Glycosylated hemoglobin and functional decline in community-dwelling nursing home-eligible elderly adults with diabetes mellitus.
J Am Geriatr Soc. 2012 Jul;60(7):1215-21.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22702660
HbA1cの値が高齢者における機能低下と相関するかどうかを長期コホート研究で評価。
施設入所が望ましいとされる在宅高齢者367人が対象。プライマリアウトカムは2年以内の死亡、機能障害。
対象患者の平均年齢は80歳。50%に当たる185例でインスリンを使用。
63%の患者で機能低下がみられた。また期間中75%の患者で死亡又は機能低下がみられた。
2年間の試験期間中においてHbA1c高値は機能障害や死亡に関連(P for trend = .006).
HbA1c が8.0% ~ 8.9%の患者はHbA1c が7.0% ~ 7.9%の患者に比べて
機能低下や死亡が少ない。
relative risk = 0.88, 95% confidence interval = 0.79-0.99
この論文フルテキストで入手できます。
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/j.1532-5415.2012.04041.x/pdf
高齢者において厳格な血糖コントロールが良いアウトカムを生まないことを示唆する論文。2型糖尿病、発症から長期間を経ているケースでは、厳格な血糖コントロールが良いアウトカムを生まないことは、すでに大規模研究や観察研究でも示されている1)2)病態生理からのアプローチは仮説に過ぎないことを十分認識すべきだろう。
1)N Engl J Med 2008;358:2545
2)Lancet 2010;375:481