宮崎健、神山純一 下山祐治、山本精作
2015年3月27日23時37分
大塚家具の親子対決は、長女に軍配が上がった。会社と大株主の緊張感は企業経営に欠かせないとはいえ、今回の騒動では、経営方針よりも、親子ゆえの感情のぶつかり合いがめだった。落ちた信頼を取り戻すには、一刻も早い「和解」が必要だが、争いの芽は消えていない。
■父娘げんか、母も参戦
「1月のクーデターで、社長の座を追われた大塚です」。27日午前。大株主として株主席に陣取った大塚勝久氏(71)は、そう切り出した。
「ものすごく受注が落ちた。企業統治を間違えたのは久美子社長」。その久美子氏(47)を取締役から外し、自らを含む10人を選ぶ株主提案に賛成を促した。
勝久氏の妻の千代子氏(68)も「母親でございます」と参戦。「社員が二つに分かれているというが、それは違う」。多くの社員は勝久氏を支持していると声を高ぶらせた。
これに対し、久美子氏は感情を押し殺すように「簡潔にお願いします」「経営の刷新に、ご理解を頂きたい」。自らを含む10人を取締役とする会社提案への賛成を求めた。
大塚家具が本社を構えている東京・有明の高層ビルの会議室には、例年の10倍ほどにあたる約200人の個人株主が詰めかけた。委任状を託した株主らも含めた「出席株主」は2261人。その議決権の合計の61%は、久美子氏が主導した会社提案に賛成した。久美子氏は「親族を除いた株主の8割から強い支持を得た」と説明した。
ただし、3時間余りの総会では、両者が出した経営計画についての突っ込んだ論争はなく、株主からは騒動そのものを批判する声も相次いだ。
ある男性株主は「会社は一族のものではない」。別の男性株主は「両方とも悪いところがいくつもある。勝った方も妥協が必要だ」と発言した。
総会が終わった後に記者会見した久美子氏も、そんな声を意識したようだ。勝久氏と今後どう向き合うのかを問われ「会社と株主という観点では、誠実にコミュニケーションをとっていく」と答えた。
ただし、勝久氏の今後の処遇については「具体的に申し上げることは差し控えたい。株主であり創業者であるという事実は消えないので、そこを踏まえて適切に検討したい」と述べるにとどめた。
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