異国から持ち込まれた病…。
今こそ敵をひるませ侵略をためらわせる新しい武器がなくては。
(寅次郎)ここを踏み出す一歩がいずれ世の中を変える!強烈なキ〜ック!ライバルから縄張りを守るため激しく戦うワオキツネザル。
あっ背中に赤ちゃん!実は戦っているのはお母さんたち。
ワオキツネザルはお母さんたちが協力して群れを守るんです。
今日は仲間と助け合って生きる生きものたちの大特集。
森の中を流れる緑の川?正体は葉っぱを運ぶアリハキリアリです。
このアリたち100万匹が協力してなんと巨大な農場をつくり上げるんです。
熱帯の森の厳しい自然を一致団結して乗り切ります。
こちらのリカオン。
一緒に暮らしているのはなぜか全く別の動物ジャッカルなんです。
そこへ…。
天敵のハイエナが接近。
するとジャッカルと力を合わせて追い払います。
種をこえた不思議な絆の物語です。
スクープ映像満載!これまでの放送からえりすぐった仲間と助け合う驚きの生きものたちをご紹介します。
(テーマ音楽)白と黒の長〜い尻尾。
最初の主人公はこちらワオキツネザルです。
暮らしているのはアフリカ大陸の東インド洋に浮かぶマダガスカル島。
島の南部にある自然保護区です。
今は乾季の真っただ中。
雨はほとんど降りません。
ワオキツネザルは原始的なサルの仲間です。
頭からお尻までの長さは40センチほど。
オスもメスもほとんど同じ体格です。
普通15匹ほどの群れで暮らしています。
木の上で何か食べています。
タマリンドの実です。
ワオキツネザルの大好物。
タマリンドは乾季の真っただ中に実る貴重な食べ物なんです。
ここで群れのオスとメスの不思議な関係を目撃しました。
タマリンドの実を食べ始めたオス。
そこへ子連れのお母さんがやってくると…あれ?実を手放しちゃいました。
こちらのお母さんは半ば強引にオスから実を奪ってしまいました。
実はワオキツネザルの群れは「かかあ天下」。
子どもを連れたお母さんが最も順位が高いんです。
この時期お母さんたちは子育ての真っ最中。
赤ちゃんにお乳を与えるためたくさん食べなければなりません。
お母さんたちにねだられたら立場が弱いオスは食べ物を渡すしかないんです。
ちょっとかわいそうな気もしますがこれも大切な子どものため。
厳しい乾季。
群れのメンバーはお互いに助け合いながら子どもを育て上げるんです。
おなかに2匹の赤ちゃんを抱いているのはアリコと名付けられた8歳のメスです。
その隣で赤ちゃんをなめているのは3歳のメスローラ。
実はアリコが抱いている赤ちゃんの1匹はローラの子どもなんです。
ローラは初めての子どもを産んだばかりの新米お母さん。
一方アリコは子育て6回目のベテランです。
ローラと血のつながりはありませんがその子育てを助けているんです。
赤ちゃんを2匹とも連れたままアリコが木から下りてきました。
ローラの赤ちゃんにお乳をあげています。
まだお乳が出ないローラに代わりアリコが面倒を見ていたんです。
他人の子にお乳まで与えるなんてお母さんたちは深い絆で結ばれているんですね。
9月下旬。
乾季はピークを迎えました。
いつものようにタマリンドの実を探すローラたちの群れ。
でもこの時期食べられる実はほとんど残っていません。
今度は地面に降りて探します。
実を拾いましたが…すぐに捨ててしまいました。
落ちているのもほとんどが食べかすや虫食いの実。
ひたすら探し続けます。
食糧不足は幼い赤ちゃんを抱えたお母さんたちにとって深刻な問題です。
この時期残り少ない食べ物を巡って頻繁に縄張り争いが起こります。
ローラたちの群れの縄張りは直径200メートルほどのエリア。
その周りにはこんなふうに他の縄張りがひしめいています。
縄張りの境界では群れ同士の争いが後を絶ちません。
ローラたちの縄張りに隣の群れが近づいてきました。
手前がローラたちの群れ。
不穏な雰囲気です。
相手に引き下がる気はないようです。
ついに戦いになりました。
見て下さい。
背中に赤ちゃんがいます。
縄張りを守って戦うのは主にお母さんたちの役目なんです。
2つの群れが入り乱れて激しい空中戦です。
この時とんでもない事件が起こりました。
枝の上に1匹の赤ちゃんが取り残されています。
ローラの子育てを手伝っていたアリコの子どもです。
アリコは我が子を守ろうと赤ちゃんに近づきます。
次の瞬間頭上から敵が襲いかかってきました。
このままではアリコがやられてしまいます。
その時です。
右から群れの仲間が助けに来ました。
ローラです。
その隙にアリコ親子は逃げることができました。
もう一度見てみましょう。
赤ちゃんを助けようとして襲われそうになったアリコ。
絶体絶命のピンチにローラが助太刀に入りました。
敵に会心の一撃。
見事アリコ親子を救ったのです。
アリコにも赤ちゃんにもケガはないようです。
子育てを手伝ってもらった恩返しができましたね。
ローラも群れを切り盛りする一人前のメスに一歩近づいたようです。
いや〜お母さんたちたくましいですなぁ。
そうですね。
全ては我が子のため。
お母さんたちは団結して大切な縄張りを守るんです。
ワオキツネザルだけに仲間との「ワを」大切にするってことか。
でも私にはかかあ天下はキツいネ〜。
続いての舞台は中米パナマの熱帯雨林。
100万匹で助け合う小さな生きものたちの物語です。
森の中を流れる緑の川。
葉っぱをくわえたアリたちの行列です。
名前はハキリアリ。
背中のトゲと長い脚が特徴です。
葉を運ぶアリの体長は大きなもので1.5センチほど小さなものは5ミリほど。
ハキリアリは体重の2倍もの重さの葉を運びます。
歩き続けたあとは踏み固められきれいな道になっています。
このアリたちある目的のために協力して働いているところなんです。
巣の出入り口へやってきました。
中へ入ってみましょう。
うわ〜一面の白い世界。
一体これは何でしょう?あっ葉っぱを運んでいます。
こちらでは葉っぱを小さく刻んで白い塊へくっつけています。
この白いものの正体はキノコ。
これがハキリアリの食べ物なんです。
運んできた葉っぱはこのキノコを栽培するための栄養いわば肥料です。
ハキリアリは葉っぱを使ってキノコという作物を育てる農業を営むアリなんです。
キノコ栽培用の部屋は大きさ直径10センチから20センチ。
巣の中にはいくつも部屋があります。
大きな巣だとその数は100個以上。
まさに巨大農場です。
100万匹ものアリたちが協力してキノコを育てます。
アリたちの大きさはさまざま。
それぞれが専門の仕事を持っていて見事な分業体制で作業にあたります。
例えばこちらは葉っぱの収穫現場。
活躍しているのは「収穫・運搬係」です。
大きなアゴを使って器用に葉っぱを切り取ります。
そして収穫した葉っぱを巣まで運ぶんです。
行列の長さは時に100メートルにも達します。
その途中。
大きな枯れ葉が道を塞いでいます。
そんな時はやてのごとく駆けつけるアリたちがいます。
あっ枯れ葉を動かし始めました。
こちらは通り道をきれいにする「道路整備係」。
力を合わせて10分余りで撤去完了です。
こちらには2センチほどの大きなアリ。
葉っぱも運ばず行進の邪魔にすら見えますが今は任務の真っ最中。
実は天敵と戦う「防衛係」なんです。
行列の周りをパトロールして仲間の安全を守ります。
こうした専門の仕事のレパートリーは実に30種類以上。
ハキリアリは緻密な分業で助け合うことで効率的に巨大キノコ農場を営んでいるんです。
(雷鳴)しかしそんなハキリアリを大きな試練が襲います。
雨です。
おや?収穫・運搬係が葉っぱを地面に捨てています。
わざわざ遠くから運んできたのにどうしたんでしょうか。
実は作物のキノコは湿度の変化に敏感。
雨に濡れた葉っぱは巣に持ち帰れないんです。
ついに本降りです。
巨大な雨粒にもてあそばれる小さなアリたち。
こんな時は作業中断。
落ち葉の下に身を寄せ合い雨が上がるのを待つしかありません。
1時間後。
ようやく雨がやみました。
でも通り道はすっかり荒れてしまっています。
この時ハキリアリは驚きの行動に出ました。
1匹また1匹と道に現れ落ち葉や泥を片づけ始めるアリたち。
いつも道を整備している道路整備係だけではありません。
ふだんは緑の葉っぱを運ぶ収穫・運搬係も天敵と戦う防衛係も。
大きな試練を前にいつもの分業はひとまずお預け。
大切な道を復旧させるためにみんなで協力しています。
3時間後。
道がきれいになるとようやく行進の再開です。
ハキリアリは驚きの団結力で熱帯の森の試練を乗り越えてきたんです。
う〜ん!アリたちの団結力見事なもんですなぁ。
そうですね。
ふだんは効率重視の役割分担。
でもいざという時はみんなで協力。
私たち人間の社会にも通じるものがありますよね。
うん!よし私も今日からハキリアリみたいにハリキリって働きますぞ〜!続いての舞台はアフリカ南部ボツワナ共和国のオカバンゴ大湿地。
登場するのはリカオンとジャッカル。
この全く別の種類の動物が助け合って生きる不思議な絆の物語です。
主人公はたった1匹で暮らすメスのリカオン。
ソロと名付けられています。
リカオンは体長1メートルほどのイヌの仲間。
本来群れで暮らす動物ですがソロには一緒に暮らす仲間がいません。
かつてはこの辺りにも40匹ほどのリカオンの群れがいました。
ところがライオンに襲われたのかその数は次第に減ってしまいました。
こうしてソロは群れの仲間を失い1匹だけになってしまったんです。
普通は群れで協力して狩りや子育てをするリカオン。
たった1匹での暮らしは困難の連続です。
例えばこの小さなマングース。
ソロはうっかりマングースの縄張りに入ってしまったようです。
あっマングースたちが集団でソロに向かってきます。
いちもくさんに逃げ出すソロ。
仲間がいないと小さなマングースにすら勝てないんです。
苦労はまだまだ続きます。
今度は水辺にやってきたソロ。
水辺に集まる草食動物を狙うつもりのようです。
しかしいい狩り場は既にライオンの群れに占拠されていました。
とてもソロが対抗できる相手ではありません。
うっかり近づくとソロの身も危険です。
たった1匹で暮らすソロ。
狩りをすることもままなりません。
相変わらず仲間がいないソロにある日転機が訪れました。
何かを見つけたソロ。
ジャッカルの家族です。
小さな子どももいます。
ジャッカルの巣穴に近づくソロ。
あっジャッカルの親を追い払っています。
子どもに近づけまいと威嚇するジャッカルの両親。
でもソロは巣穴の前から離れません。
押し引きが続くこと数時間。
結局ジャッカルの両親は子どもたちを巣穴に残したままその場から姿を消してしまいました。
巣穴に近づくソロ。
あっ子どもたちが出てきました。
ソロのことを怖がってはいないようです。
どうやらソロはジャッカルの子どもたちの母親になるつもりのようです。
おや?泥だらけになったソロが巣穴をのぞいています。
巣穴から出てきた子どもたち競うようにソロの口元をなめています。
すると…。
ソロが肉を吐き出しました。
子どもたちのためにどこかで獲物を手に入れて運んできたんです。
違う種類の動物を相手にソロは立派に親の役割を果たしています。
しかしジャッカルの両親にとっては大迷惑。
子どもを取り返そうと必死です。
それでもソロは巣の前を離れようとしません。
どちらも譲らないソロとジャッカル。
一体どうなるんでしょうか。
ある朝。
その関係を大きく変える事件が起きました。
獲物を探すためでしょうか。
ソロが巣穴から離れます。
ジャッカルの両親にとって大きなチャンスです。
ところがそこへハイエナが現れました。
ジャッカルの子どもを襲うこともある怖い相手です。
ジャッカルの両親は必死で追い払おうとしますが大きなハイエナ相手では歯が立ちません。
その時です。
ソロが戻ってきました。
ジャッカルの両親と一緒になってハイエナに立ち向かいます。
まるで息の合ったチームのような連続攻撃。
ハイエナに反撃の隙を与えません。
ついにハイエナは立ち去りました。
子どもを守るという共通の目的が生み出した不思議な助け合い。
共に強敵を倒したこの出来事以来ソロはもうジャッカルの両親を追い払うことはなくなりました。
ジャッカルの両親もソロを仲間として認めたようです。
こうしてリカオンとジャッカルの奇妙な共同生活が始まったんです。
狩りの時も協力するようになりました。
狙いはインパラです。
ジャッカルはおとり役。
インパラがジャッカルに気を取られている隙にソロが草陰からそっと忍び寄ります。
そして猛ダッシュ。
見事な連係プレーでしとめました。
獲物はみんなで分け合います。
協力することで狩りの成功率は格段に上がりました。
種をこえて互いに助け合うソロとジャッカル。
厳しい自然を生き抜くためなくてはならない仲間です。
いや〜何とも不思議な話ですねぇ。
それにしても種をこえて助け合うなんて驚きですなぁ。
不思議ですよね。
でもリカオンとジャッカルはどちらもイヌの仲間。
食べ物や行動がよく似ているからこうした協力関係が出来上がったようなんです。
なるほどねぇ。
イヌの仲間だけに「ワン」ダフルなお話でした。
見事な役割分担で力を合わせ巨大なキノコ農場を営むハキリアリ。
厳しい乾燥の季節母親たちが協力して縄張りを守り子どもを育てるワオキツネザル。
一人一人の力は小さくても仲間と助け合えばどんなピンチも乗り切れる!生きものってホントたくましいですなぁ。
「ダーウィンが来た!」はこれからも驚きと感動の物語を続々お届けしていきますよ。
ほうそりゃ楽しみだ!2015/03/28(土) 17:30〜18:00
NHK総合1・神戸
ダーウィンが来た!「スクープ特集!助け合う生きものたち」[字][再]
仲間と助け合う生きものたちを大特集。母親が協力して群れを守るワオキツネザル。百万匹が助け合い巨大農場を作るハキリアリ。リカオンとジャッカルの種をこえた絆の物語。
詳細情報
番組内容
仲間と助け合う生きものたちの大特集。マダガスカル島にすむワオキツネザルは、お母さんたちが赤ちゃんを背負ったままライバルと激闘!協力して縄張りを守る。中米・パナマの森で木の葉をくわえて大行進するハキリアリ。100万匹が驚きの分業制で巨大農場を作り上げる。ボツワナでは種をこえた不思議な絆を見つめる。仲間を失い、ひとりぼっちになったリカオン。ジャッカルと力を合わせ、共通の敵・ハイエナと戦う。歌:平原綾香
出演者
【語り】首藤奈知子,近田雄一,龍田直樹
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 自然・動物・環境
趣味/教育 – 旅・釣り・アウトドア
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
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