page Muishkin

ぺーじむいしゅきん－北海道十勝の原野より

#食べ物いろいろ

友人（農家さん）の家で「皺が寄っている＝煮ても固い」ということで捨てられそうになっていた豆たち。もったいなさすぎる～！と、おはじきとして遊んだあと無理やりもらってきた。花豆おいしいんだよね…

豆ってどうしてこんなにうつくしいのだろう。

鳥に食べてもらうため…？

特に虎豆は、見るだけで華やかな、幸せな気持ちになる。ちょっと景気がいいような気持ち。

どれも和モダンな柄で、あらかじめ粋な包装紙に包まれているよう。いつもながら、自然のデザイン力には感服してしまう。

最近、戯れに「野良クエ」というボードゲームを作ろうとしていて、「鹿カード」とか「ジャガイモシストセンチュウカード」とかそんなものを作っていたのだけれど、この豆をうまく使ったゲームも面白いような気がしてきた。

この紫花豆を見ると、トーベ・ヤンソンの筆跡を思い出してしまうのはわたしだけ？

こういうの。

わたしは「持ちよりパーティー」が大好き。

だって自分は一品しか作らないのに、こんなに色々食べられるんだもの～！

どうやって作ったの？　どこの野菜？　と話も弾むし、普段あまり料理を誉められない（努力しなくても色々できてしまうT氏は、全般的に妻を誉めない…）わたしは「おいしいね！」と言ってもらえることが何より嬉しい。

いつか30人くらいで、しかも色んな国籍の人たちと一緒にやってみたい。

これ、四月少年が幼稚園でもらってきた紅白まんじゅう。

去年を同じものをもらってきて、紅白まんじゅうが六花亭！とびっくりしたのを覚えている。

もちろんおいしい。

（…赤い着色料って、天然で無害のものは無いのかなあ。じゃがいもやさつまいもから抽出するとか…）

地粉パン

白花豆のフレホーレス風

十勝は豆の大産地。もっともっと色んなレシピを知りたいなあ…

と、フィギュアスケートの合間にばらばらと書き散らしてしまった。食べ物つれづれ話でした。

2015.03.27 Friday ... comments(0) / -

#久々にまんが

久々の漫画。主人公が四月少年から十月少年に…

その①

その②

我が家は父長男・母長女・兄長男…なので、十月少年には「これが次男なのか…！」と思わされることが多い。それとも個性なのだろうか。

漫画のねたになりそうなことはしょっちゅうあるのだが、描き止めているヒマもなく次々に新しいことが起こる。

泡のように浮かんでは消えていくのはさびしい。時間を見つけて少しずつ書いていこう。

2015.03.26 Thursday ... comments(0) / -

#風景

故郷の三月が大好きだった。

山がだんだん淡く色づいてゆく季節。うぐいす色や赤銅色が混じりあった山の色合いが、うっとりと眠たいような空気の重さ、粉っぽさと溶け合って、

三十年間、それがわたしにとっての春だった。

…ホームシックに陥っている。

このうつくしい、澄んだ空、

このあかるささえも、

わたしの「春」から遠くへ来てしまったことを思い知らせるだけ。

本州の人々がSNSに投稿する桜の春、山里の春、ふんわりした、夢の中のような、幻のような春の景色の写真を見るたびに、目をそらしたい思いと釘付けになる思いとが交錯する。

今朝も卵が三個。

確実に、春が近づいていることはわかっているのだけれど、

そして終わらない冬はないと信じてはいるのだけれど、

ここ一週間、せっせと撒いた灰や燻炭のうえに雪が降りつもるたびに、気持ちが沈んだ。

移住してきて初めて「本州の田舎でもよかったのではないか」と思った。

…どうして十勝に来たのだっけ？

…探し求めていた風景がここにあったからでしょ、忘れたの？

そうだ、この風景、古楽を聴きながら眺めると、とってもよく合うのだった。

十勝の風景は、心をどこかへ連れていく。

幼い頃からわたしの中にある、日本でも現代でもないどこかへ…

わたしもいつかはこの地に馴染み、この地の春を自分の中に取り入れていくのだろうか。

いつしかこの、胸を締め付けるような郷愁もうすれていくのだろうか。

この写真たち、ぜひAncient FMをBGMに、眺めてみてください。

2015.03.25 Wednesday ... comments(0) / -

#味噌づくり2015

味噌を仕込んだ。

味噌玉を投げ入れて外した時の残骸や麹、その他もろもろで床がひどいことになっている。

今回は初めてで出来上がり量20kgというチャレンジングなことをしてしまい、「開けてみたらすべてが納豆ペーストになっていたらどうしよう」とドキドキしている。

何しろ、失敗しそうな要素が色々あったのだ。

浸した大豆。

我が家には味噌作りのやり方を書いた本が三冊あり、18～20時間くらい浸す、という記述に従って20時間ほど浸したのだが、豆がうまく煮えなかった。

寸胴鍋の大きさに対して豆が多すぎたとか、弱火ではお湯が対流しなかったとか、そういう要素もあったかもしれない。

二時間ほどで煮あがる…という記述を信じてコトコト煮て二時間、まだ柔らかくはないね～と言って映画を観ることにし、四時間後に再度確認、まだまだ硬い。さらに数時間待ったが「指で簡単に潰せる」にはほど遠く、夜じゅう弱火で煮続けることに…

朝。さすがに、と確認するも、豆は指からつるりと逃げる。

大量の豆。同じ町のUさん・Yさんのお豆をブレンド、煮たまま食べてもおいしい！

ストーブの上で煮たかったのだけれど、火力不足と鍋の重さで断念。

来年は外に簡易かまどを作って、薪で炊こう。

火を止めて保温もした

なんとか指でつぶれる柔らかさになった豆。潰すのにマッシャーを用意していたが、「めちゃくちゃ柔らかい」わけではないので、どうもうまく潰せない。仕方なくブレンダーで潰したけれど、ミンチャーのように全体が均一に潰れる訳ではない。

仕方なく、手で残った豆を潰しながら塩きり麹と混ぜたのだが、時間がかかる…

この間に空気中の雑菌が入っていたらどうしよう、というのがわたしの懸念。

来年はミンチャーを用意しよう。

そもそも麹も、できれば袋詰めになったものではなくて、麹やさんから容器に入ったものを購入しようと思っていたのに、よくわかっていなかったわたしは前日になって「麹くださ～い」と麹やさんに行き、「24日まで埋まってますから予約してください」と言われる始末。

そうだよな～、麹って育てるものだから、ハイどうぞという訳にはいかないよなあ。

写真はスーパーで購入した、友人おすすめの「渋谷さんの麹」。20袋で6,000円くらい。

塩とよく混ぜてから入れる。

20キロだと混ぜるのもまるめるのも入れるのも大変。

かなりの重労働だ。

丸一日以上味噌の素と格闘して、できあがったときにはへとへとに疲れ切っていた。

このあと、もうちょっと平らにならして、塩を撒いて、ラップで覆って、落し蓋をして、重石を載せて…

できあがり！

（この中蓋、もう少し大きい方がいいんだけどどうしてこのサイズなのかなあ…）

この上からビニール袋で覆い、ひもでしばって、今は食品庫に置いてある。

あとは麹様におまかせするしかない…

と、分かってはいるのだが、

納豆ペーストになっていないか、腐っていないか、別のカビが生えていないか…どうしても気になる！

これってどのくらいの頻度でチェックしていいものなのだろうか。

空気に触れさせるとよくないというけれど、かびていたりしたら除去したいし。

なにぶん初めてなのでよくわからず、詳しい方がいらしたらご教授ください。

麹様方、どうぞお頼み申します。

江島家のようなおいしいお味噌ができますように。

2015.03.23 Monday ... comments(0) / -

#山羊小屋計画

一昨日はひとつ、昨日もひとつ、今日はふたつ！
卵の数で春を感じる。

今年はニワトリを増やして、できればヤギの女の子を飼いたい（本別の方が、春に生まれた子が女の子なら譲ってくださるとのこと）。というわけで、春のうちに家畜小屋を作る予定。

家畜という言葉は好きではないのだけれど、何か代わりの呼び方はないかなあ。

雪に埋まった時の鶏小屋。今はもう少し雪かきして、早く雪が溶けるよう灰をまいている。

この鶏小屋は、家を建てた時の余りの材とホームセンターで購入したベニヤで、スタンプで黒く「マレーシア　サラワク」とある。輸入木材である。

見るたびに、「これは森林破壊につながっていないのだろうか…現地の人から搾取してわたしたちが安く買っているのでは…こんな（永久に使える訳ではない、というかむしろしょっちゅう屋根が飛んだりつぶれたりしている）鶏小屋に使っていいものだったのだろうか…」というイヤな感じが胸をよぎる。

次は輸入ベニヤはやめよう。

では何で作る？

と、様々に検討した結果、でてきた答えは「土壁」。

所沢にいた頃、散歩コースにはよく昔の家が建っていた。壊れかけていて外から構造を見ることができるものも多かった。木の柱や梁の間に竹を立て、その間を縄でくくっている。その間に泥が塗られ、詰めてある…

そうしてできた家は「今の家より長持ちする」とアパートの大家のおばあちゃん、シゲさんが教えてくれた。少しずつ修理して使えるということらしい。

「今の家はあっという間にできるけどね、昔の家はよかったよ…」

それは散歩コースの家々の庭にある、現役の納屋たちが証明してくれた。

（タイム大好き！　庭をタイムで埋め尽くしたい…）

北海道には竹林がないので、竹を立ててその間に縄、というのは難しそう。

けれどもできれば地元のものや捨てられそうなものを利用して、そして土に還る素材で、地球に負担なく建てたい…

ということで、解体現場からでる古畳を下地に粘土を塗って建てられないか、というのが今考えている計画。断熱はどうしよう。

ここのところあたたかい日が続き、ストーブをつけない日もあったのだけれど、今日はとても寒い。

今日はこれから味噌作り、ストーブの上で豆を煮たいわたしにとっては「時期が遅すぎたか」と思っていたのだけれど、まだまだストーブは活躍しそう…

早く雪が溶けてくれますように。

2015.03.20 Friday ... comments(0) / -

#自給コミュニティについて　その2.あとりの会

前回の記事の続き。

わたしがイメージするコミュニティに近かったのが、「六道山公園」と「片浦”食とエネルギーの地産地消プロジェクト”」だ。

所沢時代に足しげく通った六道山公園の里山民家は、古きよき日本の里山暮らしを再現する場所。古民家を模した母屋の周りには田んぼに畑、小川に森と豊かな里山風景が広がっていて、大好きな場所だった。

（以前のブログから引っ張り出してきた里山民家の写真）

田んぼは登録した会員さんが世話していて、一年を通して里山に親しんでいる。

畑の世話や森の手入れをし、民家で迎えてくれるのはボランティアさんたち。「自然が好きな方、里山の恵みを活用したい方、伝統文化を学びたい方など、どなたでも大歓迎です♪」ということで、様々な人が集まっている。

お餅をついたり切り干し大根を作ったりしていたこともあったなあ。そこで採れた蜜柑が置いてあって、脇に「里山保全のための募金にご協力ください」と募金箱があって、自分で適当な額を置いていく。わたしたちが通っていた頃はよくオカリナの得意なおじさんがいて、リクエストすると吹いてくれたっけ。

（これは何か子どもの日のイベントをやっていた日で、普段はもっと静か。太鼓の演奏をしていた）

母屋の中にはこまやけん玉など昔のおもちゃに、昭和の頃の関東の写真集。生き物図鑑。

公園を歩きつかれた人はただお茶を飲んで休むだけでもいいし、庭の竹馬や缶ぽっくりで遊ぶこともできる。

周囲には様々な生き物がいて、子どもたちが来てザリガニを採ったり、虫を捕ったり、散策したり、ただのんびり過ごしたり…

わたしが六道山公園の運営について「いいな」と思うのは、やっぱり「自主的に集まった年齢も性別も境遇も違う人たちが、けっこう自由に、それぞれの特技を発揮して、関わる」というところ。

例えばわたしだったら、子育てをしていて、畑を借りていて…となると、どうしても同世代の子育て仲間や、畑や食に関心のある友人ばかりになる。

だがわたしは、街を歩いていてたまたま出会った燻製好きのおじさん（わたしは彼に二度も燻製した魚をいただいてしまった。ものすごくおいしかった）とか、六道山にいたオカリナ好きのおじさんとか、まだまだいるであろう面白い人たち、同世代には決して語れないことを語ってくれるおじいさん、おばあさん方とも、関わりたいのである。

多様性、それが豊かさだと考えている。

そういうわけで…

形態：自給自足サークル

名称：＜蠟燭森・あとりの会＞　※原野にアトリがたくさん来るから

費用等：無料（毎回実費を払う）もしくは会費制（一家族、月500円くらい？）要検討

…会費の負担は誰でも気軽に来られるように参加した回ごとにしたいところだけれど、それだと毎回誰がくるのか分からず、魅力的な内容を準備して人を呼ばなくてはならない…というとやっぱり「お客さんに来てもらう」ことになってしまうため、メンバーをある程度固定して、予算の計画もたてて活動できた方がいいような気がしている。

活動内容：山菜とり、燻製づくり、畑づくり、みんなで使える小屋やコンポストトイレづくり、保存食づくり、などメンバーで相談して決める

月に一度程度（日曜日かな）集まって活動のほか、メンバーは自由に遊びに来られる。畑に

ものがなっていたら世話をしに来た人が収穫していく感じで…

という感じで、やりたいという人が5人くらい集まったら活動しようかと考えている。

すぐに人が来てくれるかどうかはわからないけれど、自分の家の自給をがんばりながらのんびりと仲間を募集したい。DIYの特技をもった変なおじさんとか、開拓時代に詳しいおばあさんとか、とにかく原野を走り回る子どもとか、お料理上手さんとか、歌って踊れる人とか、来てくれたらいいなあ。

「参加してみたい」「こうだったら参加したいけど…」その他ご意見などありましたら、rousokumori@aol.jpまで、お待ちしています。

2015.03.17 Tuesday ... comments(0) / -

#自給コミュニティについて　その1

最近、甘いものが食べたくなったらクレープ+甘酒カスタード。

これは横着して作って、卵がちょっと固まってしまったけれど、甘酒自体がつぶつぶなのでそれほど気にならない。砂糖なしでもしっかり甘く、甘酒のクセは全くなし！

甘酒に粉とすりごまを加えて揚げるだけのドーナツも簡単で人気のおやつ。

甘酒一袋（300円くらい）買うと約一週間分のおやつが作れるので、甘党のわたしも脱砂糖な日々を満喫中。

さて、今日は自給自足サークル？について考えていることをメモ…

どのような活動形態にするのか曖昧なままに（それ自体も話し合って決めるということで）メンバーを募集していた＜蠟燭森＞だけれど、何も枠がないのも考えづらいので、とりあえず形を決めた。

当面の活動は、以下の二種類。メンバー登録してくださったみなさまには、もう一度きちんと説明して確認しよう。

①自給自足サークル＜あとりの会＞（月に一度くらい）

②講師を招いてのワークショップ（年に数回くらい）

①は先日の記事のとおり、実費以外の利潤は生じないようなものにしたい。

②も主催者としてマージンをとるようなものではなく、自分が学びたいことについて、「他にも学びたい人がいたら講師料の負担を分け合って一緒にやったほうがいいよね」という主旨で行う。

当面は。

＜サークル＞という言葉が適当かどうかはわからないし、固定したイメージの中に押し込められてしまうような気もするが、ともかく言葉を当てることで一気にわかりやすくなった。

わたしにとっては、よくわからないことを始めてご近所のみなさまに不審がられるのではないかということが最も大きい懸念なので、＜サークル＞と呼ぶことでそれが払拭できるのであればよしとしよう。

（今日もカニ穴ごはんに感謝！）

エコヴィレッジ（＝持続可能であることを目指した農的コミュニティ、という定義でいいだろうか）のようなものは国内外にたくさんあって、わたしたちにとって魅力的なもの、そうでもないもの、色々だ。

「共に暮らしたいと思う理由」で書いたとおり、隣人と暮らしたいという思いはあるけれど、ひとつの共同体として外部に対して閉鎖的になるのは抵抗がある。

自給という点では助け合い、知恵を出し合ったり、色々な問題について語り合ったりしたいけれど、そこでグループになって何か仕事をするとか、「何でも一緒」みたいな関係は考えていない。

確かにフィンドホーン（イギリス）やかつてのアリスファーム（赤井川村）のように、キッチン係、菜園係などと分担して共同体を形成するのも楽しいだろう。どこかから来た研修生や宿泊客などもいたら、それほど閉鎖的とは感じないかもしれない。けれど、大きな共同体の中で細かく分業していったら、結局は会社員のようになり、「自給自足」からは遠ざかってしまうような気がする。

（待っていました～杉の味噌樽到着！　これで一年分の味噌を作る予定）

と…長くなってきたのでその2に続く。

2015.03.16 Monday ... comments(0) / -

#鶏小屋つぶれる

鶏小屋の屋根がつぶれた。

今年の十勝はおかしい（とみんな言っている）。二月の末から数日おきに大雪が降っている。

三月の、湿った重い雪。

扉が氷で阻まれて開かなくなったので、屋根から世話をしよう、と屋根を開くようにしたところ、翌日につぶれた。

鶏小屋はほとんどが雪で埋まっている。

「コッコ！　コッコちゃん！」と大きな声で叫ぶが、何の音もしない。

夢の中みたいに。

近づいていってもう一度叫ぶと、奥からかすかに「ココー…」と声が。

慌てて重たい雪をどけて、屋根を持ち上げ、コッコ！コッコ！と呼ぶと、わずかに残った隙間から一羽が出てきた。

続いてもう一羽。

もう一羽。

全員生きていた。

ありがたいことだ…。

腰まである雪の中、三羽を抱えて家まで戻る。途中、四月少年が迎えに来てくれたので一羽をお願いする。

玄関に入れ、ダンボールとひもで仕切りをつくり、その中に米を撒く。

（友人の農家さんハウスよりやってきた新鮮野菜。生野菜はあまり食べないわたしがサラダで食べたくなるということは、雪があってももう春、なのだろう）

ほっとしたのはいいけれど、鶏小屋、どうしよう…

春にヤギが来ることになりそうなので、どちらにしても家畜小屋は作る予定だけれど、雪が溶けないことにはどうしようもない。

今日、帯広で用事を済ませて夕方家に帰ると、鶏たちは仕切りを突破し、閉めたと思っていたが開いていたリビングのドアから部屋に侵入し、我が物顔で闊歩していた…。

当然、部屋はふんまみれである。

食卓の下にも、クローゼットにも、朝、急いでいて押し入れに上げなかった布団にまで…

仕方ない。

シーツと布団カバーは全部外して洗濯機へ。布団カバーの替えがない。枕にもバスタオルを巻く。床はふんを始末して拭いて消毒してから、全面水拭き。

わたしは村上春樹の小説はそれほど好きではないのだが、今回ばかりは村上小説風に「やれやれ」である。村上風に「やれやれ」とつぶやくとき、そこには怒りも悲しみも含まれず、やれやれ的状況がさも何でもないことのように感じられる。なかなか便利なのだ。

おそらく、雪に降りこめられ、寒くて湿った劣悪な環境に耐えて、さらに命の危機を乗り越えた末に玄関に閉じ込められた鶏たちも、「やれやれ」と言いながら部屋を歩き回っていたのではないか。

後始末は大変だったが、彼らがあたたかい家歩きを楽しんだ午後のことを思うと、やっぱり頬が緩んでしまう。カメラで撮影してみたかったな。

さて、次の日曜日は仮の鶏小屋づくりだ。仕事は果てしなく続くのである…

2015.03.13 Friday ... comments(0) / -

#仕事・お金の価値の（個人的な）話

ご縁をいただいて四月に土窯づくりのワークショップを開催することになり、あわてて急ごしらえのホームページを発表したのだが、その後の対外的な（自給以外の）活動については長らく妄想段階のままだった。

最もわたしの頭を悩ませていた問題は、めざす活動で利潤を得るのかどうかという部分である。

結論から言うと、当面は利潤を目的としない活動を行うことにした。

そのことについて、備忘録的メモを残そうと思う。

（今はこの写真よりさらに積もっている…一週間前は畑の土が見えていたのに）

元々、自給自足は自分たちのためにやること。

それを分かち合うことの意義は、

・自給暮らしを身につけ「足るを知る」を知ってもらうことで持続可能な社会の実現に寄与する

・子どもたち、特に青年に来てもらい、自分の手で生活の糧を生み出すことを通じて生きる・働くということの本質や貨幣や労働の価値について考えてもらう

といったようなことだと考えている。大学で課外教育プログラムの担当をしていたこともあって、教育的な要素がふくらんだ。

このような課外（学校ではない場における）教育は、今の日本でとても必要とされているものだと思う。また、仕事になるものだと思う。

けれど、青年はともかく子どもたちが自然や農的なもの、それに付随するコミュニティや遊びの世界を享受するのは当たり前のことであり、高いお金を払わなくては受け取れないのはおかしい…とも、感じるのだ。高額な費用のかかる「お教室」みたいな感覚になるのはイヤだ。子どもから老人まで、誰でも来られるようにしたい。

一方で、仕事にしたいという思いも強かった。

八年間勤めた職場を退職し、保育園も退園、突然「専業主婦」と呼ばれて子どもを24時間保育し夫に生活を依存する日々が始まったことには、とてつもない寄る辺なさを覚えている。

主婦向けの「これを受けたら〇〇として活躍できます」というようなセミナーや資格が巷に溢れている理由が、今ならよくわかる。「輝く女性像」に対して家庭に埋没している自分への焦り。後ろめたさ。自分自身の理念をもって仕事を創った人たちへの憧れ。全部自分の中にある。

やりたいことがあって、それを仕事にできて、そして社会にも貢献できたら…心が動いた。

仕事にするとしたらワークショップやキャンプを企画したり、都会から開拓ツアーで人を呼んだり、様々なイベントを開催したり…研修施設を作って、泊まってもらうのもいいかも。

助成金も活用したら？

会費制は？

非営利団体にして、運営費（人件費）は予算に入れて…

でもなあ、やっぱり、来てもらう人からあんまりお金もらいたくないなあ…

机上であれこれ考えていたら、

「何が目的なの？　お客さんに何が提供できるの？」と、T氏に聞かれた。

わたし「目的は、持続可能（でその他、一言では言えないがよりよい）社会の実現に寄与すること…やることは、自給自足的活動を体験・学びたい人に向けた各種企画の運営…かな」

T氏「お客さんに体験してもらって、みるか（わたしの愛称）はサポート役になりたいの？」

わたし「…」

T氏「一緒にやりたいんじゃないの？」

わたし「…そう」

T氏「仕事は誰か（お客さん）のためにやるんだよ。利害が対立したときはお客さんを優先するんだよ。来てほしいのは、お客さんなの？」

わたし「ちがう。…一緒にやる仲間だね。仕事じゃないや」

T氏「だいたい、サポート役とか向いてないでしょ」

一瞬で話が終わった。わたしが甘かった。ばかだった。

理念がないわけではない。やりたいこともある。でも、お金を受け取るというのはそれだけではできない。わたしは「分かち合いたい」という言葉をよく使っているけれど、分かち合いたいだけではダメなのだ。分かち合いが仕事になっている（提供する人・利用する人・関係する人々の間に何かよいものを分かち合っているという意識が生じている）理想的なビジネスをしている人もたくさんいるけれど、その人たちは分かち合っているだけではない。お客さんに価値を販売しているのである。

自分の活動の中から仕事を生みだせたらと思ったけれど、「ついでに」とか「あわよくば」みたいな気持ちで、仕事ができるわけはないのだった。

…自営で仕事をしている人たちは、このあたりをきちんと考え整理して、覚悟のうえで仕事に臨んでいるのか。当たり前だけれど、すごい！尊敬！

最初に「当面は」利潤を目的としない、と書いたけれど、自分たちに技術＝他人に提供できる価値が身について、それを提供できるようになったら、コミュニティとは別にそれをナリワイのひとつにしてもいいと思う。でもそれはもっと後の話。

T氏は「コミュニティの形成が目的で、一緒にやる仲間を募集するのであれば、参加費は利潤が出ないようにするのがいいと思う」という。

幾らなら相手が出してくれるのか、とか、自分が幾ら欲しいか、ということではなく、その活動に幾らもらうのが正当なのか。仕事にしろそうでないにしろ、そういう考え方でやっていくのが良いと思う、と言う。

そうだった。それも忘れていた。

そのモノを作るのにどのくらいの労力や時間やお金や環境負荷がかかっているのかで、モノの値段は決まるべきだと、わたしたちは考えている。

ニーズがあればどれだけ高く売ってもいいというやり方、新たなニーズをどんどん生みだして新たな商品やサービスをどんどん生み出す、というビジネスのあり方は、人や地球環境を疲弊させると思う。経済やお金の問題については色々な考え方があるだろうけれど、とにかくわたしたちはそう考えている。自分が買う時だけではなく、売る側になった時も、これを忘れないようにしよう。

価格は高すぎてもダメだが安すぎてもいけない。

「主婦が片手間に、安すぎる価格でモノやサービスを提供することで、それで食べている人が困る」というような記事を読んで「確かにそうだ」とぎょっとしたことがある。ただでさえ専業主婦に対して風当たりが強くなってきた社会で「主婦に片手間にやられて迷惑だ」なんて追い打ちをかけられたら…いや、絶対にそんなことを言われないようにしよう。そう思った。

今回わたしがやろうとしていることについては、サービスでないから、安かろうと問題にならない、と考えていいだろうか。

同じようなことをお金をとってやる人がいるとしても、それはプロによるサービスであり、わたしがコミュニティを目的として行うこととは違う価値のあるものであるはず。

逆にいえば、自給自足の技術を買ってもらうなら価値を提供しなければならないし、自給自足サークルの代表ならばそうであってはならない。提供する・されるという関係ではなく、共に築く関係を目指さなければならない。

そんな感じかなあ…

そういうわけで、なんとなくまとまりのないまま仕事の話は終わり、次回はどんな活動形態にするかについて考えます。

2015.03.12 Thursday ... comments(0) / -

#四年目の3.11

3月11日だ。

朝、新聞を読んでやっと気づいた。

あの日とその後に思うことについては何度も書いていて、いざ、四年目に書こうと思っても言葉が出てこない。

震災のことを「忘れてはならない」ではなく、「忘れたくない」のはなぜだろう。

考えていて出てきた言葉は、「自分の人生の中で大きな意味があるから」だった。

わたしは自分を当事者だと感じている。

直接的な被害は被らなかったものの、福島の事故で受けた心理的被害は大きかった。あの頃胎児だった十月少年に、今後も影響がないかどうかは分からないとも感じている。

東京電力の、原子力発電所で作った電気を利用して、多くの人々に被害を与えた加害者でもある。

いのちを守りたい、ということをあれほど痛切に願い、いのちが第一ではない社会の不自然さをまざまざと感じたあの日々を、忘れたくない。

この写真は、四月少年が撮ったもの。

わたしはぼさぼさの髪で、畑の計画か何かを書いている。十月少年が背中にくっついている。わたしはたぶん「重いなあ。どいてくれないかな」と思っていただろう。口に出してそう言ったかもしれない。

なんということもない、日常の光景。誰も笑顔ではないし、ちょっとピンぼけだし、陰影がない。

でも、あらためて見ると、わたしにとっては幸せな写真だ。

自分が心から守りたいと願ったものが、今ここにあるということ。

子どもの身体のやわらかさ、あたたかさ、重さ。

重さ。

そう、いのちは重くて、実際にここにある。

（抱き上げる子どもの重みとか、米袋の重さとか、湿った雪の重さとか、そういうものと付き合っていると、紙幣のように軽いものは信用できないような気持ちになるのである）

浜辺からの行列を見てゐたのだらう四年前にはゐざりしきみは　　河村壽仁

友人の一首。

この歌を読んで、ああ、これは本当のことだと感じた。

わたしの中にも詩的真実としてありありと感じられる。見える。

行列が、海が。

この歌は忘れないだろう。

自分ももう一度、命の繰り返しの中で果たす役割ー海としてのーを担いたい、そして自分の中で少しずつ増してゆく重さを感じたいと、ひさしぶりに思った、3月11日だった。

2015.03.11 Wednesday ... comments(0) / -

| 1/22 | >>