開発:フロム・ソフトウェア
対応:PS4
発売日:2015年3月26日
ジャンル:アクションRPG
ゲーム概要
硬派なレベルデザインと独特なダークファンタジーの世界観が有名な、『Souls』シリーズの精神的続編。
本作ではPS4へプラットフォームを移し、更に『Demon's Souls』以来の「SCE×宮崎P」タッグの復活が実現した。
アクションRPGの重鎮
もはや、『Souls』シリーズを知らないゲーマーはいないだろう。
2009年の『Demon's Souls』の発売以来、そのスマートなアクション性と奥深いRPG、何より洗練されたレベルデザインを武器に、『Souls』シリーズは、フロム・ソフトウェアの主砲として、世界中の脚光を浴び続けてきた。
もはや「マゾゲー」などという安易な定義でこれらの作品を一括りにする人は少なくなった。完成されたアクションRPGとして、不動の地位を築いたのだから。
PS4という新天地に舞い降りた『Bloodborne』は、これらシリーズの評価と比較しても謙遜のないクオリティを維持している。
まず、自慢のレベルデザインは相変わらず素晴らしい。敵の一体一体が脅威でありながら、無理なく戦えるような配置にされていて、理不尽さを感じさせない。
特に、回復アイテム「輸血液」のドロップ率は本当に絶妙で、ボス戦の死闘でようやく使い切る具合に調整されている。
また、シリーズ恒例となったダークファンタジー調の世界観も、PS4の描写力でよりきめ細かく描かれていた。ゴシック調の教会など、その描き込み具合に吐息を漏らした人も多いのではないか。
逆転するデザイン
基礎的な部分はしっかりと『Souls』シリーズを踏襲していたとしても、「盾の弱体化」に伴う、大幅なゲームデザインの転換は、ファンから最も懸念されていた点だ。
さて、実際これらの転換はうまい具合に行っていると、私は思う。
『Souls』シリーズは、『Demon's Souls』から『Dark Souls』『Dark souls 2』へと歩みを進めていくなかで、徐々にRPG寄りのデザインになった。
特に、『Dark Souls 2』では武器や魔法のバリエーションは格段に増えたことで、探索の面白さや、多様な攻略を試すことが大きな魅力となっていて、
一方では、大量の武器や魔法のバランスを一括で管理する上で、モーションにある程度ゆとりを持たせるRPGらしい調整も、同時に施されていた。
つまり、『Demon's Souls』がかなりアクション寄りの調整だったのに対し、『Dark Souls』はRPG寄りの調整だったと私は思う。ちょうど、『Diablo』から『Diablo 2』への発展したように。
一方、『Bloodborne』はこの流れに逆行している。
モーションは随分と短いものになり(当然、敵NPCも)、何より盾が大きく弱体化されてしまった。
これにより、本作では計算ずくで行動することが難しくなった。強力な装備と、自分のビルドでどうにかするのではなく、ぶっつけ本番で身を投じて、キャラクターではなく自分自身のスキルを磨けなければならない。
透明で遠距離からは見えない敵や、松明を必要とする暗闇も多分に追加されたのも、プレイヤーに「現場レベルの対応」を求める、アクションゲームらしいデザインと言えるだろう。
とは言え、いつも通りレベルアップや武器防具の強化、アイテムの管理も用意されているので、合理的な振る舞いも前作通り求められてくる。
アクションへの郷愁
この調整は、まさしく『Demon's Souls』のデザインを思わずにはいられない。
サクサクと刀を振り、「マンイーター」の攻撃を間一髪で交わしていた頃のデモンズソウルだ。
もちろん、本作はただバランスを調整しただけではなく、数々の追加要素が新たなアクションの面白さを確立している。
例えば、新要素のリゲインは想像以上に楽しい。攻撃を受けた一定時間内に、敵を攻撃すると少しライフが回復するというものだが、ちゃんと能動的な行動に対する報酬として機能している。
また、ボスが残り体力に応じて行動を変えるのも面白い。元々『Dark Souls 2』から大々的に導入されたルーチンだが、アクションゲーム寄りの本作とは格段に相性がよく、
序盤は被弾を減らしながら慎重に立ち回り、敵が凶暴化する後半は、アイテムやリゲインを駆使して一気にまくしたてていくなど、より柔軟な対応が求められるのだ。
何気ない点だが、タイトル通りやたらに血が吹き出す演出も良い。敵をザクザク切ると、全身から血液が飛び出すのだが、『Serious Sam』のようなグロテスクな嫌悪感は抑えつつ、獰猛な剣舞をより引き立ててくれる。
当然、アクションゲームらしく、モーションは全体的に刷新されている。発売前から話題になっていた変形武器は、実に本作の味付けに当てはまっていて、かっこよさとアクションゲームの面白さを、両方引き立てていると言える。
ただし、この采配が完全に実現されているとは思えない。
まず、前作以上に「初見殺し」と言われるような、トラップ地味た湧き方が多く、前作にあった「盾」というフェイルセーフが取れない本作では、かなりフラストレーションが溜まる演出になってしまった。
やはり盾を廃止する以上は、正々堂々と殴りあいたかったのが本音である。この難易度では「現場レベル」どころか、単なる覚えゲーになってしまうと思う。
また、これは随所でも指摘されているが、アクション寄りなのにFPSが不安定な点と、ロードが妙に長い点は気になった。ハードスペックの問題もあるが、何とか解決して欲しかった点だ。
とはいえ、やはりブラッドボーンは面白かった。
シリーズ恒例の絶妙なレベルデザインに、豊富な攻略を試すRPG、新たに追加された魅力的なNPC、文学的ながらグラフィカルな世界観、
そして何より、敵の攻撃をかわし、銃弾でパリィを決める剣戟はやはり爽快で、これほど純粋にアクションとして洗練された作品は、現代ではそうそうにお目にかかれないだろう。
PS4を持ってるなら、間違いなく購入する価値のある作品だと言える。もっとやり込んでから、また記事を書きたいと思える程に。