物理の時間。馬場の内側と外側の距離の差について。
テーマ:コラム昨日、美浦は朝から大雨でした。
昼間でも肌寒いくらいでしたが、
暑いよりはいいです。
今日は朝から曇り時々晴れですが、
おかげで過ごしやすいです。
最近は、私用で忙しいことと、
朝6時乗りで昼休憩が短くなったことで、
あまりブログが更新できていません。
みなさんに見放されない程度に、
ボチボチ更新していきたいと思います。
さて今日は、明日土曜日の中山競馬の枠順が確定しました。
8Rに出走する、シルクタイタンは7枠9番です。
12頭立てですし、距離も2,500mなので、
あまり枠順は気になりません。
後ろから競馬する馬なので、
外枠でよかったと思います。
今回お話しするのは、馬場の内側と外側の距離の差についてです。
日本の競馬では、新潟競馬場の直線1,000mのレースを除いて、
すべてのレースでコーナーを回ります。
コーナーを回るということは、
内側と外側で走る距離に差ができます。
みなさん、この差が一体どれくらいなのかわかりますか?
単純に、2頭の馬がピッタリと真横に並んで、
コースを1周走ってきたとします。
この時に、外側を走った馬は、内側を走った馬と比べて、
どれくらい余分に距離を走ったでしょう?
直線は内側も外側も走る距離は変わらないので、
問題はコーナーです。
コースを1周したとすると、
円1周分のコーナーの距離の差を求めればいいわけです。
外側の馬が、内側の馬よりも、1m外側を走って1周した時、
内側の馬の回ったコーナーの半径をr(m)とすると、
外側の馬の回ったコーナーの半径は、r+1(m)です。
内と外の距離の差は、
(外側の円周)-(内側の円周)
で求められますから、円周率をπとすると、
2×π×(r+1)-2×π×r
=2πr+2π-2πr
=2π
≒6.28(m)
つまり、ピッタリ併せ馬でコースを1周すると、
外側の馬は内側の馬よりも、
6.28m余分に走っている、
ということになります。
6.28mといえば、およそ2馬身です。
これは、コーナーの大きさ、
つまり広い競馬場か、小回りの競馬場かは関係ありません。
コーナーの半径rが1でも100でも結果は同じです。
問題は内側の馬よりもどれだけ外側を回るか、
何頭分外側を回るかです。
上の場合は1周で計算しましたが、
だいたいどの距離のレースでも、
3、4コーナーは回ってくるので、
半周で計算してみたいと思います。
内側の馬よりも1頭分外側を走ったとすると、
半周なので、上の半分の距離で、
3.14m余分に走る、
つまり約1馬身余分に走ることになります。
これがもし、x頭分外側だったとすると、
内側よりx(m)外側を走るとして、
(2×π×(r+x)-2×π×r)/2
=πr+πx-πr
=πx(m)
3頭分外側ならば、9.42(m)余分に、
5頭分外側ならば、15.7(m)余分に走るということです。
単純に言ってしまうと、
1頭分外側を走って、
3、4コーナーを回ってくると、
内の馬よりも1馬身余分に走り、
3頭分外側を走ってくると、3馬身余分に、
5頭分外側を走ってくると、5馬身余分に走ることになります。
この時、勝った馬との着差がわずかだった場合、
あと少し内側を回っていれば、とか思いませんか?
単純に距離だけで見ると、
外側を回ってくるとこれだけ不利になります。
ただ、内と外の馬場状態の良し悪しなどもあるので、
単純にこれだけの差が出るとはいえません。
しかし、内側が空いているのに、
ルーズにコーナーを回ってくる馬(騎手)もいます。
これは明らかに、余分に走っていることになります。
外国では、その辺り、騎手や調教師はとても厳しいです。
外を回るとどれだけ余分に走るのかわかっているので、
コーナーに関しては、とてもタイトに回ってきます。
日本の場合は、やはり、馬場状態の良し悪しが占める、
割合がとても大きいので、一概に外を回ったからダメ、
とは言いません。
その辺りは、外国との競馬の違いでしょうか。
今度は、逆の視点から見てみましょう。、
内の馬よりも外側を走っているのに、
コーナーでどんどん差を詰めてくる馬もいますね。
「まくる」とか「まくり」とか言われますが、
この状態を考えてみたいと思います。
まず単純に、鼻面をそろえた状態で、
3、4コーナーを回ってきたとします。
中山の内回りコースの場合、3、4コーナーの距離は約500mです。
この2頭が200m(1F)を12秒のペースで走ってきたとすると、
500mでは、
12×(500/200)=30秒
かかります。そこで、内側の馬の走る速さは、
500÷30≒16.7(m/秒) 秒速16.7m
この時、外側の馬の走った距離は、
500+3.14=503.14(m)
外側の馬の走る速さは、
503.14÷30≒16.8(m/秒)秒速16.8m
となります。
この2頭が、このままの速さでゴールまで走ったとします。
内側の馬の速さを基準に考えます。
中山の最後の直線を300mとすると、
内側の馬は200mを12秒のペースで走っているので、
ゴールまでは、
12×(300/200)=18秒
18秒かかることになります。
内側の馬がゴールした時、
つまり、鼻面を併せて直線を向いた時の18秒後、
外側の馬は何処にいると思いますか?
外側の馬は、内側の馬よりも、
16.8-16.7=0.1(m/秒)
秒速0.1m速く走っているのですから、18秒後は、
18×0.1=1.8(m)
1.8m前、つまり半馬身以上前にいることになります。
これは、3コーナーの入り口で、
2頭が鼻面を併せてピッタリ並んで、
直線向くまでずっと鼻面を併せていて、
そのままずっと2頭が等速で走ったと仮定した場合です。
もしこれが、内側の馬よりも後ろから、
外側を通ってまくって来た場合はどうでしょう?
後ろの馬が、仮に2馬身後ろから3コーナーに入って、
直線の入り口(4コーナー終点)で、
内側の馬と鼻面を併せた時を考えてみます。
外側の馬が走った距離は、1馬身を3mとすると、
500+3.14(内外の距離差)+6(2馬身)=509.14(m)
直線向いた時の、外側の馬の速さは、
509.14÷30≒17(m/秒)
ということは、内側の馬よりも、
17-16.7=0.3(m/秒)
速く走っていることになり、
内側の馬がゴールに到達する時には、
0.3×18=5.4(m)
5.4m前、つまり1馬身半から2馬身は前にいるということです。
同様に計算すると、
内側の馬と鼻面を3コーナーから直線まで、
2頭分外側を併せていると、
ゴール到達時には、3.6(m)、1馬身以上前、
さらに、3コーナーでは2馬身後ろで、
コーナーの間に2等分外を通って、直線並んだ時は、
ゴール到達時には、6.8(m)、2馬身以上前にいるのです。
ここまで読んできて、
「なんのこっちゃー!」
と思っている人が大半だと思いますが、
何が言いたいかというと、
外をまくって、内側の馬に並んで直線に向いた時は、
2頭がそのままの速さで走ったとすると、
外側が勝つ。
と言うことです。
そんなの当たり前、とか、経験上知っている、
と言う人も多いでしょう。
僕が言いたいのは、
外側の馬が、まくって差を詰めて直線を向いた時、
内側の馬と並んでいれば、
十中八九、外側が勝ちますよ、と。
じゃぁ、内側の馬はまるで最初から負けてる感じになりますが、
これをしっかり理解していると、
内側の馬(前の馬)はどうやって仕掛ければ、
外側の馬(後ろの馬)の猛追をしのげるか、
というのがわかります。
上の話では、まるで外側のほうが有利なように見えますが、
実際、内側の馬の方が走っている距離は短いのですから、
内側が有利なんです。
次回は、僕が考える、内側の馬が勝つための仕掛け方を、
お話したいと思います。
この話は、あくまで机上の論理に過ぎないので、
あくまで参考までに聞いてください。
では、次回に期待してください。
今日も最後まで読んでいただいてありがとうございました。
コメ、質問等、お願いします。
今日も物理の話だったので、
わからないところはどんどん、書いてください!
1 ■(^_^)v
何回も読み直して
消しゴムをお馬さんに見立てて動かしたり
でも解りやすいです
ありがとうございます
う~ん…
奥が深いなぁ
競馬って
すごいですね