白銀に舞うスノーボーダーたち。
実は…作っているのはブランドのトマト。
市場でも高い評価を得ています。
南国九州で波に乗る…こちらも…栽培しているのはピーマンです。
今趣味と農業をダブルで楽しむ新しい世代が誕生しています。
一方農業をビジネスとして成功させトマトを1億5,000万円売り上げる夫婦も。
(春香)ふだんってお二人で…そんなに!?その自慢のトマトは…。
本日ご紹介するのは今年度の日本農業賞に輝いた受賞者たち。
革新的な取り組みで農業の先端をひた走る9組です。
そのすごさは一体どこにあるのか?農業のプロフェッショナルたちの挑戦に迫ります。
さあこれからお届けするスペシャル番組取り上げるのは農業のプロ中のプロの皆さん。
その生産現場の舞台裏を一挙大公開〜!
(拍手)いや〜これ楽しみですね。
ただこういった優秀な農家さんを選んで大々的に表彰式まで行われている。
そういった事って私知らなかったです。
かかし?はい。
この「日本農業賞」は今年で44回目。
NHKとJA全中都道府県の中央会が毎回200近い応募の中から優秀な農業経営者を表彰しているんだ。
部門は3つ。
生産者と消費者を結ぶ「食の架け橋の部」。
まず紹介するのは若い農家を増やす事に成功した2つの産地ですよ。
この受賞された方っていうのは日本の農業の最先端を走っている方々っていう事ですよね?そういう事ですよね。
ねえ!さあ新しく農業を始めた人が多くいる活気のある産地に僕が行ってきました!まずはこちら。
鹿児島県志布志市。
平均気温は17度。
温暖な気候を生かし農業が盛んに行われています。
いやすごいですね。
さっきから続々とトラックが来て。
中でも冬から春にかけて作るピーマンは年間3,000トンを出荷しています。
ここに移り住んで農業を始めた人が多いというのですが…?もともとは?全国平均より17歳も若いんです。
その一人5年前に農業を始めた方のハウスにお邪魔しました。
うわ〜出来てる出来てる。
うわ〜暖かっ!横浜からやって来た…看護師などをしていましたが趣味の家庭菜園にのめり込み農業を本格的にやってみたいと移住しました。
こんにちは。
こちらは息子の大くん。
そして…大くんは…えっ本当に?農家になるという植松さんの決断を家族全員が応援。
実はここに来た理由はほかにもありました。
では作業のない夏の間一体何をしているのかと言うと…。
えっこれって…。
こういう事ですね。
もうお分かりですね?そこなんすか?はい。
新しい農家を増やす背景にあったのが産地存続の危機。
最も多い時101人いた生産者が1990年には38人にまで減りました。
そこで市とJAなどが農業公社を立ち上げ東京や大阪などで相談会を開催。
積極的に移住を働きかけてきました。
全然違うもんね。
うん。
都会からやって来た若者には研修専用のハウスで2年間しっかり指導を行います。
今は3組の夫婦が研修を受けています。
すいませんこんにちは。
すいませんいきなり。
え〜!まじっすか!それだけではありません。
ハウスを建てる土地探しから契約まで全てお手伝いします。
この日は研修生のために見つけた土地を一緒に見学。
地主との間を取り持つなど至れり尽くせりの対応です。
ありがとうございます。
これまでに114人の研修生を受け入れましたがここ10年の間ではやめた人は一人もいません。
栽培面積は最も減った時から3倍にまで増えています。
地域では子どもの数も増加。
こちらの小学校では新たに農業を始めた人の子どもが12人います。
全体の2割にもなっているんです。
生のピーマンだってこのとおり。
新しい農家が増えた事でピーマン栽培も大きく変わりました。
ある植物を持ち込む事で農薬の使用を極力減らしています。
すごい!これって…実はこのバジルにつく虫がピーマンの害虫を食べてくれるんだそうです。
農薬を減らす取り組みは産地全体に広がりノウハウを互いに教え合っています。
この日2人が向かったのは日南海岸。
2月にもかかわらずこの日の気温は18度。
おお〜!ピーマン農家が波乗り中!どうでした?同じく若者を呼び込む事に成功し表彰された地域があります。
福島県南会津町です。
トマトだけで町の農業収入の6割9億円以上を売り上げています。
この地域もかつて農家の平均年齢が63歳を越え産地の存続が危ぶまれていました。
そこで目をつけたのが町にあるスキー場。
ここに都会から冬の間若者たちが働きに来ていたのです。
彼らが夏の間にトマト栽培をしてくれれば万々歳。
組合では積極的に勧誘を行いました。
その結果…。
(取材者)この中で…なんと…今では町のトマト栽培の中核を担う立派な農家です。
夏場なんか特に。
去年茨城県からやって来た…スノーボードのプロ資格を持つ中島さん。
農家になるまではアルバイトで生計を立てていました。
冬場に仕事ができないため定職に就く事ができなかったといいます。
後押ししたのは丁寧な栽培指導と…今では126戸の農家のうち3分の1が新しくやって来た若者たちです。
彼らがやって来た事でこんなメリットも。
冬の間ハウスが雪の重みで潰れないようこまめに除雪しなければならないのですがその作業に若者たちが大活躍。
高齢の農家たちは大助かりです。
お尻のここがすごい…。
あ〜。
若者たちの発案で新たな取り組みも始まっています。
倉庫に雪を詰め込みその冷気で夏の間トマトを冷やします。
これで電気代が150万円減りました。
トマト栽培にとってはやっかい者だった雪が今では産地の活性化につながっています。
いやでもすごいですね。
すごいですよね。
活気にあふれてますし何がいいってやっぱり好きな事をやりながら仕事ができるっていう。
本当にそう。
僕もね志布志で取材した印象としては本当に新しく農家さんになって志布志に来た人と地元の方っていうのの交流っていうのがすごく皆さんね仲良くて。
新しく来た方もすごく生き生きと農業されてたっていうのがすごく印象的。
全部環境が整ってるんですね。
そういう事なんですよ。
だから後継者がいるって事だしそれはこれから産地が守られてくって事ですから日本の農業にとっては希望ですよね。
ねえねえ今回の受賞者の中には消費者の視点で商品開発まで行っている農家さんもいるんだよ〜。
実は私その最先端を走ってるスペシャルな農家さんのもとに取材に行ってきました。
最先端でスペシャル?まずはこちらをご覧下さい。
夫婦で大賞を受賞した農家の直売所は愛知県の碧南市にあります。
お邪魔しま〜す。
うわ〜すごい。
きれ〜い。
実はこの直売所売っているのはトマトとその加工品だけ。
しかもそのほとんどが自ら開発した品種です。
飽きないですか?なんぼ食べても飽きない?そうなんですよここのは。
直売所を切り盛りするのが…現在愛知県内に3店舗を展開。
去年の売り上げは1億5,000万円にも上ります。
栽培は店のすぐ隣にあるハウスで一年を通して行っています。
失礼します。
わ〜すご〜い!生産量は年間およそ170トン。
その栽培を担当しているのが夫の康弘さんです。
新品種の開発は康弘さんが手がけました。
康弘さんは大学では園芸学部に所属。
その時トマトの品種改良の面白さに目覚めました。
目指したのは…納得のいくトマトが出来るまでに10年の歳月がかかりました。
こうして誕生した品種の一つが…甘みと酸味のバランスが自慢です。
頂きま〜す。
う〜ん!こちらの品種は甘さが際立つ希。
トマトの酸味が苦手な人にも食べてほしいと開発しました。
6年前には口当たりのよさを追求しとろけるような食感のまおという品種を生み出しました。
康弘さんは新品種を開発するだけでなく味をよくするための栽培にも挑戦しています。
その工夫の一つが小さな鉢。
ここに3本から4本の苗を植えあえて狭くて厳しい環境にしています。
また水と養分は1cc単位で管理。
必要最低限の量しか与えません。
こうして作ったトマトをたくさんの人に食べてほしいと生産コストの削減も図っています。
作業一つ一つにどのくらい時間がかかるのか8年間にわたり分析。
作業を効率化してきました。
例えばミニトマトの収穫はこの1ケース当たり34分を目標にしています。
じゃよ〜いはい始め。
そのやり方とはまずベテランの従業員が一つの作業に何分かかるのか測定。
そのノウハウを探ります。
こちらの方は一気に3〜4個のトマトを収穫。
ケースに運ぶ回数を減らす事で短時間にたくさん収穫していました。
すご〜い!取れましたね〜。
なんと1分間で40個も取っていました。
この効率のよい作業のしかたをベテランが新人に伝授。
全員で目標を達成する事でコストを下げ価格を抑えています。
自分たちで開発したトマトを多くの人に食べてもらいたい。
そのためにみどりさんが大事にしているのがコミュニケーションです。
出した方がいいの?出した方がいいですよ。
更にトマトの魅力を伝えるニュースレターを毎月発行。
トマトをよく知る農家ならではのレシピも紹介しています。
トマトを食べた人が笑顔になるように新美さん夫婦は消費者の声に耳を傾けたいと考えています。
岩手県雫石町にも消費者ニーズをつかんで自ら商品開発を手がける農家がいます。
37ヘクタールという広大な田んぼを保有する米農家です。
菅原さんは農薬を減らし化学肥料を使わずに米を作っています。
これだけの規模の農家では珍しい取り組みです。
きっかけは20年前のある少年との出会いでした。
菅原さんは高い技術力で目標とした米作りを実現。
お米のブランド化に成功しました。
安全で安心味もよいと評判になり大手の商社とも契約を結んでいます。
そして3年前にはこちらの機械を導入。
米粉を製造するためのものでパンやお菓子などに使われ注目されている事に目をつけました。
その加工開発を手がけているのが娘の紋子さんです。
くず米などの質の低い米で作るのではなく紋子さんはあえてブランド米を使っています。
現在紋子さんは地元のお菓子メーカーと組んでオリジナル商品を開発しています。
この日はクッキーの打ち合わせ。
お米の形にしているのがポイントです。
味だけでなく手に取りたくなるデザインにも気を配っています。
これまで開発した商品は合わせて8種類。
中でも人気なのは米粉で作った麺。
小麦アレルギーの人でも食べられると注目されています。
既に学校や保育園の給食にも取り入れられています。
ご一緒に頂きます。
はい召し上がれ。
この保育園ではおやつの焼きうどんに米粉麺を使っています。
味もよく小麦アレルギーの子どもがいても心配せずに給食にも出せるといいます。
ブランド米から米粉の加工品まで幅広く展開する菅原さん親子。
そこにはお米をもっと食べてほしいという思いがありました。
そういう気持ちになれるんでね。
日本農業賞の審査委員長を務める…受賞者の評価のポイントを伺いました。
やってる事が農業だけじゃもうないですよね。
いや〜でも本当にねこれからの時代っていうのは農家さんも時代のニーズをつかむっていうのがやっぱり大事なんですね。
消費者の欲しいものは何だろうって探ってその先にこうしたら売れるんだろうっていう何か商品開発まで進んでいってるんだなって…。
でもね日本の農業にはこんな問題もあるんだ。
農業する人が減っている事で耕作放棄地がどんどん増えて農地全体の15%にもなっているんだ。
農地が荒れてしまうのを防ごうと頑張っている農家もいて日本農業賞を受賞したんだよ。
その一つが宮崎県の南部都城市の団体です。
ここでは10年前から田畑を集約した大規模農業が行われてきました。
扱う土地は630ヘクタール。
なんと東京ドーム130個分の広さです。
じゃがいも米ほうれんそうなど8種類の作物を栽培しています。
この農地を耕作しているのが農事組合法人きらり農場高木です。
組合ではこの地域の農家343軒から土地を預かっています。
それまで個々の農家が小さな田畑で作っていましたが集約化する事で大型機械を使った効率的な耕作が可能となりました。
毎年作る場所を変える事で作物の品質がアップ。
生育が悪くなる連作障害を防ぐ事ができるからです。
農地の集約化のきっかけは10年前に行ったアンケート。
集落の農家300軒のうち後継者がいない人が77%にも及んだのです。
このままでは農地が荒廃してしまう。
中之丸さんは危機感を持ちました。
おはようございます。
おはようございます。
お世話になります。
そこで組合を作り農業をやめる人から土地を預かる事にしたのです。
農地の集約化によって耕作規模が拡大。
地元の若者の働く場が生み出されました。
どうも〜ご苦労さん!また土地を預けた高齢の農家も収穫などの作業に呼ばれ現役で活躍。
生きがいにもつながっています。
東日本大震災で大きな被害を受けた宮城県名取市。
津波によって多くの田畑が海水につかりました。
ここでも土地の…この地域の耕作を引き受けているのが耕谷アグリサービスです。
実はこの法人自らも震災で多くの田畑が被害を受けました。
トラクターなど機械も壊れ被害総額は数千万円にも及びました。
しかしいち早く田畑の復旧に着手。
震災の2か月後には米作りを再開しました。
これによって土地を託す人が増え耕作面積は震災前の2倍140ヘクタールにまで拡大しています。
更にこの会社では3ヘクタールという巨大な田んぼを作りある実験に取り組んでいます。
国の研究機関と連携し徹底した効率的な栽培を試みています。
こちらはヘリコプターを使って種もみを直接田んぼにまく実験。
種もみから苗に育てて植える手間が省けるためコストを20%削減できるといいます。
こうした農地の集約化は日本の農業の課題を克服する切り札として今注目が集まっています。
だからそれぞれの家庭で代々耕してきた畑ってやっぱりその地域の財産なんだなって本当に。
だからそれを何としてでも無くしちゃいけないっていうそれのいろんな発想で皆さん取り組んで。
そのための効率化だったり…。
そう。
機械もあそこまで進歩してるんだなっていう。
いやちょっと感動しました。
感動しましたね。
お二人さんこのほかにもね畜産の分野でも日本農業賞の受賞者がいるんだよ。
その一つ愛知県新城市にあるJA愛知東の和牛部会です。
(鳴き声)ここは生後8か月までの子牛を育てる繁殖農家の集まりです。
部会では子牛の出荷作業など重労働を若者に頼む…機械を共同購入する事で一人一人の経済的負担も減らしました。
えさは輸入に頼っていましたが近所の農家に委託する事でコストダウンに成功しました。
もう一つがこちら。
宮崎県三股町の肥育農家福永牧場です。
親子4人で200頭を超える肉牛を育てています。
できるだけ牛にストレスを与えず一日5回以上見回るなどきめ細かい管理を徹底しています。
品質の高い牛作りが評価されました。
さあ次にご紹介するのは食の架け橋の部門で大賞を取ったある直売所での取り組み。
まあ僕朝の番組で300か所ぐらい直売所行ったり…。
すごい数!取材したりしてるんですけどその僕ですらちょっとそれは知らなかったですね。
え?さあご覧下さい。
どうぞ。
見たい見たい。
島根県の奥出雲地区。
深い山に囲まれた中山間地に小規模の直売所が点在しています。
これらの直売所などで7億円を売り上げているのが奥出雲産直振興推進協議会です。
それぞれの農家が出荷する野菜は僅かな個数ですが農薬をほとんど使わず新鮮さが売りです。
加工品は手作りが多く700品目にも及んでいます。
この直売所に出荷している会員は3,000人。
高齢者が中心で多くが家庭菜園ほどの規模で野菜を作っています。
それを支えているのがトラックの巡回サービス。
直売所まで行かなくても家の近くまで野菜を集荷しに来てくれるのです。
この地域には19の直売所がありますが集荷場はその倍の40か所にも。
車を運転できない高齢者を手助けする仕組みが作られています。
このシステムを考案したのが…これまで見過ごされてきた高齢の農家が作る質の高い野菜を販売ルートにのせたいと考えました。
協議会では12年前から都会にも進出。
300キロ離れた兵庫県尼崎市です。
週に1回スーパーの一角を借りて産直市を開いています。
出荷者が増えた事で生産力が上がったのを受け都会への売り込みを図りました。
9時の開店前からご覧のとおりたくさんのお客さんが!シャッターが開くやいなや売り場に殺到。
取れたてで新鮮な野菜が並ぶため大人気なんです。
売れ行きのすごさに生産者のやる気にもがぜん火が付きました。
雪が降る中での収穫も何のその。
作る野菜の品質のよさを見込まれJAの職員から新しい野菜の試作をお願いされる事もしょっちゅうです。
3年前にはハウスを2棟建設。
今では年間100万円近い収入があります。
いや〜いろいろありましたけど。
ありましたね。
基本的に非常に明るいポジティブなパワーが伝わってきましたよね。
そんな中でもどうしても農業って言葉を聞くと自分とかけ離れてるとこにあるのかなっていうイメージがどうしてもあったんですけどそれこそ本当に地域の取り組みによって若い人も今まで経験なかった人も入っていけたりして。
やっぱり日本の農業には…「大変大変」って言われてるけどまだまだたくさん希望とかがあるんだなっていう。
ちょっと感動しました。
感動しましたね本当に。
農業の新しい可能性を見せてくれたトップランナーたち。
日本の食卓を支える彼らの挑戦はこれからも続きます。
ばあっ!いつもげんきなワンワンで〜す!2015/03/28(土) 16:00〜16:45
NHKEテレ1大阪
第44回日本農業賞「新しい農業を切りひらく!」[字]
日本農業の最先端を走るトップランナーを表彰する日本農業賞。その生産現場の裏側を徹底紹介。逆境に立ち向かい、道を切り開いた農家達の挑戦は日本農業に希望を与えます。
詳細情報
番組内容
日本農業の最先端を走るトップランナー達(たち)を表彰する日本農業賞。その生産現場の裏側を徹底紹介。都会から若者を呼び込み、産地を復活したグループ。トマト専門の店を開き、1億5千万円を売り上げる夫婦。山あいの小さな農家が作った野菜を都会のスーパーで売り、地域に活気をもたらした取り組みなど。逆境に立ち向かい、道を切り開いた農家達の挑戦は、日本の農業に勇気と希望を与えます!
出演者
【リポーター】篠山輝信,春香クリスティーン,【解説】東京大学大学院教授…大杉立
ジャンル :
情報/ワイドショー – 暮らし・住まい
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