まるで映画、元日本人教師の手紙が台湾の教え子に 戦前の古い地名、郵便配達人が奮闘 [熊本県]
【台北・横尾誠】戦前の台湾で小学校教師だった熊本県玉名市の女性が、かつての教え子に手紙を送った。宛先として書き記したのは今は存在しない日本統治時代の旧住所。本来なら差出人に戻されるケースだったが、台湾の郵便配達人は手を尽くして教え子を見つけ出し、106歳という恩師からの手紙は無事届けられた。23日付の台湾紙「蘋果日報」が報じた。
手紙は2月25日に台湾中部・台中市の烏日郵便局に届いた。宛先は今はない旧住所の「楊漢宗」さん宛て。配達担当者は頭を抱えたが、封筒の厚みと丁寧な毛筆の宛名書きを見て「これは大事な手紙に違いない」と考えた。該当地域周辺を一軒一軒尋ねて回り、今月8日、ついに親族を見つけ、手紙を届けたという。
女性は現地の烏日公学校(小学校)の元教師。1939(昭和14)年の卒業記念写真を同封し、教え子たちが元気でいるか尋ねる手紙を送ったのだった。
残念ながら89歳の楊さんは病気療養中のため、便りを知ったほかの教え子たちが、「元気です」と恩師に手紙を書くことにしている。
=2015/03/24 西日本新聞=