スイーツ大国フランス。
この国で幸せを運んでくれるお菓子といえば…。
小さなシューを高く高くタワーのように積み上げる…晴れの日のお祝いに欠かせない伝統菓子です。
シューを分かち合う事で幸せも分かち合える特別なお菓子。
今日は人生の門出を祝うクロカンブッシュの物語をひもときます。
光る石をたどれば行き着く不思議な家にあのお菓子の家のヘンゼルとグレーテルの末裔が暮らしています。
彼らが振る舞うおいしいお菓子の物語をご賞味あれ。
え〜どうしよう。
えっどういう事だ？謎。
ちょっとかまど。
えっどうしたどうした？ねえちょっとこれどういう意味だと思う？えっ何これ。
あっそういえば…。
ねえねえちょっと前から姉ちゃん様子おかしかったよね？フランス語の勉強したり部屋の物整理したりさ。
あっしてたね。
姉ちゃん何かあったかな？ちょっと待ってちょっと待って。
もしや…。
何？いい人が出来たとか？えっ？えっ？姉ちゃんとうとう！？とうとう？謎解けたわ。
かまど分かった！これお祝いの準備しなきゃ！ちょっとちょっとちょっと…。
かまど！何かお祝い…取って置きのスイーツない？そこに書いてあるから。
取って置きなのが。
ＯＫＯＫ。
もう本当に…すごい大事なページに書いてあるからね。
これか。
…という事で今宵ひもとくのは旅立ちのクロカンブッシュ。
パリにお住まいのボルジェスさん夫妻。
おととし結婚式を挙げた２人がこだわったのはウエディングケーキ。
こちらがそのクロカンブッシュ。
立派ですね〜。
シューは子孫繁栄の願いが込められたお菓子。
高く積み上げるほど結婚後の生活が豊かになるといいます。
そしててっぺんにはカップルの人形が。
妻ステファニーさんがお母さんの結婚式と同じものを探してきたんですって！フランスでは丸一日かけて結婚式を祝います。
その締めくくりを飾るのがクロカンブッシュです。
（歓声）ケーキ入刀の瞬間会場の盛り上がりも最高潮。
最初の一口は主役の２人。
お互いにケーキを食べさせ合いっこ。
２人の絆を深めるクロカンブッシュ。
それは幸せの象徴。
これぞ晴れの日のスイーツです。
うん。
クロカンブッシュか。
幸せを願う思いが込められてるってこれ姉ちゃんに作ってあげたいね！いやいや…。
「簡単にできると思うなクロカンブッシュ」ですよ。
難しいの？すんごく難しいから。
でもね姉ちゃんのためになら頑張るよ俺は。
期待してじゃあやってみますか。
任せて。
じゃあ味わいのキメテお願いします。
はい！幸せが天まで届くようなゴージャスなクロカンブッシュを作ります！う〜ん…。
よし作るぞ！はいはいじゃあまずねプチシューを２００個作って下さい。
えっ？２００個！？２００個。
はいはいそれじゃあね生地を絞り袋で絞っていきます。
ＯＫ。
直径４センチ。
直径４センチ。
縦横に５つずついって２５個作りますか。
このぐらいかな？この鉄板に。
もうちょい…やってみてよ。
止めて！はい来た〜。
いいんじゃないですか？じゃあその最後の１列は一回り小さく絞ってほしいんですね。
えっ何で？組み上げる時にその理由が分かりますから。
分かった。
本当に…絞り名人。
本当にすばらしいよ。
はいじゃあ入れますか。
オーブン入れますか。
１８０度４０分です。
よし。
１回で５０個焼けるんでしょ？だからあとこれを３回。
そういう事か？よし頑張るぞ！よ〜し。
よしＯＫ！ＯＫですか？はいじゃあ次はシューをつけるためのあめを作ります。
ＯＫ。
ここでじゃあオキテ。
シューにあめをくぐらせると艶が出るのね。
あめの色がそのままクロカンブッシュの色になりますからこの色がとっても大事なのよ。
分かりました。
お水。
そして水あめ入れて…。
これにね…どうだろう入れにくい？すごい量。
そして入れて…。
それが薄茶色になるまで。
理想の自分がこれだと思う色より一歩手前で止めるのね。
余熱でまた黒くなっちゃうから。
これいい感じ？うん。
もう止めよう止めよう。
じゃあその色をキープするために鍋ごと冷やします。
水でね。
はい。
深めに沈めて下さい。
ほら来た来た〜。
びっくりした…。
思い切っていっちゃえ〜。
でもすごいきれい！ねえ。
いい色だね〜。
黄金色。
クロカンブッシュを語る時欠かせない人物それはフランス料理の礎を築いたアントナン・カレーム。
１９世紀初頭ナポレオンを支えた天才料理人です。
重要な客人をもてなすため料理に趣向を凝らしました。
カレームを一躍有名にしたのはピエスモンテという大型の装飾菓子。
建築のデザインをヒントにしたといいます。
クロカンブッシュもそんなピエスモンテの一つ。
カレームの料理本にもレシピが残されています。
その意味はカリカリしたお菓子。
この食感がフランスで大人気に。
ピエスモンテの代名詞ともいえるほど親しまれてきました。
ボルジェスさん夫妻のクロカンブッシュを作った…一つ一つ大切な意味を持つ装飾。
菓子職人たちが技術と工夫を凝らします。
例えばあめ細工のバラの花。
女性がプロポーズを受けたという証し。
ブーケのように飾ります。
極めれば極めるほど奥が深いクロカンブッシュ。
パティシエにとっても実にやりがいのあるお菓子なんですね。
すごかったね。
すごかったねこれはもう。
作品でしたよ作品。
ねえ〜！見事でしたね。
びっくりしました。
じゃあ組み立てていきましょう。
ＯＫ！じゃあまずはシューにあめをからめていきます。
まず手にぴったりフィットするタイプの布手袋とその上にゴム手袋をはめます。
よ〜し。
そのシューの上の部分だけにあめをかけますから。
分かりました。
それがクロカンブッシュの色になりますから薄く…。
そしてオーブン用の紙の上で冷やして固めます。
これシューの中にはクリームは入れないんだね。
うん。
ちょっと作るの難しくなるからね。
難易度が上がるんだ。
プロのパティシエは作るよ。
クリームぐんぐん入れちゃうよ。
よし出来た！出来ましたか？じゃあじゃあそれをタワーにしていくんだけど見てみて。
型紙ありますでしょ？あるね〜。
これ。
これは方眼紙を円すい形にまずしてそれに周りにオーブン用の紙を巻いていって作りました。
結構な高さだよこれかまど。
これが難しいのよ。
オキテどうぞ。
どういう事だ？まずシューの大きさ２種類作ったね。
はいはい。
これとこれね。
大きいやつとちっちゃいやつ。
そう。
それをすごくうまく考えて組み合わせてその円すいをぴっちりと埋めてほしい訳です。
分かりました。
じゃあいきますよ。
これあめは熱いですからね。
本当に。
本当気を付けて。
それを…。
これをここに…。
これちょっと持っとかないとくっつかないよね。
ちょっとだけねギュッと…。
あっくっついた。
くっついたほら！いいねいいね！これ難しい一番下の段。
だから言ったじゃない難しいって。
あっ。
それはもう一回つけないと駄目です。
よし。
ふ〜っ。
うんうんうん。
そういう事そういう事。
いや先が遠いぜ〜これ。
すごいね。
あっ。
かまど最後のここが…。
ほら。
うん。
どうする？それ。
知ってますよ。
知ってますか？ちっちゃいやつをここに入れるんでしょ？そのためにそれ調節しながら大きいのちっちゃいのと…。
そういう事なんだ。
ぴったり。
ほ〜ら。
うん。
お〜ぴったり！やった〜！おっ何かうれしいね。
こうやってきれいな円すいの形に…。
こうやって埋めていくと。
ＯＫ。
よ〜し。
ごめん。
かまど寝てたよ。
かまど。
出来てるじゃないのだいぶ！遅っ気付くの。
この達成感たるややった者にしか分かりません。
出来た！完成かまど。
どんな気持ち？いやもううれしいですね。
達成感が…。
達成感半端ないですか？出来た〜。
そこで達成した訳じゃなくてこっからが一番の難関なんですよ。
これあれでしょ？型を外さなきゃいけないんでしょ。
そういう事なのよ。
ここが一番難しいの。
お願いします。
成功しますように。
お願いしても駄目な時は駄目だから。
本当にね失敗した…。
ちょっと待ってそうそう…。
むやみやたらに抱きつかない。
よし！本当にお願いします。
こういう事ですよね？そうそうそうそう…。
ゆっくりね。
ゆっくりゆっくり…。
はいはい深呼吸して。
はあ〜大きく息吸って。
あっちょっと…。
何戻ってんの。
戻らないで！ちゃんといって！先持ってもいいよ先持っても。
こう先持ってもいいし…。
あっそうです！できましたよ〜。
これが第１段階。
第１段階。
そのあとが大変です。
もうちょっと手突っ込んでするとかさ…。
そんなんでいいの？近くまでいってそうそうそう。
ソロソロソロソロッとしてよ。
ちょっとずつちょっとずつ…。
お〜っ！アッハハ…。
やりました。
やりましたね。
ちょっと一息ＴｅａＢｒｅａｋ！門出を祝うスイーツは世界各国にございます。
まずはお祝い事には甘い物が欠かせないというインドから。
モティチュールラドゥというお菓子をご紹介。
ふやかしたひよこ豆の粉を油で揚げシロップに漬けておだんごにしたもの。
象の顔を持つ神様ガネーシャの大好物。
お供えすると御利益があるかも。
続いてリトアニアに驚きのお祝い菓子を発見！表面が角だらけ。
これは一体何なのか！実はこれ幸運を呼ぶといわれるサコティスというお菓子。
バウムクーヘンのような味わいで結婚式や誕生日など特別なお祝いで食べられるんですってね。
チョコと砂糖菓子で飾られてパーティーに登場する事も。
かわいい！うん。
イタリアのシチリア島からはこちら！本物の果物そっくりな…マジパンで出来たこのお菓子。
お盆のような行事の日ご先祖様に思いをはせながら頂きます。
それにしても本物そっくりね！お祝いの日にお菓子を囲むのは世界共通なのね〜！ではいよいよクロカンブッシュにいろいろくっつけていきますよ。
はいまずドラジェから。
ドラジェ。
縁起物のお菓子なのね。
好きな色をちょっと飾ってみて。
アーモンドを砂糖でコーティングしたものなんだけどアーモンドには子孫繁栄っていう意味があるのよ。
あ〜ほら！そうつけますか？かわいいですね。
ピンクから…。
そして並べるのか遠ざけるのかはたまた上にくっつけるのか。
次はね下いきます。
なるほど。
それがヘンゼルのセンスという訳ですね。
じゃあ次バラいきましょうかね。
これかまど作ってくれたの？そうよ。
ありがとうかまど。
かまどちょっとこのほらドレープになってるところがすごいでしょ？ものすごくきれいです。
本当にもうかまどそれ頑張ったから嫌よ。
失敗しないでよ。
うん。
あ〜。
ここかな？そこでいいですか？どうでしょうか？えっそういう事？本当に美しいよ。
本当？くっついたかな？本当にすばらしいわ。
は〜い。
美しいよ。
よし。
じゃあ？そしてこのハートですね。
きれいです。
ほら。
ハートが重なり合ってるのがすてきでしょ。
そうだね。
ゆっくり置いて下さい。
それをトップに載せたら…。
やった〜！どうなのこれ。
出来た〜！これはもう姉ちゃんのためだからね。
これはもう門出にぴったりだよ。
（チャイム）あっ姉ちゃん帰ってきた。
姉ちゃんお帰り！これちゃんと「おめでとう」言わなきゃね。
本当に。
本当にすごいから。
２００個のシューを積み上げて作ったクロカンブッシュ。
シューの一つ一つと華やかな飾りに祝福の思いが込められています。
あめをからめたカリカリのシュー。
幸せのかけらを召し上がれ。
ロシェットさんの店で働くパティシエ見習のシャーリーンさん。
クロカンブッシュ作りの修業を始めて今年で４年目です。
師匠の手を借りながらボルジェスさん夫妻の結婚式と同じものを再現。
出来上がりを２人の自宅へ。
思い出の味を楽しんでもらいます。
クロカンブッシュを食べるのは結婚式以来だというお二人。
１年６か月ぶりのお味は？人生の幸せな瞬間を彩るクロカンブッシュ。
これからも幸せを運び続けてくれます。
ちょっと「この日」って転勤の事だったのね。
はあ。
転勤ならそう言ってくれればいいのに。
ねえ。
早合点しすぎでしょ誰？いや俺かな？いやうれしくなっちゃってさ〜。
そうね〜。
ちょっとね〜。
でも私たちが寂しくなると思って言いにくかったんだと思うよきっと。
優しいから姉ちゃんは。
そうね。
じゃあお祝いしましょうか。
そうだね！ちょっとかまど見てよ。
姉ちゃんも喜んで喜んでこんなに食べちゃったよ！食べてる。
食べてる。
じゃあ僕もちょっと食べようかな。
せっかく作ったしね。
そうよ。
もう大変だったじゃない。
頂きま〜す。
あっさりは食べられないんじゃない？あらあっさり食べた！あっさり食べた…。
う〜ん！頑張って作ったかいがあってねめちゃくちゃおいしい。
やっぱりね。
それはねおいしいですからこれは。
このシューのふわふわとキャラメルのカリカリがいい感じですね。
なかなか食べられないお菓子よ。
そしてなかなか作れないお菓子よ。
そうだね。
でもねグレが行っちゃうのね。
そうだね。
寂しいね。
うん。
グレーテルからいろんなおねだりがあったわね。
３年半の間に作ったスイーツは全部で１５０を超えました大作家が愛したあの味や名作映画に出てきたこの味。
いろ〜んなスイーツに挑戦したわよね。
この３年半うれしい時も悲しい時ももうひとふんばりしたい時もいつもそばにいてくれたのはスイーツです。
スイーツを通していろいろな国の文化や物語たくさんの人々に出会えた事が僕の宝物です。
あとかまども！あれ〜？うん？何か今「かまども」なんて言ってくれちゃって。
そりゃそうでしょう。
うれしい何かかまど。
ありがとうヘンゼル。
本当？こちらこそ。
何かいろんな事できるようになったねこの３年半ね。
いろいろ頑張ったからね一緒に。
すごい成長しました。
何かそれを見ているかまどもすごい今満ち足りた気持ちでいっぱいです。
本当ですか？という事でまたこのキッチンでお目にかかりましょう。
2015/03/27(金) 21:30〜21:55
ＮＨＫＥテレ１大阪
グレーテルのかまど「旅立ちのクロカンブッシュ」[字][デ]
姉の門出を祝うヘンゼルが、フランスの伝統菓子“クロカンブッシュ”作りに挑戦。小さなシューにあめを絡ませ、積み上げたこのお菓子に込められたメッセージに迫ります。
詳細情報
番組内容
グレーテルの意味深なメッセージに、もしや結婚！？と思い込んだヘンゼル。姉の門出を祝うスイーツ作りに取り掛かります。作るのは、フランス伝統のスイーツ“クロカンブッシュ”。結婚式や洗礼式などの門出に欠かせないこの一品。小さなシューにあめを絡ませ、タワー状に積み上げる難しい技に、ヘンゼルが挑戦！クロカンブッシュに込められた人々の思いをひも解きながら、スイーツがもつ“門出を祝う力”にスポットを当てます。
出演者
【出演】瀬戸康史，【語り】キムラ緑子
ジャンル :
ドキュメンタリー／教養 – カルチャー・伝統文化
バラエティ – 料理バラエティ
情報／ワイドショー – グルメ・料理
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード（ステレオ）
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