はしか:日本で「撲滅」 WHOが認定 

毎日新聞 2015年03月27日 12時31分(最終更新 03月27日 13時28分)

はしか患者報告数推移
はしか患者報告数推移

 ◇土着するウイルス感染が「3年間確認されず」

 厚生労働省は27日、世界保健機関(WHO)が同日、日本をはしか(麻疹)の「排除状態」にあると認定したと発表した。「排除」は、日本に土着するウイルスによる感染が3年間確認されない場合に認定される。日本の認定は初めて。

 はしかは高熱や全身の発疹などが出るウイルス感染症で、肺炎や脳炎を合併して死亡することもある。日本では2007年、10代から20代の若者を中心にはしかが全国的に流行し、対策が進む海外から「はしか輸出国」と批判された。このため、予防指針を示して排除に向けた取り組みを進め、15年度までの排除認定を目指していた。

 08年度から、通常1歳と小学校入学前が対象のワクチンの定期接種を、中学1年と高校3年にも時限的に実施、5年間で1000万人以上が接種したほか、全国の全症例把握や感染経路調査、ウイルスの遺伝子検査を進めた。その結果、00年前後は年20万〜30万人と推計された患者数は、近年は年数百人程度と減少。遺伝子解析の結果、原因は日本土着ウイルスではなく、海外から持ち込まれたウイルスと判断されたという。

 WHO西太平洋地域事務局は昨年、オーストラリア、韓国など4カ国の排除を認定。今回は日本の他にブルネイ、カンボジアも認定した。【須田桃子】

 ◇地道な取り組みのたまもの

 岡部信彦・川崎市健康安全研究所長の話 「はしか輸出国」と言われたことをきっかけに、多くの人がはしかの危険性やワクチンの重要性を理解するようになった。排除認定は、保護者、行政、医療などの地道な取り組みのたまもの。一方、アジア全体ではまだ落ち着いておらず、海外から持ち込む発生はある。ワクチンによる予防と継続的な監視は必要だ。

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