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【スポーツ】

<首都スポ>浦学が平安に劇勝 難病克服の江口が完封

2015年3月24日 紙面から

浦和学院−龍谷大平安 延長11回を完封で初戦突破し、喜ぶ浦和学院・江口=甲子園球場で(大橋脩人撮影)

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◇センバツ高校野球<3日目> 浦和学院2−0龍谷大平安

 大会連覇の夢を断ち切った。関東王者の浦和学院(埼玉)が延長11回、昨年覇者の龍谷大平安(京都)を破って2年ぶり優勝へ向け初戦を突破した。78年ぶりとなった前回優勝校と前々回優勝校の好カードは息詰まる投手戦となり、浦和学院が11回に決勝点を奪った。視覚障害のために一時は野球を続けることも危ぶまれた江口奨理投手(3年)が甲子園初登板で完封、センバツV左腕の高橋奎二投手(3年)に投げ勝った。

 難病を克服した浦和学院の江口が、龍谷大平安のセンバツ連覇の夢を打ち砕いた。一昨年と昨年の覇者がぶつかった一戦は、やはり1回戦屈指の好カード。0−0で延長戦に突入した息詰まる投手戦を、江口が制した。11回、最後の打者を三ゴロに打ち取ると、小さなガッツポーズを見せた。

 3安打無失点で、堂々の完封勝利。「インコースの真っすぐが決まりだしてから自分のテンポで投げられた」。一昨年の優勝左腕で今春早大に進学する小島和哉投手直伝の内角攻めがさえた。延長まで投げるのは初体験だったが、「絶対に相手に点をやらないぞ、と諏訪が奮い立たせてくれた。厳しいところに投げ切るのに徹した」という。

 一度は野球をやめるところまで追い込まれた。「去年の今ごろを思うと…、ここに立てるというだけで喜びがある」。1年生だった一昨年9月、右目を患った。角膜潰瘍という病気だった。1年近く野球ができなかった。父・文彦さん(47)は「病院などを7、8カ所回ったがどこからも治らないと言われた。野球どころか、将来就職もどうなるのかと途方に暮れた」と振り返る。しかし、奇跡的に回復。「視界が白くぼやけて見えにくかった」(江口)が、10メートルほどのキャッチボールから再開。昨年8月に復帰した。

 身長も173センチと大柄ではないが、中学時代に全国大会で優勝し、日本代表にも選ばれている野球のエリートだった。それでも文彦さんは、今回のことが「自分の将来を見つめるいい機会になったと思う」と話す。今年の正月、江口は自衛官である文彦さんに「お父さんの仕事は、どんな仕事なの?」と、詳しい内容を初めて尋ねてきたという。そして、江口が今大会のアンケートに答えた「将来の夢」の欄には、「自衛官」と書かれてあった。

 森士監督(50)は、江口の投球に「落ち着いて臆することなく投げてくれた。たくましくなった」と目を細めた。9回無死一塁の攻撃で送りバントを失敗して併殺を食らい、指揮官も「あぁ、これはだめか」と思ったというが、延長で見事な勝利。「こんな展開、正直、感動しました」とうれしそうだった。 (山内明徳)

  ◇

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