東京大学の河岡義裕教授を中心とする日米の研究チームは、特効薬がなく致死率が高いエボラ出血熱の新たな予防ワクチンを開発した。サルに新型ワクチンを投与したところ、多量のエボラウイルスが体内に入っても発症を防げた。人での試験を進める予定だ。
成果は27日、米科学誌サイエンス(電子版)に発表する。研究チームには米国立衛生研究所(NIH)や米ウィスコンシン大学も参加した。
新型ワクチンは、エボラウイルスの遺伝子を操って増殖能力を奪い、過酸化水素水という薬剤で毒性もなくした。投与すると体内にある免疫がエボラウイルスの特徴を覚え、攻撃の準備を始める。本物のウイルスが侵入したとき、免疫が一斉に攻撃するしくみだ。
米国の実験施設でサルに2回投与し、4週間後に致死量のエボラウイルスを与えたところ、発症せずに生き残った。ワクチンを接種しないサルは死んだ。
これまでエボラウイルスを丸ごと加工したワクチンの例はなく、高い効果と安全性が期待できるという。
エボラ出血熱は西アフリカで流行し、いまだ終息していない。有効な予防ワクチンや特効薬がないまま、これまでに2万4千人以上が感染し、1万人以上が死亡した。
世界では英製薬大手のグラクソ・スミスクラインや、カナダ公衆衛生庁などがそれぞれワクチンを開発し、安全性や効果を人で確かめる段階に入った。米ジョンソン・エンド・ジョンソンも安全性を確かめる臨床試験を始めた。
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