国内各地で、将来を見据えたインフラの整備事業が進んでいる。山では迫り来る自然災害に備え、都市では国際競争に打ち勝てるような力を高め、地方では人を呼び集めてにぎわいを生み出す――。このように現状の社会的課題を高度に解決し、新しい日本を構築しようという事業は少なくない。連載「日本大改造」の第6回は、全国で初めて、ダムの本体である「堤体」に太陽光発電設備を設置した兵庫県加古川市の権現ダムを取り上げる。
加古川工業用水の安定供給を目的として、兵庫県企業庁が1982年に設置した権現ダム。このロックフィルダム(岩石や土砂を積み上げて造るダム)で、全国初の堤体を用いた大規模な太陽光発電施設が2014年11月に運転を開始した。堤体法面に6912枚の太陽光発電パネルを設置しており、年間発電電力量は184万kWh以上を想定している。県が募った提案競技を経て選定された日本コムシスが、施工を担った。
施工上の最大の難点は、設置面が傾斜していること。しかも勾配は一様ではなく、斜面中央付近がややくぼんでいる。従来方式の測量では膨大な手間が掛かるため、現場ではレーザーによる三次元測量を導入した。
パネルを設置する架台の基礎に、深さが必要となる杭は使えない。そこで、堤体の表面材であるリップラップと呼ぶ岩をくり抜き、コンクリートで置き換える工法を採用した。差し筋を使いつつ、高さ26cmの基礎を堤体表面に沿って固定した。
傾斜面でのコンクリート打設では、コンクリートの流出を防ぐ配慮が要る。そのため、リップラップをくり抜いた部分の下面には岩を砕いて敷き詰め、リップラップの隙間を埋めた。加えて、型枠内にはラス網を設置したうえで、型枠とリップラップとの隙間にスポンジを仕込み、側面からの流出を防いだ。
堤体の高さは約20mで、斜距離は約60m。資材は、堤体上下の水平面に設置したクレーンで吊り上げた。堤体の高い位置へのパネルと架台の設置は、堤体の下で組み立ててから設置位置まで吊り上げて運ぶ計画を立て、各パネルは手作業で調整するようにした。架台の部材には勾配に合わせて高さと角度を調整できる長い穴や扇形の穴を設けた。
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