硬い鉄を自在に操る技が息づいていました。
モノづくりの技を紹介する…漆黒に浮かぶ華やかな模様。
400年受け継がれる福島県の会津塗が今回のイッピンです。
会津塗は今さまざまなものを彩っています。
例えば…そして…イヤホンには直径1センチのスペースに秋草の模様が華やかに施されています。
進化し続けている会津塗。
さあその伝統と革新の技をご覧頂きましょう。
会津塗のふるさと福島県会津若松市です。
市内には風情ある蔵を利用した漆器店が立ち並んでいます。
店に入ると…。
美しい光沢と華やかな装飾が目に飛び込んできます。
これらは会津の人々が冠婚葬祭などで大切に使ってきたもの。
会津塗は人々の暮らしの中で発達してきたんです。
中でも愛されてきた図柄があります。
お膳に描かれるのはこの地方伝統の図柄…中心に糸巻き。
その周りにおめでたい…全体に散らされた梅の花。
朱色の漆がぷっくりと盛り上がっています。
これが会津絵の特徴。
一体どうやって描くのでしょうか。
伝統工芸士の小松茂夫さん。
22歳でこの道に入り以来一筋の名人です。
小松さんが手がけるのはこの地方でおめでたい席に使われるお椀。
作業に使うのは蒔絵用に作られた極細の筆と定盤と呼ばれるこちらの台。
まずは糸巻きから。
金箔を貼りますが漆が接着剤の役割を果たしているんです。
続いて漆をたっぷりと筆に含ませ姿を現したのは…そして…いよいよ梅の花に取りかかります。
小さな花を一つ一つ描き込む繊細な作業。
梅の花をぷっくりと仕上げるのが職人の腕の見せどころです。
実はこの漆には特別な工夫が凝らされているんです。
漆は火にかけるとある変化が起きます。
含まれている酵素が死に固まらなくなるのです。
それを通常の漆と混ぜ合わせる事で固まりにくい漆を作ります。
更にここであるものを加えるんですが…。
匂いがちょっと独特の匂いしますが。
それにより表面張力が増しぷっくりするんです。
樟脳の量の調整は難しく失敗するとシワが出来てしまいます。
そして美しい梅の花にはもう一つ秘密が。
よ〜く見ると小松さんフリーハンドでどんどん描き進めています。
そのコツを特別に教えてもらいました。
(小松)どこに中心を置くかとかっていう事でこの固まりであればこのでっかい梅が一つ中心になる訳ですよ。
大きめのつぼみとか何かを置いてであと全体的に細か〜いつぼみでこう…。
それを自由にやるっていうその人の感覚でね。
そうすりゃ面白い梅になるんじゃないかなとは思うんですけどね。
400年の歴史を受け継ぐ会津塗。
漆を知り尽くした職人だけが作り出すイッピンです。
今会津塗は進化を遂げています。
さまざまな素材に蒔絵を施した新しい製品が続々と登場しているんです。
地元のホテルでは全ての部屋のルームプレートや調度品に新しい会津塗を使っています。
一体どんな技によって作られているんでしょうか。
実はシルクスクリーンという版画の技法を応用して漆で下絵を作っているんです。
これにより従来職人が1つずつ描いていた図柄が一挙にたくさんしかも寸分の狂いもなく生産できるようになりました。
しかし金粉をのせていく作業は伝統的な蒔絵と変わりません。
伝統を生かして新しいものを生み出すのも会津塗職人の気風だといいます。
会津塗の自動車も登場しています。
実はこれ画期的な漆塗料の開発が実現させたものなんです。
そもそも漆は固まるまでに時間がかかり小さなお椀でも1晩は必要。
そのため大きいものには不向きとされてきました。
それを克服したのはこの塗料。
紫外線を当てる事で固まる性質を持つ…それを塗装している工場がこちらなんです。
漆とUV塗料を混ぜ合わせその配合を調節する事で仕上がりの早い塗料を生み出しました。
強力な紫外線が出ている機械の中に入れると…。
僅か40秒ほどで漆が固まりました。
この開発によって漆を塗る事のできる面積は小さなお椀からテーブルや車にまで飛躍的に広がりました。
新たな挑戦が会津塗の可能性を押し広げています。
モノづくりの技を紹介する…2015/03/28(土) 03:25〜03:35
NHK総合1・神戸
イッピン ミニ「会津塗」[字]
福島県会津若松市の「会津塗」。食器や重箱を漆で飾る伝統工芸だが、近年はパソコンから車にまで。何にでも塗ることができる。漆のワザの進化形をリサーチする。
詳細情報
番組内容
日本のモノづくりのワザを紹介する「イッピンミニ」。今回は、福島県会津若松市で作られてきた「会津塗」。華やかな模様を手作業で描く、400年の歴史を持つ漆器だ。食器や重箱だけでなく、近年はヘッドフォンやパソコン、はたまた車の塗装にまで応用されている。大型でさまざまな材質のものに漆を塗ることができるようになったのは、新しい塗料の開発があってのこと。伝統を守りながら革新を目指す「会津塗」の魅力に迫る!
出演者
【語り】平野義和
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
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