いただきます
(一同)いただきます!
子どもたちが学校で食べる給食のパン
これがおいしいと評判の工場が滋賀県にあります
焼き上げるパンは1日およそ1万5千本
そんなパン工場の社長が大きなコンテストに挑戦!
みずからが手がけた滋賀県産の小麦100%のパンで日本一の食パンを決める大会に出場しました
果たしてその結果は?
今回は給食用のパンで日本一を目指す熱血社長の夢のカタチ
滋賀県長浜市
ここに食パンがおいしいと評判の1軒の工場があります
それが丸栄製パン株式会社
作っているのは主に学校給食用のパン
1日およそ1万5000本を焼き上げます
丸栄製パンの社長・井孝裕さんは3代目
熱血社長と呼ばれ親しまれています
早朝5時白衣に着替え工場を案内して頂きました
大きな機械でミキシング
一度に1200人分もの巨大なパン生地を作ることができます
オートメーション化されたラインによって次々にパンができあがっていきます
生地をそのままラインの入り口に入れると…
大きなパン生地を小さく分割し丸めます
さらにラウンダーというマシンが生地を丸い玉にしていきます
丸になったものをこちらのプルファーっていう機械でかごに1つずつ入れていって中間発酵させる機械です街中のパン屋さんでは使わない機械になります
中間発酵と呼ばれる寝かせの時間は20分
発酵の進んだ生地は続いて成形の工程へ
食パンの型に入れる前に再び丸められていきます
生地の状態を見極めるのは職人の仕事
食パンは角型の箱に丸めた生地を詰めて焼きます
この窯も給食用のパン工場ならではのビッグサイズ
一気に1200人分もの食パンが焼けるのです
大きな窯に入れられた生地は熱のトンネルを通り抜けじんわりおよそ30分かけて焼き上がります
そして工場の2階では…
例えば下で1000個作って
細部にまで気を配りながら焼き上げられた食パンは滋賀県の各学校へと運ばれていきます
給食の時間おいしそうに食べる子どもたち
みんな週に一度のパン給食を心待ちにしていました
そんな子どもたちから手紙が送られてくることもあります
そこには「パンが大好き」「ふつうのパンよりも給食のパンのほうが好き」といった感謝の気持ちがつづられていました
うれしいです僕らはやっぱりお客さん見えないので僕らやっぱり生徒さんのためにね仕事してるんで唯一のこの接点っていうか…ところなのでこうやって大事に保管さしてもらってます
井さんはここ滋賀県長浜生まれ長浜育ち
幼い頃から野球が好きだった井さんは高校・大学でも野球部で腕をならした体育会系
東京の大学を卒業後丸栄製パンの跡を継ぎました
しかしその時会社は大変な時期だったのです
帰ってきてこんな状況になってるとは…だまされたじゃないけども…しまったなと思いました帰ってきた時
少子化による児童の減少米飯給食への切り替えなど給食用のパンだけでは経営が難しくなっていました
そこで丸栄製パンは一般の方にも自分たちが作るパンの味を知ってほしいと工場にベーカリーショップをオープン
直営店・POCOAPOCOは無添加にこだわったパンが並びます
それでもまだ不安だった井さんが次に打った手は…
地元・滋賀県の食材を使ったパンを作りたい
そうひらめいた井さんがまず出向いたのが比叡ゆば本舗ゆば八
湯葉を作る時に出るおからに着目した井さんはおからを使った健康的なパンを八木社長に提案
当時の井さんをこう振り返ります
水分はすべて豆乳
大豆の自然な甘みを生かしそこに八木社長から譲り受けた無添加のおからを合わせ滋賀県ならではのパンが完成
井さんは受注生産することで経営の建て直しを計ったのです
「豆乳おからパン」はゆば八の人気商品になりました
そんな「豆乳おからパン」がなんと給食のパンに選ばれたのです
学校から8000個もの「豆乳おからパン」の発注
滋賀県の食材で作ったパンを滋賀県の子どもたちに食べてほしい
井さんの思いは学校に届いたのです
いただきます
(一同)いただきます!
滋賀県の食材にこだわったパンで地元の子どもたちが大喜び
そうして井さんは滋賀県の企業とコラボレーションし滋賀県の食材を使ったパンを続々と生み出します
徐々に経営を軌道に乗せ始めました
急いで行きましょう
井さんに休む暇はありません
給食のパンを焼き上げるとすぐに工場を飛び出します
おはようございますあっはいありがとうどこにいるんかと思った
野菜作りの達人・野田さん
井さんとは10年前に知り合い意気投合
井さんはパンに季節の野菜を練り込むため収穫のタイミングを聞きつけては真っ先に野田さんの畑を訪れます
今の時季に目をつけたのは大根の葉
これを使ってパンを作ろうというのです
(井)これやったらもう…これだけしてもらったらほんでええ…こんだけこれやったらまだ下使えるやんほんだけでええ
(野田)こうやって落としてこうやってしとこか?
(井)そんでええ
野田さんからにんじんと大根の葉を購入した井さん
車に載せ次の目的地へと向かいます
よっ!
やって来たのは車で2時間以上かかる奈良県・宇陀の農産物加工工場
よっ…
パンに野菜そのものの味と香りを練り込みたいと考えた井さん
少量の野菜でも粉末にしてもらえる場所を見つけました
この日は山芋を加工中
ペースト状の山芋に熱を加えて水分を飛ばし粉末に
この粉末が野菜パンに最適だといいます
加工を担当する吉村さんは井さんの行動力にいつも驚かされるそうです
井さんの持ち込んだ大根の葉は吉村さんの技術で粉末となり淡いグリーンの食パンが完成
こうして滋賀県産の食材でパンを生み出してきた井さんにとってさらなる大きな目標が生まれました
それは学校給食のパンに滋賀県産の小麦を使いたいという思い
しかし今の段階では実現は難しいのです
これはね学校給食用の粉なので滋賀県の学校給食指定のものです
滋賀県は日本でも有数の小麦の産地
ならば滋賀県の小麦100%のパンを
その思いがどんどん膨れ上がってきました
俺なんで滋賀でパン屋してるのに滋賀の小麦使えないんだろうっていうとこからパン屋ではありえないような分野に足突っ込んでしまったっていうことですね
これは最初に井さんが作った滋賀県産小麦100%の食パン
実は滋賀県産の小麦は主に家畜の飼料として使われる品種のためパンには向いていませんでした
ならばパンに向いている小麦を滋賀で育てよう
そう考えた井さんは作ってもらえる農家を探しました
挑戦してくれたのがこちらの井狩さん
井さんが託したのはユメチカラとミナミノカオリの2種類
もともとは北海道の品種で滋賀県で栽培に成功した例はありませんでした
まったく手探りの状態ですからねこちらで作られてないんででも井さんこの…見てのとおり熱い方なんでこれはおもしろい…真剣にやらなあかんなと思ってやってるんですけど
井狩さんの努力のおかげで見事1年目から小麦が穂に実をつけました
しかしさらなる壁が…
麦できたはいいけどもパンにするのに粉にしないといけないなと思ったんですけど粉にできなかったんですよねなんせ試す量が少ないのでちょっとの量をひいてくれる所がなかったのでないなら自分で作ってしまおうと思って作ったのがまず最初こっちの機械を作りました
小麦の栄養をすべて残したいと考え全粒粉ができる機械を独自に開発
しかしできあがりはキメが粗くアクが強すぎパンには不向き
次に開発した白い小麦粉を作る機械も失敗
2台でおよそ300万もかかった機械は結局使い物になりませんでした
作っちゃいましたね
そこで少量でも粉にしてくれる製粉所を探すことに
やっと見つけたその場所はなんとはるか遠い北海道の江別市
井さんは小麦を車に積み北海道へと乗り込んだのです
ついに江別から念願だった滋賀県産小麦100%の粉が到着
それはまさにユメチカラがかなえた夢の小麦粉でした
感激しましたね
そして2年前
井さんは滋賀県産100%の小麦粉を使いパンを作ることに成功しました
(井)皮の引きの強さであったりとか中のもっちり感っていうのはほかの外国産小麦の食パンにはなかった食感だったのですごいうれしかったです自分の中でこの小麦からパンまでっていう1本筋が通ったっていうか芯が通ったような気がしたので自分の中ではスッキリしました
滋賀県産の小麦でできたこのパンの味を全国の人に知ってほしい
そう願う井さんに絶好の機会が訪れました
それがパンの日本一決定戦「BAKERYJAPANCUP」
そして丸栄製パンは名だたる有名店を抑え関西地区大会で見事優勝
全国大会への切符を手にすることができたのです
会社の職人代表は製造主任・岡嶋和也さん
滋賀県の小麦で滋賀県の人間がパン屋がここまでできるんだよっていうところは全国的に知らしめたいし給食のパン屋がここまで考えてるっていうことも分かってほしいし丸栄製パンの代表としてね滋賀県の給食の代表としてやってもらおうと思ってます
全国大会まであと1ヵ月
井さんと岡嶋さんの猛特訓がスタート
日本一を目指すため休みなくトレーニングに時間を割きました
しかし出場する岡嶋さんには越えねばならないハードルがありました
(井)今回はコンテストなので手作業なのでほんとは機械がクルンと丸めてくれるところを全部手でやったりとかそこは違いますね
コンテストではすべてが手作業
日頃ラインを動かして作っている食パンに比べ手間も時間もかかります
口にした時の食感とキメの細かさをアップさせるため焼き型には通常は6つの生地の玉を入れるのですが8つに増やします
食パンの味・作業のスピードを厳しく指導する井さん
何度も何度も焼き上げ試食を繰り返します
外見からやろう〜ん…もうちょいほんまにもうちょい
全国大会までいよいよ残り1週間
2人にとって最後の練習となりました
その焼き上がりは?
給食のパンでは最高の状態を示すホワイトラインもちゃんと浮き出ています
あとは食感を大切にしたキメの細かさ
おぉ〜岡嶋
井さんにとっても岡嶋さんにとっても納得のいく食感・味となりました
給食の食パン賞やったらうちやなけどね給食の食パン賞じゃないので今度はけどそれを一般の人とかいわゆるパンの権威といわれる人にどう見てもらえるかとかそれが僕らのテストみたいなもんっすわ
全国大会当日
(井)おはようございますおはようございますもう僕はすることはそんなないので今日は一日彼を見守ってやってきたことをここでやるだけなんで大丈夫です
千葉・幕張メッセで行われる「MOBACSHOW」は製パン製菓産業に必要な機械・設備などが披露される博覧会
ここを舞台にパンの日本一決定戦「BAKERYJAPANCUP」が開催されます
パンを焼く機械をはじめ何もかもがいつもと違います
使い方・調整を入念にチェックする岡嶋さん
・はいそれでは競技始め!・・お願いしまーす・
滋賀県産小麦100%の食パンを日本一に!
井さんの思いを背負い岡嶋さんの戦いが始まりました
全国大会では各地方ブロックで優勝したパンの名店と争います
街で人気のベーカリーショップとしてそれぞれ名の知れた凄腕の職人たち
給食用のパンを作っているのは関西地区代表・丸栄製パンだけです
大きな舞台でもものおじすることなく作業を進める岡嶋さん
そこにうれしい応援団がやって来ました
滋賀県長浜から岡嶋さんの家族が駆けつけてくれたのです
井さんの製法は給食用の食パンを焼くために考案したもの
その独特な作り方に審査委員たちも興味津々
製法も全く
岡嶋さん練習どおり着実に作業を進めこれといったトラブルもなく食パンを焼き上げたようです
井さんの思いが詰まった食パンで目指すは日本一!
勝利の女神はほほえむのでしょうか?
パンの日本一決定戦「BAKERYJAPANCUP」
いよいよ大詰め
ライバルたちのブースから食パンが焼ける香ばしい香りが漂ってきました
そして丸栄製パンの製造主任・岡嶋さんも滋賀県産小麦100%の食パンを焼き上げたようです
全国大会ではディスプレイまでが評価の対象となります
滋賀県で実った小麦を100%使用した丸栄製パンの食パン
これまでで最高の食パンができました
味を審査するには焼き上がりから40分ほど冷まし常温にしなければなりません
お疲れ
(岡嶋)すごいっすよね…何が?
いよいよ審査委員が丸栄製パンの食パンを試食
あとは結果を待つだけ
(女性)「第二回BAKERYJAPANCUP食パン部門」結果発表ならびに表彰式を行います
井さんが一から作り上げた滋賀県産小麦100%の食パン
その結果は…
(女性)「第二回BAKERYJAPANCUP食パン部門」優勝・農林水産大臣賞は…株式会社木輪芳野健さんですおめでとうございます
(一同拍手)
惜しくも優勝を逃しましたが全国の名だたる店舗の中ベスト4に入りました
(女性)岡嶋和也さんでした大きな拍手をお送りください
(一同拍手)悔しいな岡嶋クソ〜えぇ〜いっちゃんよかったでどっちかハッキリ分かれるやろうなとは思ったんですよ好みがたぶんもう1回うちがチャレンジしてもこのパンを岡嶋に焼いてもらいますこの考え方でこの手法でこの思いでやってもらいますはい
自分のやり方は間違っていないと確信した一日でした
滋賀県産小麦100%の食パンで日本一を目指した井さん
夢のツヅキは…
やっぱりこの麦を中心とした滋賀県産の農産物をパンで食卓に届けるっていうこれだけはうちは譲れない線なのでこれを突き進んでいきたいなと思いますせっかく学校給食やらしてもらってるのでこの滋賀で取れた麦を滋賀の子どもたちにわれわれ滋賀のパン屋がお届けするというとこでやっていきたいと思ってます
無添加素材にこだわった丸栄製パンの焼きたてパンは工場直営店・POCOAPOCOで購入可能
すべてに井さんの熱い思いが込められています
本日はダイアンなり!今日は大淀南のほうに来ております2015/03/28(土) 11:00〜11:30
ABCテレビ1
LIFE〜夢のカタチ〜[字]/佐々木蔵之介 「熱血社長の目指せ!食パン日本一」
人生はいろんな夢でできている…夢追う人の輝く瞬間を佐々木蔵之介の語りで描きます。
今回は「滋賀・長浜 熱血社長の目指せ!食パン日本一」です。
詳細情報
◇番組内容
滋賀県長浜市にある丸栄製パンは主に学校給食用のパンを作っています。社長の辻井孝浩さんは滋賀県産の食材を使った様々なパンを全国に広げようと奮闘する熱血漢。今年、食パン日本一を決定するコンテストで関西地区を勝ち抜き全国大会に挑むことに。辻井さんの挑戦に密着します
◇ナレーション
佐々木蔵之介
◇おしらせ
この番組は、朝日放送の『青少年に見てもらいたい番組』に指定されています。
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – ドキュメンタリー全般
情報/ワイドショー – 暮らし・住まい
趣味/教育 – その他
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
映像
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
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