総務省が27日に発表した2月の全国消費者物価指数(CPI、2010年=100)は値動きの激しい生鮮食品を除いて102.5と、前年同月比で2.0%上昇した。14年4月の消費増税による要因を除くとゼロ%になり、1年9カ月ぶりに横ばいになった。原油安の影響が大きく、景気には追い風になる。ただ日銀が掲げる消費増税分を除いて2年で2%上昇という物価安定目標との差は一段と広がった。
物価は13年6月以降、前年同月を上回って推移していたが、昨年春から伸びが鈍った。日銀は昨年の消費増税による物価の押し上げ効果を昨年4月が1.7ポイント、5月以降は2.0ポイントと試算しており、増税分を除く物価上昇率も14年4月の1.5%をピークに縮小傾向が続いている。
物価の伸びが鈍化した最大の要因は、原油価格の下落。前年同月比でみると、エネルギーは2.1%低下した。このうちガソリンは15.4%、灯油は21.6%それぞれ大きく下がった。物価全体では1月よりも前年同月比の上昇率が0.2ポイント縮小したが、0.15ポイント分をエネルギー下落による要因が占めた。
このほかエアコンも前年同月比13.5%低下した。昨年の消費増税前の駆け込み購入の反動などが影響した。
一方、宿泊料は8.6%上昇した。外国人観光客の増加などで「ホテルなどが価格を高めに設定する動きがある」(総務省)という。外食も3.4%上昇した。
総務省は先行きの物価について「当面はゼロ%付近で推移するのではないか」とみている。
ただ2月の物価を押し下げた原油安は景気にプラスに働く。ガソリンや灯油が安くなれば、消費者は他の商品やサービスを購入しやすくなり、消費拡大につながる。今春闘での賃上げによる所得増加の影響も加わって消費が本格的に持ち直してくれば、需要の増加が物価の押し上げにつながる可能性が高い。
日銀の黒田東彦総裁も17日の記者会見で、総務省の分析と同様に「上昇率は当面ゼロ%程度で推移する可能性が高い」との見方を改めて示した一方で、「物価の基調は着実に改善している」と発言していた。
同日発表した東京都区部の3月中旬速報値は101.9で、前年同月比2.2%の上昇だった。伸び率は1月から横ばいが続く。足元で原油価格の持ち直しが反映され、エネルギー価格は4.3%上昇した。
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