(実況)来てます!飛ばしています!今日の先生はリレハンメル長野と2度オリンピックに出場した三浦豪太さん。
世界最高峰エベレストに2度登頂を果たした登山家でもあります。
(三浦豪太)三浦本隊登山隊ただいまエベレストの頂上に着きました。
授業の舞台はスキー場。
そこで子どもたちが見たものは…。
白銀のゲレンデで怖さと向き合う2日間。
さてどんな授業になるんでしょう。
三浦さんの母校…全校児童112人の小さな学校です。
授業開始5分前。
三浦さん何してるんですか?体を動かさないと頭が働かない。
こうやってスクワットをするとこれがポンプになって頭に血液が…数えるの忘れちゃったじゃん。
よしっ多分これで50回。
体を温めていざ教室へ。
こんにちは。
(子どもたち)こんにちは。
いやいやいや…みんな勢ぞろいしているね。
三浦豪太です。
よろしくお願い致します。
(子どもたち)お願いします。
今回授業を受けるのは6年生。
総勢20人です。
とにかく僕がここにいる時に一番好きだったのはやっぱりここの自然かな。
ホントにねいろんなものがいるんだよここ。
僕たちいつもいろんな探検ごっことかしてたので…。
スズメバチがあるから通れなくなっちゃったんだよねあそこね。
腹立ったから帽子かぶってゴーグルしてマフラーして暑い中棒を持ってこのまま「えい!」ってスズメバチを…。
バンバンその前に来てるんだけれどもそんなの無視してバンッてやったの。
そしたらブワ〜ッて黒い影になってスズメバチがグワ〜ッて来て遠目で見ていた子どもたちはパ〜ッて逃げたんだよね。
僕は「大丈夫大丈夫」って言った時に帽子の中に入ってきたの。
それで耳の中を刺されたんだよね。
(子どもたち)うわ〜!こんなもう…。
三浦豪太さんは1969年3代続いた冒険一家に生まれました。
祖父は99歳でモンブランを滑り降りた敬三さん。
そして父は去年80歳でエベレストの頂上に立った雄一郎さん。
無事着いたぞ。
あっもしもし。
うんおかげで無事…。
そんな家族の中で豪太さんも冒険心を育みました。
大体何かやるのと…1個やろうとしたらその10個ぐらい失敗しているんだよね。
今日これから話をするお話っていうのは「恐怖」。
何が怖い?るいちゃん。
僕はこの前友達と遊園地に行って僕はジェットコースターが苦手な方で…。
やっぱり嫌いな人はジェットコースターは怖いよね。
グルンと回るやつ?はい。
じゃありゅうせい君。
全国3位のサッカーチームと相手した時にキーパーやった。
おお〜。
めっちゃ怖かった。
だって周りはすごいシュート打ってくる…。
弾丸シュートとか打ってくる…。
そうそう怖い事っていろいろあるよね。
何が怖い?交通事故ね。
いつあるか分からないよね。
怖さっていうのはじゃあ何だろうって思うよね。
何かこれからやろうとかしようと思った時にそれをへし折られるのはこの恐怖なんだよね。
そこで登場するのがエベレストで実際に使った装備です。
豪太さんが取り出したのは去年エベレストで使った道具。
この中に登山に必要なものを全部入れていきます。
急な岩場を登る金具。
硬い氷に食い込むアイゼン。
どれも初めて目にするものばかりです。
どう?みんな手に触れて。
全部身につけたら25〜26キロかな。
体に身につけるものだけね。
そのほかに水とか食べ物とか持って行かなきゃいけないです。
ちょっといいですか?この酸素ボンベと酸素マスク。
ありがとうございます。
この酸素ボンベと酸素マスクというのは寝る時も行動している時もずっと8,000メートル以上だったらこれをつけていなきゃ大体クラクラしちゃったりします。
標高8,848メートル極限の世界エベレスト。
2008年5月豪太さんは当時75歳の父雄一郎さんと頂上を目指しました。
7,600メートル付近まで豪太さんは酸素ボンベの助けを借りずに進みます。
そこにはある思いがありました。
75歳で登るという三浦雄一郎のチャレンジにちょっと嫉妬してたのかもしれないですね。
「だったら俺もこのぐらいできるんだ」という…。
しかし8,000メートル付近豪太さんは酸素不足により脳浮腫を発症。
これまでに経験した事のない恐怖を味わいます。
一番怖かったのは何かって…怖さが遠のく事なんですよね。
どんどんどんどんそれが進行していくと怖い事すらなくなるんですよね。
「ちょっとそれはおかしいぞ」と冷静な自分がいて…。
「それはもっと怖がらなければいけない」と。
やはり適正な怖さの反応というのを持ち続けないと…それは長く続かないものになってしまいますね。
ただの無謀になってしまうのかなと思いますね。
自分で注射を打ちながら奇跡的に生還を果たした豪太さん。
それ以来恐怖にどう向き合えばいいか考え続けてきました。
どうやったらこの恐怖を克服するのか。
でもそれを克服するのには実はもう一度それに向き合わなきゃいけない。
自分から向き合う意志の力っていうのを今回はみんな授業の中でせっかくここでスキー場もあるしやってみたいなと思う。
豪太さんと子どもたちがやって来たのは学校の目の前にあるスキー場。
子どもたちにとっては毎日滑っているいわばホームゲレンデです。
みんなすごい!さすが豪太さんの後輩たち。
でも怖くないのかしら。
こんな子どもたちにどうやって恐怖について教えるのかしら。
自らの体で恐怖っていうものを克服する方法を明日はスキーを通じてみんなに教えたいと思いますので皆さんそのつもりで明日来て下さい。
いいですか?はい。
よろしくお願い致します。
(子どもたち)お願いします。
お〜い!授業2日目。
ゲレンデにやって来た子どもたちを待ち構えていたのは…。
何か見つけたようです。
そこにあったのは見た事もないような大きなジャンプ台。
高さは1.6メートル。
無理!無理!えっ何が怖い?これ見て。
「前が見えない」「落ちた時が見えない」。
みんな僕はねそれが聞けてうれしい。
前の日の夜豪太さんはゲレンデで一人作業を続けていました。
急斜面に大胆に突っ込んでいた子どもたちにあえて恐怖を実感してほしい。
その恐怖とつきあうすべを学ぶための教材がこのジャンプ台なのです。
これはオリンピッククラスのジャンプ台です。
(子どもたち)え〜!当然これは怖いと思うのも当たり前です。
どうみんなが持っている怖さとつきあうかっていう授業です。
怖い。
じゃあその怖さは何だろうってもう一回ちょっと分析してみようか。
そう「向こうが見えない」「着地が見えない」。
すごい。
目の前にある明らかに怖いもの。
更に着地はどうなっているんだろう。
この先落ちたら自分はどうなっちゃうんだろう。
そういう怖さだよね。
まずは怖さから目を背けず自分が一体何に怖がっているのかを考えます。
それが豪太さん流の恐怖を克服する第一歩。
実は子どもたちジャンプの経験はほとんどありません。
そこで少し小さいジャンプ台を作る事にしました。
これにもうちょっと外側…外側っていうかね横。
横をちょっと強化していこう。
雪のブロックをどんどん積み上げていきます。
これ結構高くないですか?よく生徒はこの大きさを飛ぶと言ったもんだ。
高さ1.3メートルのジャンプ台が出来上がりました。
これはずっと頭の中でジャンプやる時にずっと反すうしていなきゃいけないです。
何回も言わなきゃいけない。
みんなでいっせ〜ので…。
「自分から飛ぶ」。
はいせ〜の。
(子どもたち)「自分から飛ぶ」。
OKです。
飛んでみましょう。
飛べる?その場で。
恐怖を克服するために子どもたちに伝えたキーワード…それは小学校6年生でモーグル競技を始めた豪太さんが最初にコーチから教えられた事でした。
でも最初自分から踏み切れないんですよね。
みんなが飛ぶジャンプ台って最初から大きいからそういう最初から大きいものに対して自分から踏み切るっていうのは難しい事であるけれども反対に自分から踏み切らないジャンプっていうのはやっぱり危険ですよね。
恐怖って面白くて怖いあとに達成感があるんですよねできた時に。
反対に巻き込まれちゃったらずっと怖いまま。
でも自分から主導権を持ってそれを超えると達成感と喜びがあるんですよね。
それを6年生に教えたかった。
さあいよいよジャンプに挑戦です。
ドキドキしてる人?は〜い。
やった〜。
それで正しい。
これでドキドキしていなかったら先生はむしろ心配です。
まずは豪太さん。
飛びます!
(歓声)うわ〜マジかよ!みんなちょっとおじけづいたみたい。
自分がいけるなっていう所まで下がっていいです。
僕はここからいける。
でも私はここから。
全然問題ないです。
最初に飛ぶのはしおりさん。
(歓声)ほら!やった!みんな転んで雪まみれ。
「自分から飛ぶ」って難しい。
大丈夫?大丈夫?大丈夫だったら手降って。
OK。
次に飛ぶのはこゆきさんです。
どんどん怖いのが…。
何か増えてくるっていうか気持ちが…。
きゃ〜!でもね自分から飛んでいました。
(聞き手)どうだった?もう一回復習です。
これだけでいい。
なかなか自分から飛べない子どもたちに豪太さんは体の使い方を教えます。
自分の心が決まったら「自分から飛びます」って言いましょう。
自分を超えろ!やった!飛べた!やった!やった!イエ〜イよくできた。
恐怖に向き合い自分の心と体をコントロールする。
子どもたちのジャンプが変わり始めました。
おっいいいい…いいじゃないの!1本目は派手に転んでしまったこゆきさん。
「自分から飛ぶ」できるかな?おっうまいうまいうまい!ちゃんと踏めてた。
いいですよ合格。
イエ〜イ!怖くなかった?おっいいいい…いいじゃないの!ちゃんと飛べてた自分から。
おお〜!めっちゃ飛んだな!怖くなかった?おっ!う〜ん前の飛距離は分からないけどかなり飛んだようだ。
OK!かっこよかった。
昨日今日2日間通してどうだった?
(子どもたち)楽しかった。
楽しかった?何か変わったような気がする?「自分から飛ぶ」っていうのはどう?きっとね飛べてた子もいるしちょっといまいちだなっていう子もいたけれども僕が何を言いたかったかっていうのはどんな場面でも自分から積極的にその怖さと相対する時には自分が主導権を握る。
いいね自分が主導権を握る事によってその怖さをコントロールする事ができる。
なくす事はできません。
コントロールする事はできます。
だから怖さをむやみに恐れないって事。
かならずその怖さは自分の助けになってくれる。
今6年生だよね。
来年から中学校に入る。
高校に入る。
そのあと社会に出る。
そういった時に一回一回面倒くさいと思う。
怖いと思う。
でもそれはやってみないと分からないしやっているうちに自分で主導権を握れるように積極的に入っていけばそれすらも楽しくなる。
みんなも最初はすごい緊張してたけれども「やった!」って言った時にすごい気持ちよかったでしょ?最初はドキドキしたけれどもすごい気持ちよかった。
緊張こそがみんながこれからやりたいっていう能力を最大限に引き上げてくれます。
あるいは怖さがあるからこそ勉強もする。
怖さがあるからこそトレーニングもする。
なので怖さっていうのは自分の目の前にある先生だと思って下さい。
いいですね?恐怖の事をちょっと違う方から見れば楽しい事が見つかるよみたいな…。
恐怖もあるけどその恐怖がいい思い出になるかなって…。
この先にやっぱりまだたくさんあるのでこの先また何か急に何かやれとか言われた時に今日習った恐怖の克服のしかたとかをしっかりと役立てていきたいと思います。
恐怖に向き合った2日間の授業が終わりました。
最後に豪太さんが子どもたちに見せたのは…。
三浦豪太流「自分から飛ぶ」。
(ノックアウトくん)高橋さん。
はい。
とつぜんですが…2015/03/27(金) 19:25〜19:50
NHKEテレ1大阪
課外授業 ようこそ先輩▽恐怖が教えてくれるもの〜元オリンピック選手 三浦豪太[解][字]
元オリンピック選手で登山家の三浦豪太さんが、札幌市立盤渓小学校を訪ねる。スキー場に作ったジャンプ台に足をすくませる後輩たちに「恐怖」とのつきあいかたを教える。
詳細情報
番組内容
モーグル競技でオリンピックに2度出場し、父親の三浦雄一郎さんと去年エベレスト登頂も果たした三浦豪太さんが、母校の札幌市立盤渓小学校を訪ねる。スキー場で子どもたちを待ち構えていたのは、大きなジャンプ台。怖いとおびえる子どもたちに豪太さんは、恐怖とのつきあい方を教えるという。子どもたちは、自分が何を怖がっているのかを考え、次第にそれを乗り越えていく。【ナレーション】緒川たまき
出演者
【出演】プロスキーヤー…三浦豪太,【語り】緒川たまき
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – その他
趣味/教育 – その他
情報/ワイドショー – 暮らし・住まい
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
2/0モード(ステレオ)
日本語(解説)
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