桜の開花シーズンが近づいている。日本を代表する桜といえば、ソメイヨシノだが、実はこれ、東京都台東区の上野公園に現存する1本を原木として全国に広がった可能性があるという。千葉大のチームが研究結果を12日に発表した。
ソメイヨシノは江戸時代から明治時代にかけて登場したとされるが、起源は不明で論争が続いている。中村郁郎教授(分子育種学)は「まだ推測が多く仮説の段階だが、論争を決着させるきっかけになるかもしれない」と話している。
ソメイヨシノは原木から人の手による接ぎ木で広まり、全ての木が同じ遺伝子を持つクローン。チームは上野動物園の表門近くの区画に、ソメイヨシノ4本と、コマツオトメなど近縁種の桜6本が並んで植えられているのに着目。遺伝子を解析すると、6本はソメイヨシノと共通の親木を持つ兄弟の桜と判明した。
チームは、兄弟が規則正しく並んでいることから、親木を交配して同時期に生まれた桜が一緒に植えられたと考えた。ソメイヨシノのうち区画の端にある1本が、観賞用ではなく、接ぎ木の枝を採るための原木の可能性があると結論付けた。