安庁・特殊救難隊のダイバーら=北海道函館市で2015年3月28日午前5時25分、手塚耕一郎撮影

 ◇海保の特殊救難隊らが午前5時過ぎから救助開始

 北海道函館市の沖で27日、作業船「第18明祐」(19トン、4人乗り)が転覆した事故で、函館海上保安部は28日朝、船室で甲板員、永田勝行さん(64)=長崎市在住=を発見、救助した。転覆から約15時間が経過していたが、命に別条はない。

 「第18明祐」が流れ着いた函館市沖の現場付近の津軽海峡は当時、激しい波と風で捜索は難航した。

 一夜明けると打って変わって風も波も穏やかに。日の出前の午前5時の現場の海水温は8.5度。気温は8.6度。海保の特殊救難隊らが救助の準備にかかり、同15分、捜索を始めた。

 同25分ごろ、特殊救難隊員らを乗せたボートが浅瀬に近づき、5人が次々と海の中へ。前日、機動救難士がナイフで船底をたたいた際、たたき返したような音がした船室を捜すと、間もなく潜水士が波間からライトで船に合図を送ってきた。

 現地の海保や警察、消防の隊員らは無線や携帯電話で連絡を取り合う声でざわめく。やがて、救命用のマスクを付けられた男性がぐったりとした様子でボートに引き上げられ、船上で心臓マッサージが行われた。男性はヘリコプターに引き上げられ、函館空港に搬送された。海保は同40分に永田さんを発見したと発表した。

 第1管区海上保安本部などによると、永田さんは船体中央部の空気が残った右側居住区で救助された。潜水士が永田さんに声を掛けたところ「寒い」と訴えた後、意識を失った。一時は脈も取れない状態に陥ったが、搬送先の病院で意識を回復。一命を取り留めた。

 一方、28日午前5時20分ごろ、現場から10キロ以上離れた市内の海岸で男性1人が遺体で見つかった。海保は27日に遺体で収容された男性も含め、乗員の可能性もあるとみて調べるとともに、引き続き巡視船やヘリコプターなどで行方不明者を捜索している。

 作業船は船会社「パールライン」(熊本県上天草市)が所有。船舶部品を積んだ台船をロープでえい航して27日に函館港を出港し、宮城県・石巻港経由で横浜港に向かう予定だった。28日は「パールライン」の関係者が現地入りした。海保は船がえい航していた台船と積み荷の状態などについて事情を聴く方針。【鈴木勝一、横尾誠治、三股智子、遠藤修平】

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