星井麻紀
2015年3月27日11時35分
専用の免許で子どもが運転する本物の自動車が50年前に実在した。こどもの国(横浜市青葉区、東京都町田市)を走っていた「ダットサンベビー」だ。園内に残っていた最後の1台を日産自動車の社員らが復元。28日から日産グローバル本社ギャラリー(横浜市西区高島1丁目)で一般公開される。
ブルン。ブル、ブル、ブル……。軽いエンジン音を立てて、赤くて小さな、丸っこい車体がゆっくりと動き出した。「排ガス、懐かしいにおいがする」。14日、神奈川県厚木市の日産テクニカルセンター。動いた車を、復元に携わった約20人が笑顔で見守った。
こどもの国によると、開園した1965年から73年まで、ダットサンベビーはアトラクションの一つだった。死亡事故が多発し、「交通戦争」と言われた時代。「子どもを事故から守るため、未来の運転者になる子どもに早くから交通教育を」との願いを込めてつくった。
車は2人乗りのオートマチック車。子どもは運転免許を持つ大人の運転で乗車するほか、「免許証」を取得すれば小学5年~中学3年は1人で運転できた。
併設の「交通訓練センター」で交通法規や車の構造を学び、指導員の同乗でS字コースなどを走った後、専用コースを1周する「実技試験」を受ける。約4万5千人が免許を取った。
車は日産が寄付した。提携していた愛知機械工業(本社・名古屋市)が生産した軽自動車「コニー・グッピー」がベース。全長2・96メートル、幅1・42メートルの2人乗りの車体を大きなバンパーがぐるりと囲む。時速20キロ以上でクラクションのようなブザーが鳴り、30キロになるとエンジンが止まる。
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