うらがみらいぶらり

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艦これアニメを最大限に楽しく視聴する方法

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この赫変たる海原を生き抜くために。

 

如月を沈め、和やかにカレーを作り、提督を静かに抹消した波乱の航海となった、アニメ版艦これ。その最終話は、「春のライダー大戦だ」と言わしめるほどの登場ラッシュと雑なバトル、突然の大鳳着任と提督帰還を経て、意気揚々と鎮守府に帰還した。そして、「待ってただろうお前ら!」と言わんばかりの「続編決定!」という、KADOKAWAお家芸によって幕を降ろした。

ある人は手を叩いて喜んだ。「またかわいい艦娘たちに会える!」

ある人は床を殴って怒った。「正真正銘のクソアニメじゃねえか!」と。

KADOKAWAのお偉い人のツイットも起爆剤となり*1艦これ界隈はかつてない戦争の火蓋が切って落とされようとしている。その勢いは、前期の「ゆゆゆ論壇」をも凌ぐほどだろう。

僕自身は、最終話まで見届けて「四大すら凌ぐクソアニメ」という結論に達したが、同時に「動く響や夕立はとてもかわいかった」という答えも得ている。そして、ぼんやりと賛否両論の艦これ空間を眺めている中で、「こうすると最も楽しく見れるのでは?」という仮説が芽吹いた。もはや後出しだが、もし、これから艦これを一気に観る方がいたら実践してほしい方法だ。

いや、すでに一定数の人は、呼吸をするようにできる視聴方法だ。以下は、「動くだけで満足」というスタイルを醸成するための、ある種の訓練コースメモである。

 

 

STEP1:PVを定着させる

まずは、このPVを見てほしい。


艦隊これくしょん -艦これ- 先行PV第壱弾 - YouTube

もし、この映像になにかの違和感をおぼえたなら、まずはその違和感が生じなくなるまでリピートしよう。これが、最初のステップとなる。

水上を滑る。仁王立ちで弓矢を放つ。これらの光景は全て、艦これアニメにおける「常識」である。まずは「常識」に対する拒絶反応を取り除かなければ、真っ当に視聴などできない。世界観への適合こそ、全てにつながる一歩となる。

 

 

STEP2:「嫁艦」を決める

世界観になじんできたら、次はお気に入りの艦娘を決めよう。

 

 艦これ白書 -艦隊これくしょん オフィシャルブック-

 ※参考資料として便利な1冊

この時、「なんかいいかも」程度の気持ちで艦娘を決めてはいけない。だ。「嫁艦」だ。結婚相手選びのつもりで臨まなければならない。結婚から出産、育児から老後の介護まで、一生添い遂げる覚悟をもって選択しなければならない。ただし、「いくらでもつぎ込みたいソープ嬢」という観点もまた承認されることを付記する*2

 

ただし、どの艦娘を選んでいいわけでもない。条件は2つ存在する。

一つは、よく登場する艦娘であること。以下に、アニメに登場する主要な艦娘を列記するので、この中から選択することを推奨する。

吹雪 睦月 夕立 川内 神通 那珂 赤城 加賀 蒼龍 飛龍 長門 陸奥 金剛 比叡 榛名 霧島 北上 大井 翔鶴 瑞鶴 如月 島風 暁 響 雷 電 最上 球磨 多摩 利根 筑摩 愛宕 高雄 那智 足柄 羽黒 夕張 大淀 間宮 大和 大鳳

もう一つは、扱いのよい艦娘であること。上記の艦娘のうち、如月はものすごく、足柄はかなり、作中での扱いが不遇である。また上記にはいないが、一度きりの登場だが祥鳳も不遇だ。彼女らを嫁に定めると、視聴が苦痛を伴うことが予想されるため、可能ならば避けるべきだろう。 

 

 

STEP3:無条件に嫁艦を愛する

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こうして嫁艦を決定したら、あとはひたすらに愛でよう。

ただひたすらに、姿はおろか声が耳に入っただけでも「かわいいいいいい!!」と言えるようになるまで、とにかく愛で続けよう。公衆の面前で「吹雪ちゃんは俺の嫁えええええ!!」と叫べるレベルまで達すれば、完璧だ。

肝心なのは、パブロフの犬のような条件反射だ。たとえ最初は乗り気でなくとも、笑いヨガのように、次第に本当にかわいいと思えてくるので、恥ずかしがり屋なあなたでも心配することはない。

なお、艦娘への愛を育む媒体はこだわる必要はない。ゲームでももちろん構わないが、アンソロジーコミックでも、同人誌でも、pixivでも、あなたの妄想でも問題ない。ただし、「これが俺にとっての吹雪だ」というような、キャラクターの固定化は回避するべきである。求められているのは、パーソナリティへの好意ではなく、「存在そのものへの無条件の愛」である。

 

 

STEP4:画面の前で脳を停止させる

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艦娘への猛々しい愛情を確立させたら、いよいよアニメ本編への航海へ漕ぎ出そう。

さて、視聴に際して重要なことがひとつある。それは「脳を動かしてはいけない」ということである。

視聴中、疑問が浮かぶことがあるかもしれない。なんで艦娘は深海棲艦と戦うのか。なんで実戦経験ゼロの吹雪をいきなり出撃させたのか。なんで提督は映らないのか。なんでシーレーンが断たれてるのに食事は豪華なのか。なんで如月が沈んでいるのか。なんで戦死者が出たのに陽気なやつがいるのか。なんでなんでなんで――

その「なんで」が鎌首をもたげた瞬間、一切の脳機能を止めるべし。これが肝要である。

 

艦これアニメを視聴するにあたり、「なんで」から始まる、あらゆる論理的な要素は、廃材以外のなにものでもない。ただ艦娘が動き艦娘が声を発することが、艦これアニメの至上価値であり、全てなのである。

そして、動いて声を発する艦娘を最大限に受容するには、脳を動かす必要はどこにもない。むしろ、脊髄反射の方が大切だ。

ちょっと映り、ちょっと声がした瞬間、「カワイイー!!!!!」と叫べば、最高の幸福がもたらされるのである。史実が絡んでいるとされるシナリオは、理解すら必要ない。童心に戻り、特撮を見ていたあの頃に心を戻せれば、艦これアニメは最高のエンターテイメントになるのである。

この「脳を止める」という視聴方法は、人によっては若干の訓練を要するだろう。訓練法としては、「ニチアサを3ヶ月視聴する」「『ビビッドレッド・オペレーション』というアニメをぶっ通しで2周する」といったものが効果的だ。

なお、視聴時にどうしても脳機能が活発になってきた場合は、性器に刺激を与えるとよい。論理的になってきた脳を動物的方角へ引き戻し、再び安らかな心で視聴を続けられるだろう。

 

 

以上が、艦これアニメを最大限に楽しむための視聴スタイルである。

キーワードは「嫁を作る」「脳を止める」だ。ただただ脊髄と情愛にのみ従えば、艦これアニメは幸福の工廠として、あなたを熱烈に歓迎してくれるだろう。

そして、この視聴スタイルは、現行の「キャラ萌え」とされる多くのアニメに転用可能だ。とりわけ「キャラだけかわいいが他はゴミクズ同然」と酷評されがちなアニメに対しては、世間の評判を反転させるほどの効力を発揮するだろう。

また、小説や漫画にも十分転用可能だと思われる。「刺し身のタンポポ」と言われがちなシナリオを捨て去り、ヒロインのかわいさだけを読み取り、それに対して即座に「カワイイー!!!!!」と反射できれば、「最近のラノベは~」という文句を垂れることもなくなり、毎日を幸福に送ることができるだろう。

 

艦これアニメは、脳を使って見た瞬間、「駄作」「クソアニメ」といった暴言を生んでしまう。艦これアニメにとって、脳を用いて視聴する要素は本質ではない。

脳を止めて、艦娘のかわいさのみに反応する境地に至った時に見えるもの。それこそが、このアニメの核である。求められるのは、大いなる純朴さと、無限大の情愛である。

すでに視聴した人も、今から追って視聴する人にも、共通して気をつけてもらいたいことがある。「全てのアニメを同じ視聴スタイルで観ることはできない」ということだ。

上記の方法が最善解かどうかはわからないが、「どうもこのアニメ合わないぞ」と感じた方が、このスタイルで大いに楽しむことができたら幸いだ。

 

 

さぁ、2周目の航海を始めよう。