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判決に一喜一憂せず1票の格差是正急げ

2015/3/28付
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 1票の格差が最大2.13倍だった昨年12月の衆院選を巡る高裁判決の内容がばらついている。最高裁がどんな判断を下すのかは読みにくいが、甘めの判決を期待して格差是正への国会の取り組みが緩むことがあってはならない。

 高裁を一審とする1票の格差訴訟17件のうち、27日までに14件の判決があり、「合憲」4件、「違憲状態」9件、「違憲だが選挙は有効」1件だった。

 最高裁はこれまで(1)格差が限度を超えているか(2)是正するのに十分な時間があったか――の2段階で判断してきた。格差が許容範囲内ならば合憲、限度を超えているが直す時間がなかった場合は違憲状態、時間があったのに直さなかった場合が違憲である。

 一連の判決で東京高裁などは小選挙区の0増5減により、格差がいったんは最大1.998倍に縮小したことを評価し合憲とした。

 他方、福岡高裁は、2009年の前々回の衆院選に関する最高裁判決があった11年3月から昨年の衆院選まで3年8カ月あったのに格差を生む理由の一つである「1人別枠方式」が廃止されなかった、などとして違憲とした。

 これらの判決には賛否両論があろう。いずれにせよ、最高裁が年内にも下す最終判断を先読みし、それをぎりぎり満たせばよいなどと考えるのは邪道だ。与野党は高裁判決に一喜一憂せず、国政の担い手として誰からも後ろ指を指されないよう是正を急ぐべきだ。

 有識者による第三者機関「衆院選挙制度に関する調査会」の佐々木毅座長は2月、小選挙区を9増9減して格差を最大1.598倍に縮小する試案を示した。「1人別枠方式」と似ているなど問題点はあるが、この案を捨てて議論を振り出しに戻せば早期の合意はますます難しくなる。

 衆院の任期満了時点でも格差が2倍未満に収まる是正を直ちに実施する。その後に抜本的な制度改革を含めた検討を継続する。そんな進め方が妥当ではないか。

 最近、地方創生にからめて「格差はあってよい」との声を一部の自民党議員から聞くことがある。憲法に「議席は地域性に基づき配分する」と書き足せば、合憲性を担保できるのだそうだ。

 議席の配分は長年にわたって地方に手厚かったのに、地方の衰退は進んだ。1票の格差を温存すれば本当に地方は栄えるのか。冷静な議論を望みたい。

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