「日本のおかげ」広報動画は歴史歪曲、専門家ら指摘

問題になっている外務省の広報動画、10カ国語で世界各国にPR
アジア各国の経済成長を全て「日本の功績」に

 問題になっている日本の広報動画は「戦後国際社会の国づくり:信頼のおけるパートナーとしての日本」というタイトルが付いた、およそ2分間の動画だ。外務省のホームページで「外交政策」→「その他の分野」→「歴史認識」とリンクをたどると見ることができる。YouTubeの動画説明には「日本外務省制作」とあり、この動画が、日本政府の公式な歴史認識を反映しているという傍証だ。動画は、日本語版のほか、韓国語、英語、中国語、スペイン語など10カ国語で作られている。駐米日本大使館など世界各国の日本大使館が、ホームページにこの動画のリンクを張り、PRに活用している。

 動画の中で日本は「1951年のサンフランシスコ平和条約により、国際社会に復帰した日本は、1954年のミャンマーを皮切りに、いち早くアジア各国への経済協力を開始、(中略)各国の経済インフラ整備をODA(政府開発援助)により支援し、アジアの発展の基礎を築きました。これにより、日本企業を含む多くの民間投資を促進し、持続的な経済成長をもたらしました」と誇っている。その際に、韓国との関連で、ODAのケースとしてポスコを取り上げ、また地下鉄1号線と昭陽江ダムの写真を「日本がアジアの経済開発協力を始めた」と説明する際の背景に用いている。動画は、中国の北京と秦皇島を結ぶ鉄道の拡充、スリランカのコロンボ湾の拡張、ミャンマーのバルーチャン水力発電所、タイ東部の臨海工業開発事業など、他国でのODA事例も併せて紹介している。しかし韓国のポスコと昭陽江ダムの場合、対日請求権関連の資金が投入されたという点で、公的援助とは性格が異なる。

 専門家らは、この動画について、単なる「日本のPR」というレベルを超えて「事実関係の歪曲(わいきょく)」を行っていると指摘した。国立外交院アジア太平洋研究部のチョ・ヤンヒョン教授は「日本がODAや国連平和維持活動(PKO)要員の派遣などで国際社会に寄与した部分があることは事実だが、問題は、これを過去の植民地支配に対する賠償などと意図的に混ぜてしまっている点。事実関係を知らない外国の人が見たら、韓国の経済発展は全て日本によるものと解釈しかねないわながある」と語った。

ワシントン=ユン・ジョンホ特派員 , イム・ミンヒョク記者
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